「自動生成できない価値」とは何か?博展が語る、IPビジネス(知的財産ビジネス)の新しいエンゲージメントと体験設計
2026年2月18日、株式会社宣伝会議が主催する「KAIGI GROUP フォーラム」にて、博展のクリエイティブディレクターの中島健希と、シニアプランナーの真崎大輔が登壇しました。
本記事では「人は、何にココロを動かされるのか?」「“伝える”から“関係を育てる”へ。」AI時代におけるIP・ブランドビジネスやリアルな体験の価値をテーマに語られたトークセッションのサマリーをお届けします。
Summary Point①:AI時代のブランドコミュニケーション課題「伝えても人が動かない」

文章、画像、動画などのコンテンツがAIによって無限に自動生成できる現代。情報量は加速度的に増加し、質も均一化されつつありますが、驚きや感動といった「感情が揺さぶられる機会」は相対的に増えているとは言えません。
ブランドコミュニケーションにおいても、「情報を伝えて顧客との接点は作れているのに、人が動かない」という違和感を感じる場面が増えています。このような時代において重要になるのが、「自動生成できない付加価値」をつくることだと我々は考えています。

Summary Point②:行動を促すエンゲージメントの正体は「感情」

「人は心(ココロ)が動かなければ行動しない」というのが大原則です。そして、人は「情報」ではなく「体験とともに記憶に残る感情」を覚えています。特定の場所の空気や匂い、誰かと一緒にいた時間の幸福感、その場面で想像した未来などは、他人が複製・量産できるものではありません。

IPやエンタメビジネスにおいても、知名度などの「知っている」という状態だけでは関心喚起が成立しにくくなっています。SNSの「いいね」などの機能的な価値だけでなく、「関係を続けたい」「関係を持った」と記憶されるような深い感情を新しいエンゲージメントの形として捉え直すことが重要と我々は考えます。
Summary Point③:実践事例:関係性を育む“リアリティ”の追求
セッションでは、リアルな場で想像力を刺激し、IPやブランドとの関係を始める体験設計の事例が紹介しました。
1. ファンダム※の記憶と同期する体験設計 (事例のご紹介の一部)

「Perfume Disco-Graphy 25年の軌跡と奇跡」の事例では、単に過去の映像を見せるのではなく、来場者が歴代のライブのステージ演出を疑似体験できるインタラクティブな空間を設計しました。さらに、空間の中心に25年間の活動の軌跡をまとめた全長40mの年表を配置することで、ファン自身の過去の記憶とアーティストの歴史を繋ぎ合わせる「共感の土台」を構築しました。
※ファンダム(fandom)とは:深い愛情と情熱を持つ熱狂的なファンの集まりや、彼らが形成する文化・コミュニティのこと
本事例詳細はこちら
https://www.hakuten.co.jp/works/perfume-disco-graphy
2. “そこにいる”実感を設計するプロトタイプ

ソニーが開発した、裸眼で立体視が可能な「空間再現ディスプレイ」に物理的な造作を組み合わせた映像体験「ウサギの住み家」の事例では、映像を見るためのモニターとしてではなく、キャラクターが「そこにいる」という存在感をどう作るかを追求しました。ウサギの巣をイメージした木箱の中にディスプレイを埋め込み、手を入れるとウサギがまるで餌を食べる時の鼻が当たるような触覚を感じたり、照明やアクションと連動したりするなど、視覚だけでなく光や触覚、身体的アクションを含めた空間全体を設計。モニター感をなくし、バーチャルとリアルな行為を結びつけるリアリティある体験を探求した事例になります。
Summary Point④:ココロある体験を設計する「4つの視点(4P)」
これらのような「関係性を育てる体験」を作るためには、以下の4つの視点(4P)をご紹介しました。

1. Purpose(目的):
何を伝えるかではなく、「どんな関係を結びたいか」を定義する。
2. Proposition(価値提案):
機能的な価値だけでなく、ピーク時や体験後に「どんな感情(情緒的な価値)を残したいか」を設計する。
3. Pathways / Process(パス / プロセス):
体験を一度きりの「点」で終わらせず、事前の情報との出会いから体験後の共有まで、関係が深まる過程や動線を設計する。(体験は点ではなく線と捉え時間軸を設計する)
4. Proof(証明):
来場者数などの数字とともに、来場者が何を語り、何を持ち帰ったかといった「関係性の兆し」を観察する。
セミナーレポートまとめ
体験を通して想像力が働き、人のココロが動くとき、ブランドやIPとの新しい関係がはじまります。そして、そこから生まれた行動が社会の動きへとつながっていきます。効率化や最適化だけではない、自動生成できない「ココロある体験」こそが、これからの時代における最強のコミュニケーション手段と言えると我々は考えております。
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【登壇者情報】

中島 健希(クリエイティブディレクター)
デザイナーとして国内外展示会やイベント、ショールーム、店舗設計等を経験。現在は体験設計を軸に企業・ブランド・商品等のブランディングや統合コミュニケーションプランを推進。iF DESIGN AWARD、Red Dot Design Award、GOOD DESIGN AWARD等受賞。IP、ファッション、スポーツ、モビリティ、コスメ・スキンケア、商業施設、FMCG、地域産業等、幅広い業種・領域を担当している。

真崎 大輔(シニアプランナー)
2012年 株式会社博展入社。IP・エンターテインメントをはじめ、さまざまな領域のイベントプロモーションの設計を行っている。現在ではディベロッパーをクライアントにした都市開発、地域事業にも領域を拡張し、体験デザインや事業プランニングも担当。2023年からは自社内のR&D部門を兼務、クライアントワーク以外でも体験デザインに関わる様々な研究開発に関与している。