ベルランゴのローンチに伴うオンライン発表会や全国各地でのキャラバンイベントなど、
日本市場で注目を集め続けるCitroën。

今回はCitroënのマーケティング担当中山様 / PR担当森様(以下敬称略)に、2020年に実施した施策 / イベントを“顧客体験”という切り口からインタビュー。

顧客とのタッチポイントの捉え方や実施した施策の反響だけでなく、マーケティング / PR活動におけるCitroënのこれからに迫る。

登壇者紹介

目次
1:2019年~2020年大成功を収めたCitroënのプロモーション
2:“コミュニケーションを止めない” 前例のない2020年、広報 / マーケティングで成功を収めた秘訣は?
3:ブランドはファンのココロに存在する
4:イベントも広報もあくまで手段! Citroënが考えるブランドのファン育成とは
5:“ファンを増やす”という目標に向かって、Citroënは2021年も走り続ける

2019年~2020年大成功を収めたCitroënのプロモーション

(2020年のCitroënプロモーションイベント一例)

Citroënと博展の出会いは2019年夏、独自のブランド体験イベント”Comfort La Maison Citroën”。

Comfort La Maison Citroënの様子

当時、東京モーターショーに出展しないという決断を下していたCitroën。
ベルランゴを先行展示でき、直接消費者とコミュニケーションが取れる機会を探していたことが
きっかけになったという。

そして2020年8月には、ベルランゴの発表会を初めて完全オンラインにて実施。

さらに魅力的なベルランゴを多くの人に直接見ていただくために、翌日からは東京ー大阪ー名古屋を巡るキャラバンイベントをスタートした。

“コミュニケーションを止めない”
前例のない2020年、広報 / マーケティングで成功を収めた秘訣は?

森氏

国から外出自粛が要請された2020年春、日本がセミロックダウンになった際も、我々は広報活動をストップしないと決断した。

多くの企業は広報車の貸し出しを全部ストップしている中、悩みながらも台数を絞ったうえでの貸し出し継続を決断したのは、メディアを通して車好きの皆様にコンテンツを提供し続けるべきだと考えたから。

ブランド側が広報 / PR活動を全てストップしてしまうと、コンテンツを制作しているメディアの活動は成り立たたず、衰退してしまう可能性がある。
また、セミロックダウンで退屈している中、車のコンテンツを楽しみにしているお客様のためにも、ネタ元を提供しようと思った。

私は広報なので、コミュニケーションの先はメディアの方々。
セールス / マーケティングがお客様に対して良いサービスを提供することと同様に、広報はメディアの方にできる限りのサービスを提供するべきだと考えている。

結果として多くのメディアに掲載していただいたことで、
“コンテンツがたくさんあること自体がお客様に対してプラスになる”と活動してきたことが、
今回のコロナ禍での1つ大きなポイントになったと考えている。

(当時掲載されたメディアの一部)

もう1つPR活動として、ベルランゴのオンライン発表会を行った。

昨今の状況下で“集う”ことは難しいと判断し、通常の発表会の予算を全て使い、オンラインで開催。
基本的には新作発表会=プレス向けのイベントという認識だったが、せっかくオンラインでやるということで、一般のお客様にも観てもらおうと考えた。

普通のプレスカンファレンスの録画版ではなく、
メディアの方にも一般の方にも楽しんでもらえるユニークなコンテンツになっている。

ベルランゴ オンライン発表会の様子はこちら!
https://www.youtube.com/watch?v=BalmlcEF3kY

(ベルランゴオンライン発表会の様子)

中山氏
マーケティングも同様、コミュニケーションを止めないということを意識。

デジタル広告などオンラインでできることはもちろん展開するが、ベルランゴの魅力を十分に伝えるために、実際に体験できる機会を提供しようと努めた。

オンライン発表会翌日からスタートしたキャラバンイベントは、力を入れただけあって反響がかなり大きく、待機列ができるほど。

“コミュニケーションを止めない”という考えのもとやってきた成果だと感じた。

(Citroënツアーイベントの様子)

今回のイベントは本当にホットな空間だった。
中にはメジャーを持参した来場者もいらっしゃったほどで、その熱さに営業陣も驚嘆。
見込み顧客の獲得といった面でも大勢のお客様にエントリーいただいた。

実際イベントを通じて、来場者からはポジティブな雰囲気を感じた。
外出自粛で遠くに行くことが制限され、非日常を味わうことができない中、新しいイベントが身近な場所で開催されることに対し、好意的な方が多かった。

これはすべて、対策を入念にしたからこそできたこと。
安全にイベントを開催できると判断できれば、積極的に行うことが大切だと感じるきっかけになった。

広報とマーケティングの連携でイベントの価値を最大化せよ

中山氏
今回はベルランゴをリアルとオンラインの双方でプロモーション。
PRとマーケティングが綿密にスケジュールを調整し、イベントの効果を最大化するためにメディアへの発表やオンライン発表のタイミングを工夫。

その結果、来場者は事前に情報を見てから足を運ぶため、事前にで熱量が高まる効果があった。

ブランドはファンのココロに存在する

森氏
僕はよく「ブランドって誰のものなんだろう」と考える。
商売上、権利上のCitroënブランドはグループPSAのものだが、実際はお客様の心の中や頭の中にブランドは存在するのではないか。

Citroënは”Comfort”を一つのテーマに掲げている
ベルランゴであれば、たくさんの荷物をスムーズに詰めること / 屋根がグラスルーフで室内が明るいことなど、人それぞれの”Comfort”がある。

大切なのは、どうやってCitroënのテーマである”Comfort”を形成していくか。

僕はPRなので基本的にメディアを担当し、中山はリアルなタッチポイントとしてお客様とのコミュニケーションを担当している。

例えば、試乗イベントでお客様が「座り心地いいね、でも気になるのは燃費だよね」と言ったとしよう。その場では説明をしたり、インターネットで調べていただいたりすれば解決する。
一方、広報ではメディアの方に対して、燃費や安全性を言及した記事を発信してもらう。

このようにリアルイベントを軸に広報が密に絡み、情報のキャッチボールを行うことが重要。

お客様とのタッチポイントがいろいろな場面であることで、ファンの気持ち / エンゲージメントは螺旋状に上がっていく。

広報はお客様のリアルな疑問や求めている情報をメディアを介して発信し続け、
”Comfort”の形成を後押しし続ける必要がある。

イベントも広報もあくまで手段!
Citroënが考えるブランドのファン育成とは

中山氏
Citroënはイベントを多く開催するが、イベントを開催することが目的ではない
目的はCitroënファンを増やすことで、イベントはあくまで手段

今のCitroënブランドのフェーズ / 規模感からすると、触れて、体験してもらうことが有効だと考え、
リアルなタッチポイントを重視。
ビジネス的にも数字が伸びており、今はとてもフィットしていると感じる。

また、今のCitroënは、開発当初のCitroën車が好きなお客様と
現在のCitroën車が好きなお客様で二極化している。

どちらもご自身のCitroënを愛してくださっているからこそ、将来的にはCitroën全体として好きになってもらいたい。
そのために、ファンイベント等いろいろな施策を考えている。

森氏
Citroënファンの二極化についてはすでに施策を実行している。

2019年、Citroënは100周年を迎えた。

私は100周年という節目を、Citroën全体を知ってもらうチャンスだと捉えた。
ブランドの歴史を振り返り、開発当初のCitroën車を知ってもらうために、パレードランを赤坂で開催。ディスコミュニケーションが生まれていた昔からのファンの方々と会話し、今のCitroënを知っていただくことで、両方好きになってもらえるようアプローチした。

◆赤坂イベント
→古いCitroënから今のCitroënを大切にすること。

◆”Comfort La Maison Citroën”
→今のCitroënとこれからのCitroënを大切にしてもらうこと。

コンセプトを明確化し、100周年のタイミングで2つのイベントを行ったことが、今じわじわとプラスに働いていると実感している。

“ファンを増やす”という目標に向かって、
Citroënは2021年も走り続ける

“コミュニケーションを止めない”という信念のもとプロモーション活動を続け、注目を集めたCitroën。
多角的に顧客接点を生み出し、 一人ひとりの消費者に合ったブランドの在り方を発信していることが
大人気の秘訣なのかもしれない。

コロナ禍でリアルな接点を設けることができない今、コミュニケーションとは何か、どうあるべきか、改めて考えてみてはどうだろうか。