今まではオフラインを中心にした顧客接点も、この1年間で大きくオンライン化が進んだことよってまだ接点を持っていない潜在的なターゲットへのリーチが可能になっています。 その一方で、リーチを広げていく施策は今まで以上に重要性が増し、施策を考える上でなくてはならない存在となっています。

今回はリアル行動データプラットフォーム「Beacon Bank」を運営する株式会社unerryのプロデューサー2名をゲストに迎え、この1年での顧客接点の変化を振り返るとともに、イベントDXソリューション『イベシル』を活用した施策の成功事例をご紹介します。

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目次
顧客接点とオンライン施策を成功させる最大のポイント
これからの時代に位置情報が果たす役割とは?
広告配信のプランニングと成功事例
まとめ

顧客接点とオンライン施策を成功させる最大のポイント

原口:
2019年から2020年の最大の変化は、やはり「顧客接点のオンライン化」。
リアルの場でのイベントや展示会が制限されたことによって、多くの顧客接点がオンライン化し、今では商談やプレゼンテーションが当たり前のようにオンラインで行われるようになりました。

また、これまで展示会が担っていた顧客接点の創出も、自社開催のオンラインセミナーなどへの移行によってBtoBマーケティングの仕組みが大きく変化した2年でした。

博展もリアルでの商談ができなくなったことを受け、このThink EXperenceというメディアからセミナーを配信していますが、このグラフは視聴者がそのセミナーを認知したメディアのアンケート結果です。

もちろん、「博展からのDM」が最も多いですが、それに次いで2位が「知人からの紹介」。
また、ファストマーケティング社の調査によると、ウェビナー参加者の目的は「業務に役立つテクニックや技術を学ぶ」などがトップであり、視聴者はすぐに導入を考えているのではなく、情報収集程度に見ている視聴者が多いことがわかります。

では、展示会はどうなっているのでしょうか?
以下の図は2020年2月から2021年2月までに開催された展示会の来場者数を前回比で表したものです。

2020年3月から7月は緊急事態宣言もあり、展示会はほぼ全て中止になっていましたが、2020年8月以降から再開し、前年比で50%程度にまで来場者数が回復。

さらに、博展が独自に実施した展示会出展者へのアンケートでは
「来場者の特徴として、目的や課題を明確に持った人が多く、商談になりやすい。」や、
「決裁権を持つ来場者が多く以前では出会えなかった層(大手企業の課長クラス)に会えた。」など、ポジティブな意見も多く見受けられました。

また、「展示会リード数は減少しているため、オンラインなど補填手段を考える必要を感じている。」など、展示会だけではなくオンラインも組み合わせた施策の必要性を感じたという声もありました。

この変化をまとめると、以下のように表せます。

2019年はリアルが中心であり、導入を検討しているHOTな来場者から、情報収集を目的としたCOOLな来場者まで幅広く来ていました。
しかし、2021年においては情報収集を目的としたCOOLな来場者が減ったことで、展示会は相対的にHOTな来場者の比率が高くなっていると考えられます。
また、展示会に行かなくなったCOOL層は効率化を求めてオンラインシフトし、さらに今まで接点を持てていなかった新規顧客層が知人からの口コミといったオンラインセミナー特有の拡散性を発揮して集客に繋げています。

したがって、総量で考えるとオンラインセミナーを組み合わせた2021年の方がリーチできる顧客数が広がっているということに。

つまり、これからはリアルだけでなく、オンラインも組み合わせた顧客接点の設計が重要となります。

オンライン施策では展示会のように主催者が来場者を集めてくれるわけではないので、自社で潜在的な顧客を集める必要があります。

したがって、これまで以上に集客施策の企画力と実行力が求められる時代になりました。

これからの時代に位置情報が果たす役割とは?

星:
狙ったターゲットへアプローチするには、データを使う事が重要です。
WEB上のデータや購買データについては既に利活用が進んでいますが、リアルな行動データ(=位置情報)の活用は、今後も大きなのびしろがある分野。

特に2020年からはコロナの影響もあり、人の行動やトレンドが大きく変化しつづけており、これまで有効だったタッチポイントでの施策や、事前リサーチからのアプローチでは成果が得られにくくなっています。

こうした状況下においては、人のリアルな動きからそのモーメントを客観的に捉え、顧客理解を深めることの重要度が増しています。
そのような背景からそれを実現する位置情報への注目度は年々高まっています。

unerryでは、延べ1.1億ダウンロードの連携スマートフォンアプリから得られる、月間100億件超の屋内外位置情報ビッグデータをAIで解析し、意味づけを行っています。

蓄積する位置情報ビッグデータの特徴は、主に水平方向の動きを捉えるGPSデータだけでなく、垂直方向の動きを捉えるBluetoothビーコン(全国210万箇所に設置済)を掛け合わせている点にあります。
これにより、建物から建物への移動だけでなく、地下を含めた建物内の移動が把握できます。

さらに、ほぼ100%の精度で人数カウント可能なIoTセンサーも独自開発。

GPS、ビーコン、IoTセンサーのデータ特性を組み合わせることで、人流データの分析や混雑可視化ソリューション、集客広告など様々なお客様のマーケティングニーズにお応えしています。

原口:
リアル行動データに強みを持つunerryとイベント運営力に強みを持つ博展が昨年リリースしたのがイベントDXソリューション『イベシル』。
その、イベントをアップデートさせるソリューションは4つあります。

今回はその中でも最近お問い合わせの多いターゲティング広告配信についてお話しします。

最近ではBtoBのメーカーやIT系のお客様でもオンラインセミナーの集客施策としてこのターゲティング広告を採用いただく事例が増えてきています。
その背景は冒頭でお話ししたように、BtoBの事業者であっても自分たちでターゲットを集客する必要があるため、自社が持つハウスリストへのDMだけではなく、新たなお客様へアプローチする打ち手を模索している企業が増えたことにあります。

一般的にBtoBでは広告のターゲティングが難しく、業界専門のwebメディアや専門誌など新規顧客へアプローチするた施策の選択肢が少ない状況です。
しかし、イベシルを活用すると過去に開催されていた展示会の来場者を行動情報から抽出し、FacebookやInstagram、TwitterなどのSNSで広告を配信できるだけでなく、その抽出したターゲットと興味関心が類似するユーザーに対しても拡張して広告の配信が可能になります。

つまり、展示会に訪れるほど関心が高いターゲットと、それに準じて興味がありそうなターゲットに対して集中的にSNSから広告を配信できるということです。

後半では広告運用する際に気をつけるべきポイントと、実際にイベシルを活用してSNS広告を配信いただいた成功事例を中本さんからご紹介お願いします。

広告配信のプランニングと成功事例

中本:
事例としてI Tセキュリティ会社のオンラインイベント集客施策をご紹介します。
今回のクライアントに限らず、広告をプランニングしていく中で検討すべきポイントは以下の通り。

・ターゲット設計:誰に向けてイベントに関する認知を広めていくか
・メディア設計:どこでイベントを訴求すると効果的なのか
・クリエイティブ設計:イベントの何を訴求すると参加してもらえるのか
・運用設計:どのように効率よく参加を促すことができるか

1:オンライン×オフライン行動ベースのターゲット設計

オフラインの行動データによってリアルな顧客ターゲットを設定するため、「実際に〇〇に行ったことがある」という高精度なターゲティングできることが最大の強み。
今回はクライアントが過去2年以内に出展していた展示会をピックアップし、位置情報から来場者をターゲティングしました。

2:ユーザー特性を踏まえたメディア設計

SNS全てをひとまとめに考えがちですが、FacebookやInstagram、Twitterなどメディアによってもそれぞれ特徴が異なっています。
そのため、その特徴を理解し、文脈に合わせた顧客とのタッチポイント創出が必要です。

3:アクションを促しやすいクリエイティブ設計

広告を見る時間はほんの数秒しかないので、伝えたいこと全てをクリエイティブに盛り込むのではなく、ターゲットに刺さるワードチョイスやわかりやすい広告画像の設計が必須です。
また、動画や画像など訴求するコンテンツを事前に複数準備しておくことで、ターゲットのリアクションが良いクリエイティブに広告配信予算を集中させるなど、より効率的な運用が可能です。

4:スピーディなPDCAサイクルを回す運用体制

今回は博展がオンラインセミナーの配信やイベントページの制作など広く関わっていたため、イベント視点でターゲットの特徴を理解しており、unerryはユーザー/行動視点からターゲットに最適なメディア/運用設計ができたため、両者の専門性を発揮して効率的な広告の配信ができました。

このような背景を踏まえて広告を2ヶ月ほど配信したところ、平均クリック率5.3%という非常に高い数値でした。一般的にSNS広告のクリック率は0.3-0.5%と言われていることを考えても、その差は一目瞭然ですね。

また、イベントページへの送客だけでなく、セミナー申し込みフォーム到達率も非常に良好であり、イベント期間である2ヶ月以上にわたって、高い効果維持と運用による効率向上を実現しました。

まとめ

原口:
冒頭でもBtoBマーケティングのトレンドをお話しした通り、顧客接点はオフラインとオンラインを組み合わせたハイブリッド型へと変化しています。その中でも最大のポイントは新規リード獲得の場であるオンラインセミナーも自社で集客施策を企画、実行していかなければならないということです。

そのためには、これからは過去に出展したことのある展示会の結果や来場者の反応などを参考に、行動データを活用したターゲティング広告などを活用することで、効率的に新たな顧客との接点創出がますます重要になってくるでしょう。

<登壇者紹介>

株式会社unerry

ビーコン等のセンサーが付加された街中のさまざまなモノを通じて消費者のリアル行動ビッグデータを捉え、科学し、事業化している。日本最大級のオフライン行動プラットフォーム「Beacon Bank(https://www.beaconbank.jp/)」を運営し、1.「来店効果計測付き集客広告」、「店頭販促のデジタル化」「新たな店頭体験の創出」といった流通・小売業向け販促サービスの提供 2.既存にあるモノをIoT 化することによる新サービス開発 3.スマートシティ、MaaS に向けた人流解析およびレコメンドエンジンの開発」を提供しています。