熱狂に包まれた都市型フェス「TOKYO PROTOTYPE」
2026年1月29日からの3日間、東京・虎ノ門ヒルズの「TOKYO NODE」にて、新たな都市型クリエイティブフェスティバル「TOKYO PROTOTYPE」が開催されました。日本テレビと森ビルが主催する本イベントは「未来を創造する実験場」として、クリエイターや企業が表現の可能性を探求する場です。会期中は想定の約2倍となる約4.45万人が来場し、最終日には入場規制がかかるほどで、虎ノ門ヒルズの過去最高来街者数を記録する熱狂を生みました。
私たち博展は、「TOKYO NODE LAB」参画企業として、本イベントのクリエイティブパートナーを務め、会場全体の設計・デザインを担当しました。それに加え、自社としてもブースを出展し、これからの時代における「体験の可能性」を問いかける実験的な展示を行いました。本記事では、大盛況となった3日間の様子と、博展が提示した新たなクリエイティブの形についてレポートします。

「100+ prototypes」に込めた博展の実験文化
今回は2022年から取り組んできた自主的なR&D活動「100+ prototypes」の一部を公開しました。一般的な展示会では、美しく仕上げられた「完成品」や「ソリューション」を発表するのが常ですが、同プロジェクトは、開発過程で生まれたプロトタイプをアーカイブし、創造の循環を生み出すことを目的としています。



100+ prototypes
https://www.instagram.com/hktn_100prt/
その最大の狙いは、博展の内部に根付く「実験文化の可視化」です。私たちはクライアントワークの裏側で、あるいはR&D(研究開発)として自主的に、日々泥臭く手を動かし、素材やテクノロジーと向き合っています。完成品に至るまでの「なぜ作ったのか」「どう検証したのか」というプロセスや思想そのものを外部に発信することが、新たな共感を呼び、次の創造へと繋がる「創造の循環」を生み出すと考え、展示を設計しました。
プロジェクトメンバーからは、「プロセスを公開することで、社内外の知見共有の財産になる」「失敗や実験の過程を見せることで、かえって私たちのリアルな熱量が伝わる」という声が上がりました。あえて未完成なものを提示するというユニークな企業姿勢の提示が、今回の展示の根幹にありました。
領域横断で生み出す新たな体験
ブースでは「100+ prototypes」のアーカイブ展示に加え、その思想から企業との共創によって実装へと展開した2つのプロジェクト作品を展示しました。
一つ目は、資生堂との共創によるウィンドウ作品「Personal Forest」です。日本の伝統的かつサステナブルな素材である「檜皮葺(ひわだぶき)」を活用するため職人と共創して完成させた本展示。自然物とクリエイティブを融合させたこの作品は、来場者から高い関心を集め、サステナブル実装企業としての当社の可能性を提示しました。
「Personal Forest」
https://www.hakuten.co.jp/tex/blog/shisido_personal-forest

二つ目は、ソニーとの共創プロジェクト「ウサギの住み家」です。ソニー製の空間再現ディスプレイ(3Dディスプレイ)を用い、モニターの存在を感じさせないよう木工の造作と精緻に組み合わせることで、空間と一体化した体験設計を実現しました。木工とエンジニアリングという「テック×フィジカル×マテリアル」の領域横断的な強みが、これらを通じて立体的に示されました。「デバイスとしての機能だけでなく、空間への組み込み方や見せ方の可能性に感銘を受ける方が多かった」という担当者の言葉からは、この挑戦がもたらした新しい視点への手応えを感じました。

木工といったフィジカルなモノづくりと、XRやプログラミングといったテクノロジー領域。博展が持つ「テック×フィジカル×マテリアル」の領域横断的な強みが、これら複数の展示を通じて立体的に可視化されました。
共感と対話から生まれる「創造の循環」
会期中、ブースには感度の高いビジネス層やクリエイター、学生など多様な来場者が訪れ、「自由で創造的な社風」や「構想から実装まで自らの手で行う実践力」に対して、多くの共感や評価の声が寄せられました。
特に印象的だったのは、単なる「作品鑑賞」に留まらず、制作者と来場者の間で深い対話が随所で生まれたことです。来場者からは「なぜこれを作っているのか?」「どういう仕組みで動いているのか?」といった質問がひっきりなしに寄せられました。プロトタイプという未完成の余白があるからこそ、実装の難しさに課題感を持つビジネス層との間で、より本質的で深い意見交換が行われたと思います。
綺麗に仕上げられた完成品だけでなく、現場の試行錯誤や探求心そのものを提示したことが、会場が掲げる『未来の実験場』というテーマを体現する結果となりました。デザインやエンジニアリングを学ぶ学生からも「こうした自由な実験と創造が許容される環境が素晴らしい」という、当社のカルチャーに対する強い共感と期待の言葉が多かったことが印象的でした。

今後の展望:単発の展示で終わらせない、R&Dの仕組み化
今回の出展は、博展のR&Dの活動を伝えることに留まらず、博展が大切にしているバリューの一つである「挑戦をつづける」「楽しもう」といった企業風土を伝えるよい機会となりました。今後は、社内で実施されている多くのR&Dプロジェクトを、社内プロジェクトとして終わらせるのではなく、全社横断として社会へ広める活動も継続的に実施していきます。

「TOKYO PROTOTYPE」での熱狂と対話は、博展にとっての一つの通過点に過ぎません。完成品に至るまでの「なぜ作ったのか」というストーリーそのものを価値化し、社会にオープンにしていくこと。そこから生まれる共感をベースに、新たなパートナーとの共創を生み出し、社会実装へと導いていくこと。博展の「体験のデザイン」は、このプロセスを通じて、未来に向けてさらに拡張し続けていきます。
【ブース出展:Project Member】
Producer:木島大介
Creative Director:歌代悟
3D Designer:諸戸里帆
100+ prototypes :諸戸里帆/川西真央/竹島千尋
Personal Forest:伊藤愛希
ウサギの住み家:石田将也/久我尚美/白銀香奈美/吉原悠人
Operational Cooperation:安齋温陽/花本理子 /原田万凜
PR:松浦緑子
【TOKYO PROTOTYPE 会場設計・施工】
Producer:小野寺唯
Director:高橋大輔/上山瑞夏
Designer:布川光郷
Production Management:大友卯美 /藤川美咲/垣本 晃佑/立川 樹
Production:南雲 寛生/河津 彩香/松村 峰/五味 徒来/森部 虹帆
Writing/Editing:浅井亜紀子