みなさんこんにちは!
THINK EXPERIENCE編集局の大村です!

【Quest ! 】は、都内を中心に話題のイベントや新しくオープンした商業施設をTHINK EXPERIENCE編集スタッフが実際に体験し、レポートしていくコンテンツです。

今回はプランナー2年目の中さんと一緒に、日本科学未来館で開催された『超人たちの人体』での体験の様子をレポートします!

目次
1:『超人たちの人体』 展とは?
2:男子陸上競技100m&200m世界記録保持者 ウサイン・ボルト選手
3:16個ものメダルを持つ超人車いすアスリート タチアナ・マクファーデン選手
4:鍛錬の先にある超人的な身体能力
5:大事なのは、あなたはあなたの体で生まれてきたということ

『超人たちの人体』展とは?

事前にオンライン予約をしていたので、受付後検温と手指消毒を済ませ、展示エリアに移動します。

展示ブースに入る前に、今回の展示で紹介されている3名のアスリートのプロモーション動画を鑑賞しました。

「彼らの美しいパフォーマンスは、どうやって生まれているのだろう?」とワクワクしながら実際の展示ブースに向かいます。

男子陸上競技100m&200m世界記録保持者 ウサイン・ボルト選手

最初は陸上世界記録保持者のウサイン・ボルト選手のブースが!

ウサイン・ボルト選手は言わずと知れたジャマイカの陸上選手です。

陸上100m、200mともに世界記録保持者であり、2008年の北京オリンピックでは「ライトニング・ボルト」ポーズが一世を風靡しました。

最初にボルト選手の人生年表が展示されていました。

ボルト選手は陸上100m 9.58秒という世界記録を保持しており、自身が持つ世界記録を更新し続けました。

陸上100mの限界値は、なんと9.4秒と予測されているそう。人類の限界値まであと0.18秒に迫った超人ウサイン・ボルト選手の強さの秘訣は果たして何なのでしょうか…?

本展示では「シネマチックレンダリング」という超高性能のトレーシング技術を用いて、映像技術×医療技術を独自にドッキングし、これまでにない高画質な映像でアスリートの人体の観察を可能にしています。

単に模型を見ているのではないし、ただ筋肉の構造を観察するのでもない。非常にリアルで生命を感じる映像を見ながら人体の仕組みを学ぶことができ、より理解も深まりました。

ウサイン・ボルト選手はトップアスリートの中でも群を抜いて太ももの筋力が発達していました。というのも、彼は背骨が左右にぐにゃりと曲がってしまう「脊柱側わん症」という病を患っており、100分の1秒を競う陸上競技においてはとても大きなハンディキャップを抱えていたそうです。

周囲の筋肉を鍛えることはもちろん、腕や足の筋肉も発達させバランスをとることで、ハンディキャップを埋め、世界王者の地位を手にしているのだと思うと、並々ならぬ練習量に感銘を受けてしまいますね…。

ここで、私たちも実際に太ももの筋肉を測定してみました!

まず、膝が直角になるように椅子に腰かけ、足に特殊な器具を装着。

思いっきり膝を伸ばし、限界まで足を上げます。思った以上に足に力が入りません…

測定終了!

大村 23.1、中 31.0という結果に。女性の平均は20前後らしく、まあまあの結果でした。

続いてウサイン・ボルト選手の歩幅を体験するコーナーへ。

ウサイン・ボルト選手が世界記録を出したレースの歩幅は2m86㎝だそう…!

走行中の1歩が立ち幅跳びでも届かないような距離で、実際に走るのを間近で見たら、きっとチーターのような瞬足なのだろうなと妄想が膨らみました。

左:実際に思いっきりジャンプしてみても50センチほど届きませんでした…
右:ボルト選手の足のサイズはなんと33㎝(24㎝と比較)

ほかにも、実際に選手の足をモニター上で観察し、肉離れを起こしている箇所を探す体験も。

16個ものメダルを持つ超人車いすアスリート タチアナ・マクファーデン選手

続いてアメリカのパラ陸上選手タチアナ・マクファーデン選手の展示エリアへ。

二分脊椎症による先天性下半身不随の彼女は、パラ陸上だけではなくクロスカントリーでもパラリンピックに出場経験のある超人車いすアスリートです。

ロシアの孤児院で育った彼女は、「Ya sama!(やればできる!)」を合言葉に様々な逆境に立ち向かい、パラリンピックに4度出場。

今までに獲得したメダルは16個、リオ大会では4種目で金メダルに輝いた超人アスリートです!

そもそも「レーサー」と呼ばれる競技用車いすは、操作が非常に難しいそう。

タイヤが非常に細いため、バランスを崩すとすぐに蛇行してしまいます。

競技用車いすは初めて見たのですが、思った以上にスマートで“車いす”の概念が塗り替えられました。

競技用車いす「レーサー」
タイヤは私の親指くらいの太さでした。

実際に100m走を体験!

本展示では、実際にレーサーに乗り、100m走を体験できます!

私たちも実際に体験!

レーサーのタイヤは思ったよりも回すのにかなりの力を要します。

力強く、高速でタイヤを回すためには前傾姿勢になる必要があり、その体勢だけでも私は少しきつかったくらいです…

25mを過ぎたころから、「えっ、まだ4分の1??限界!」と悲鳴を上げたくなるほど。

結局100m走りきるのに、中57.2秒、大村50.29秒を要しました。

マクファーデン選手は100m16.13秒で走るそう…!

驚異的なスピードです。

マクファーデン選手は車いすを操作するために、上半身の筋肉が鍛え抜かれていることはもちろん、彼女の脳は通常の人間とは異なる動き方をし、車いすで走るための身体の動きに対して適応しているそう。

マクファーデン選手は「大事なのは、あなたはあなたの体で生まれてきたということ」と様々なインタビューでお話ししています。

どんなに苦しい状況でも「Ya sama!(やればできる!)」の精神をもって乗り越え続けてきた姿は本当にかっこいいと感じました。

競泳バタフライ世界記録を10年ぶりに塗り替えたケレブ・ドレセル選手

最後は競泳バタフライの世界記録を10年ぶりに塗り替えたケレブ・ドレセル選手の紹介が!

ケレブ選手は東京オリンピックでなんと5冠を達成!

圧倒的スピードだけにとどまらず、幼少期から芸術的と評価され続けた泳ぎの秘訣に迫ります。

ケレブ選手は一般的には緊急時以外使用されない“胸鎖乳突筋”が発達しており、通常時から機能しているそう。普段使わない筋肉の発達は、アスリートの共通点かもしれませんね。

それだけではなく、飛び込み時の“蹴る力”が強く、世界レベルの選手の出した値よりも28㎏も高く、スタート時点で多くの選手と差をつけてしまうそうです。

<選手をかたどったパネルもかわいいですよね>

跳躍力に長けているケレブ選手は垂直飛びで75㎝も飛べるそう。

ここで、私たちも垂直飛びに挑戦してみます!

思いっきりジャンプしても、ケレブ選手の半分にもいきません…
記録は、中、大村ともに全力ジャンプで26㎝。

どんなに助走をつけても75㎝は届かないのではないか…?と、その超人的な跳躍力を体感し、驚愕しました。

ここで体験は終了。

無料展示にもかかわらず、非常に濃い展示内容で1時間以上じっくりと鑑賞・体験をしました。とても楽しかったです!

鍛錬の先にある超人的な身体能力

今回の展示を通じて「アスリートの超人的なパフォーマンスは、普段の努力の積み重ねによって生み出されている」と感じました。

今回紹介された3人のアスリートはそれぞれ異常に筋力が発達していたり、その結果普通の人が使わない身体機能を拡張していたりしましたが、そういった機能は初めから備わっていたわけではありません。3人それぞれの筋肉や脳内データを可視化した展示から、日々の鍛錬の先に超人的なパフォーマンスを可能にする身体機能があるのだとわかりました。

自分の筋力を測定したり、実際の競技と同距離の走行を経験したり、その場で自分の数値と比較できることによって、彼らの超人さをより深く理解することができたように感じます。

テレビで競技を観戦していてもアスリートの凄さは伝わってきますが、体験を通じて自分とアスリートを比較できることで、その超人度をより体感しましたね。

大事なのは、あなたはあなたの体で生まれてきたということ

マクファーデン選手の「大事なのは、あなたはあなたの体で生まれてきたということ」という言葉が非常に印象的でした。

生まれた時から障害と向き合ってきた彼女だからこそ生まれる言葉の重みはもちろんですが、スポーツに限らず、私たちはみな他の誰かにとって代わることはできません。

自分に欠けているものに目を向けるのではなく、自分が持って生まれた特徴や自分の強みを活かすことで、人生はより前向きなものになるのだと改めて感じました。

コロナ感染症の拡大で、以前のように練習をできない今、自分の身体と向き合い、日々新しい記録に向かって鍛えぬくアスリートの姿には「自分も前を向いて頑張ろう」というエネルギーをもらえました。