みなさんこんにちは!
THINK EXPERIENCE編集部の大村と中です!

【Quest ! 】は、都内を中心に話題のイベントや新しくオープンした商業施設をTHINK EXPERIENCE編集スタッフが実際に体験し、レポートしていくコンテンツです。

第16回目の今回は11月12日(金)に二子玉川 S.C.にオープンした、『はらぺこあおむし』の作者「エリック・カール」の描く絵本がテーマの、遊んで学べる新しい場「PLAY! PARK ERIC CARLE(プレイパーク エリック・カール)」での体験をお届けします。

目次
1:「PLAY! PARK ERIC CARLE」とは?
2:エリック・カールの絵本の中に潜入!
3:注意書きのない、子どもが体験をクリエイティブする空間
4:エリック・カールの絵本の世界を通じて親子で成長していく

「PLAY! PARK ERIC CARLE」とは?

「PLAY! PARK ERIC CARLE(プレイパーク エリック・カール)」は、絵本『はらぺこあおむし』の作者「エリック・カール」の描く絵本の世界観に基づいてデザインされた、日本初のインドアプレイグラウンド施設です。

創造性 / 発見 / 遊び / 自然などを大切に考えていたエリック・カールの思いに沿って、遊ぶことを通じて子どもたちが自立を学び、成長できるように、様々な工夫が施されています。

™ & © 2021 Penguin Random House LLC. All rights reserved.

誰もが1度は読んだことがある『はらぺこあおむし』の作者 エリック・カール

エリック・カールはどんな人だったのでしょうか。

1929年アメリカのニューヨーク州に生まれ、ドイツで育ったエリック・カール氏は、シュツットガルトの美術アカデミーを卒業後、アメリカに戻り、グラフィックデザイナーとして活躍しました。

1968年に絵本『1、2、3 どうぶつえんへ』(ボローニャ国際児童図書展グラフィック大賞)を発表して以来、世界中で親しまれる絵本作家へ。代表作に『はらぺこあおむし』『くまさん くまさん なにみてるの?』『パパ、お月さまとって!』などがあります。

「PLAY! PARK ERIC CARLE」ホームページ

エリック・カールの絵本の中に潜入!

エリック・カール氏の作品があしらわれた9つのブースを行き来して、遊びの中から学びを得られる同施設。

「触発する」「探検する」「成長」「グリーン」「教育」という5つのテーマに基づいて作られています。

はじめに入り口で靴を脱ぎます。これは安心安全に遊ぶためはもちろん、「違う世界に来たんだよ」という期待感を醸成する意味もあるのだとか。人の感覚の中でも足の裏の感覚は1番繊細だそうで、たしかに靴を脱いで床の材質の変化を感じると自然とわくわくしてきました。

みどりのめいろ「Amazing Garden」

靴を脱ぎ、いよいよ館内に入っていきます。

入り口には3つの扉があり、その中から1つを選択して冒険の旅に出発します。

扉を開けると迷路が!

迷路は壁が高く、子供の目線からは全体像を見られない構造になっており、自分やお友達がどこにいるのかわからず、不思議な気持ちで楽しめます。

一方で、天井や柱に鏡が貼られているため、大人は安心して子どもの様子を見守ることが可能です。

入り口で選ぶ扉によって出口も、それまでの道のりも異なるため、子どもたちが「自分で選んだ道を、自分で切り開いていく」という、将来の自立につながる経験ができます。また、子どもの目線だからこそ見つけられるような場所に、エリック・カールの絵本に出てくるキャラクターが隠れており、宝探しをしているような気分で迷路を楽しみました!

オートマタ「Mechanics in Motion」

オートマタと呼ばれる触って遊ぶからくり人形やゲームのエリア。

日本を代表するオートマタ作家の原田 和明氏による、エリック・カールの物語を触って遊べるコーナーです。

ピタゴラスイッチのようなこの仕掛けでは、

あおむしが幼虫からさなぎ、そしてチョウになる物語を体験できます。

たくさんのくだものを食べながら進んでいくと、

はらぺこあおむしが大きくなった…!

さなぎがチョウへ羽化しました!

子どもの目線になってみると、チョウが空中で羽ばたく様子を見上げる形になります。

こうした目線の高さを意識したコンテンツは子ども向けならではですね。

<実際の様子>

こちらのゲームは、見ただけでは遊び方がわかりません。説明書がないので、自分で試してみるしかなさそうです。

大人の私たちはすぐさまスタッフに遊び方を聞こうとしてしまいますが、子どもたちは自分でいじって遊び方を発見するのだとか。これも子どもの想像力を育てるコンテンツの一つですね。

<そのほかのオートマタ>

アスレチック「Play Zone」

™ & © 2021 Penguin Random House LLC. All rights reserved.

このゾーンにはスウェーデンで約70年の歴史を持つヨーロッパ最大の公園メーカー HAGS社製のすべり台 / ボルダリング / トンネルなど、10種類近くの遊具があり、思いっきり体を動かせます。

カラフルな室内遊び場が多い中、自然木を使い、よじ登る・飛び降りる・ぶら下がる・滑るなどの遊び要素を持つHAGSの遊具は、子どもたちが自然の中で遊んでいるときのあらゆる「動き」を再現し、自然と同じ、外で遊んでいるかのような遊びを体験できます。

実際に遊んでみると、すべり台は思ったよりスピードが出て危うく転ぶところでしたが、迫力満点で楽しかったです。ルートが沢山あるので、1回遊んで終わりではなく、いろんな遊び方のできるアスレチックだなと実感しました。

アトリエ「Picture Creations」&ディスカバリーゾーン「Discovery Zone」

いきものの不思議を発見できるディスカバリーゾーンと、エリック・カールの暮らしやものづくりからヒントを得たワークショップが体験できるアトリエ。この2つは透明の壁をはさんで隣り合わせとなっています。モノが展示されているエリアとモノを創作するエリアが同じ場所にあるのは珍しいのですが、どんな絵描きもモチーフを目の前にして創作することから、それを身近に体験してもらうことを意図しているそう。

ワークショップではエリック・カールの絵本作りにならって、世界に一枚の色紙を作れる「Let’s PLAY! PAPER!」と、アトリエ内の端材を使用して自分だけのオリジナルのいきものを作れる「標本箱のたからもの」の2種類を常時開催しています。

子どもたちが実際に制作した色紙・標本箱が展示されているので、それを見るだけでも子どもの発想力の多様性を垣間見ることができ、大人も楽しめる空間となっていました。

<アトリエの様子>

<ディスカバリーゾーン:神田恵介氏による刺繍の作品>

他にも、人気絵本『パパ、お月さまとって!』に登場するお月さまの中に入れるエリアや2歳未満児限定のベビーエリア、ひとやすみできるドリンクバーとソファエリア、エリック・カールの絵本の世界をあしらったオリジナルグッズが買えるセレクトショップ「Hungry Market」など、ここではお伝えしきれない魅力がまだまだ沢山あります。

WINTER RISE 2021 with the World of Eric Carle 「はらぺこあおむしとクリスマスツリー」 

二子玉川ライズでは、「PLAY! PARK ERIC CARLE」のオープンに合わせて冬のイルミネーション「WINTER RISE 2021 with the World of Eric Carle」を開催中で、12月25日(土)まで「はらぺこあおむしとクリスマスツリー」を、3月8日(火)まではウィンターイルミネーション「ふしぎな森のやさしい光」を展開しています。

エリック・カールの描く絵本の世界をモチーフとした可愛いツリーやイルミネーションを見られるので、ぜひ実際に二子玉川ライズに足を運んでみてください。

注意書きのない、子どもが体験をクリエイティブする空間

PLAY! PARK ERIC CARLE内にはどこにも注意書きがありません。

最近は公園や屋内の遊び場にも、「○○禁止」「危険注意」などの注意書きがあちこちに掲示される中、これは大変珍しい取り組みだと感じました。

PLAY! PARK ERIC CARLEのデザイン・制作プロデュースを行った青木 貴之氏によると、こちら側がルールを作るのではなく、子どもたちは安全な遊び方を、遊びながら学んでいくので、「とにかく遊ぶ」を基本コンセプトにしているとのこと。大人が注意すると子どもは萎縮してしまいますが、自分が「したい」「これが良い」と思ったものを選択できる設計にすることで、子どもが自分の経験で得たものは社会に出るとき役に立つと考えているそうです。その考えが入り口での扉の選択をはじめ、それぞれの体験に反映されていまれていました。

絵本の世界を冒険

また、各コンテンツでテーマとなっている絵本は異なりますが、どのコンテンツも鑑賞するだけではなく、体を動かしながら絵本のキャラクターや隠れたストーリーを探す仕掛けになっており、宝探しの旅に出ているような気分になりました。異なる絵本の世界を縦断して体験できるのも、この施設ならではの魅力です。

また、PLAY! PARK ERIC CARLEはアスレチックや創作体験など子どもが好きなものを全部詰め込んだ空間になっており、従来のカテゴリに収まらない新しい試みなのだそう。

安全性の追求

これまで見てきたように、子どものクリエイティブな体験を重視しているため、思いっきり遊べる空間を作ったうえで、安全性の担保を意識して設計されていました。

迫力満点だったアスレチック遊具も、遊具先進国であるヨーロッパの安全規格「EN1176」の基準をクリアしているとのこと。

感染症対策も徹底されており、2時間ごとに喚起・消毒・掃除・おもちゃの総入れ替えが行われていました。

エリック・カールの絵本の世界を通じて親子で成長していく

今回は『はらぺこあおむし』の作者「エリック・カール」の描く絵本の世界観がテーマの遊んで学べる新しい場「PLAY! PARK ERIC CARLE」での体験をお届けしました。

PLAY! PARK ERIC CARLEの、子どもが遊びながら学んでいく姿勢を尊重し、注意書きを掲示しないというスタンスは、考え方に共感することは簡単ですが、実現するのは非常にハードルが高かったのではないかと想像します。子どもの自由な遊びを優先した上で、リスクを取り除く制作陣の努力があってこそ、この施設は成り立っているのだなと思いました。

™ & © 2021 Penguin Random House LLC. All rights reserved.

さまざまな遊びをしかける一般社団法人「TOKYO PLAY!」代表理事・嶋村 仁志氏によると、幼いうちから「小さな危険」を伴う遊びをきちんと体験することが重要なのだそうです。子どもをできる限り危険から遠ざける最近の傾向をふまえて、危ないものはすべて排除するような環境で育つ子どもの将来を危惧している嶋村さんは、次のように述べています。

そんな環境で育った子どもは、チャレンジできないまま体だけが成長し、本当の危険や恐怖を実体験のなかで得ることができない。そうなると、自分の痛みを知らないばかりか、他人の痛みにも共感することができないのです。それは、子ども自身はもちろん、その周囲の人間にとっても危険なことでもあります。

引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|大切にしたい遊びの“リスク”。子どものチャレンジを支える遊びのルールとは?

子どもに「小さな危険」を体験させることが大切なのはもちろんですが、親にとっても子どもを「小さな危険」をさらすのは勇気がいることであると言えます。その意味で、PLAY! PARK ERIC CARLEは子どもだけでなく、親も子どもの遊びを通して「発見」し、子どもと一緒に「成長」できる場なのではないかと感じました。

昔からのことわざに「かわいい子には旅をさせよ」という言葉がありますが、子どもの自立には親の子離れも欠かせません。PLAY! PARK ERIC CARLEでの体験は、エリック・カールの絵本の世界を通じた親子の成長ストーリーといえるのかもしれませんね。