みなさんこんにちは!博展の川津と太田です。

【Quest ! 】は、都内を中心に話題のイベントや新しくオープンした商業施設をHAKUTENが運営するオウンドメディア『THINK EXPERIENCE』編集スタッフが実際に体験し、その様子をお届けするコンテンツです。

今回は特別編ということで、都内を飛び出して新潟県三条市でさまざまな体験をしてきました!

特別編最終回の今回は、まちの中心として新たに生まれた図書館等複合施設「まちやま」を紹介します!

目次
1:新たな”まちの中心”として人々が集う図書館等複合施設「まちやま」
2:ものづくりの意匠を凝らした空間設計
3:人と人、人と街をつなぐ文化施設としての取り組み
4:ものづくりの伝統を未来につなぐ新潟県三条市

1.  新たな”まちの中心”として人々が集う図書館等複合施設「まちやま」

ものづくりの街として知られる新潟県三条市。これまでの計3回で「マルナオ オープンファクトリー」「ON THE UMAMI TSUBAME SANJO PORT」「三条鍛冶道場」についてお伝えしてきました。

最後にご紹介するのは、図書館やミュージアムなどからなる複合施設「まちやま」。市街中心部の活性化を目指すまちやまは、建築が有名であるのみならず、近隣住民が集まり、生き生きと過ごせるような工夫も注目の施設です!

「まちやま」は2022年7月にオープンした、図書館、鍛冶ミュージアム、科学教育センター、ステージえんがわ 、ひろばが一体となった図書館等複合施設です。コンセプトは「学ぶ」「見る」「触れる」。それぞれの施設が有機的に繋がりあい、従来の図書館やミュージアムを越えた幅広い体験を提供しています。

日本を代表する建築家、隈研吾さんが設計したことでも話題を集めており、開業から約8ヶ月で計50万人の来場者を数えるなど、市外から訪れる人も多い注目度の高い施設です。

2. ものづくりの意匠を凝らした空間設計

まずは建物を外から眺めてみましょう。

一番印象的なのが外壁や屋根を覆う大量の木材です。立体的に配置された木材は、遠くから見るとまるで大きな山のように見え、木の温もりは感じられつつも他にはないダイナミックなデザインです。公募を経て選ばれた「まちやま」の名前は、この形態から”まちの中にある大きなやま”をイメージしたものだそう。

春には桜が彩ります

まちやまが建っているのは、江戸時代まであった三条城の跡地でもあり、長らく三条の街の中心だった土地。2017年に閉校した三条小学校の跡地活用を検討するなかで、市立図書館の建て替え計画も時期が重なり、図書館の枠を越えて様々な人が集まり交流する新たな拠点、として建設されました。歴史的に街の中心だった土地に新たな拠点を作ることで、過疎化が進む中心市街地に人を集め、活性化させたいという思いが込められています。そう言われると、なんだかお城のようにも見えてきますね。

中に入ってみると、木材だけではなく、ダクトが見えるむきだしの天井や、打ちっぱなしコンクリートの壁、金網といった素材も目立ちます。

これは金属加工で栄えたものづくりの町・三条の工場をイメージしたデザインとのこと。窓ガラスの標示にも金属製のワッシャーが使われているなど、細かい意匠にも工場の町としての思いがちりばめられています。ちなみに、前回ご紹介した三条鍛冶道場はまちやまのすぐ隣にあります。

窓ガラスに貼られているオレンジ色のリングが実はワッシャー。オレンジ色は工場で使われる「安全色」をイメージしているらしく、ロゴにも使用されています。

本棚が木製だったり、サインデザインがユニークなフォントで統一されていたり、吹き抜けで有機的に各階がつながっていたりと、自由で開かれた印象のある空間でした。夜22時まで開館しているということもあり、近くに住んでいたら毎日来てしまいそうです。

特に興味深かったのが、過ごし方が階ごとに分けられていたということ。1Fはカフェもあり話をしても良いフロア、2Fはにぎわいと静寂が入り混じり幅広い世代が学ぶフロア、3Fは本をじっくり読んだり勉強したりするフロア。読書や会話を楽しむことはもちろん、小さな子どもをお連れの親御さんも安心して過ごせますね。

3. 人と人、人と街をつなぐ文化施設としての取り組み

「まちやま」は図書館としての機能だけではなく、鍛冶ミュージアムや科学教育センター、ホールといった機能もあり、文化施設としてさまざまな施設が組み合わさって成り立っています。科学教育センターは周辺の小学校の生徒たちが様々な科学実験や観察をできる場として提供されており、ミュージアムや教育センターで実物を見ることと、図書館で書籍を読むことを合わせてより深く学べるようになっています。

さらに、まちやまの建物と同じ敷地にある2016年開業の「ステージえんがわ」は、誰もが使える「新たな公民館」として、ワークショップを年間300以上開催しているほか、入居するカレー屋さんも人気を博しています。

木造の屋根が印象的なステージえんがわ。
えんがわカレンダーと題してさまざまな催し物の案内が掲示されています。

そのほか、会議室やホールの貸出やイベントの開催など、人々が親しみやすい施設になっているということもまちやまの特徴のひとつ。特に、ワークショップの講師は周辺の工場で働く方が担当したり、ホールでのイベントは周辺住民が主催するものも多いなど、市民たちの手で作り上げていく施設となっているのが興味深い点です。意外な使い方として、会議室をコワーキングスペースや自習室として使う人もいるのだそうです。

私たちが訪れる間にも、ステージえんがわや図書館の1Fでは近所の子どもたちが集まって遊ぶ姿が見られたり、ホールでは週末のイベント準備をする地域の人々の姿がみられたりと、市民の方々による幅広い使い方を垣間見ることができました!

イベントやワークショップに参加するもよし、おしゃべりをするもよし、もちろん読書をするもよし。有機的な吹き抜けの空間で、自由に過ごしたり人や文化と関わったりできる、開かれた施設としてのまちやまのあり方は、「図書館」や「公民館」という枠に収まらない「公共施設」としてとてもふさわしい姿ですね。私たちみたいな観光客がふらっと訪れて、イベントやワークショップに参加することで市民の方々との交流を楽しむこともできそうですね。

4. ものづくりの伝統を未来につなぐ新潟県三条市

図書館やミュージアム、ホールなどの複合施設であるまちやまは、「開かれた公共施設」として、人と人、人と街、人と文化をつなげる拠点として機能していました。建築の意匠に現れるように、ものづくりへの思いは空間として表現しつつも、人々の出会いを生み出す場としてのまちやまは、ものづくりを大切にしながら商業的にも発展してきた三条の街ならではの新たな施設ですね。

これまでご紹介したマルナオ オープンファクトリーや三条鍛冶道場、ON THE UMAMI TSUBAME SANJO PORTも含め、三条市内の各スポットはものづくりの歴史や伝統を大切にしながらも、「体験」を通して一般の人々にその思いや魅力を伝え、未来へとつなごうとしている点が共通していると感じました。

日本が誇るものづくりの技術や考え方を「体験」で味わうことのできる新潟県三条市。有名スポットを見て回るだけの観光とは一味違った経験をしたい方々におすすめしたいエリアです。

翌日観光として訪れた燕市の弥彦神社

なお、今回は行程の都合上、三条市のスポットのみを紹介してきましたが、お隣の燕市にも藤次郎オープンファクトリーや燕市産業史料館など、ものづくりが体感できるスポットが多数あります。ぜひ燕三条エリアに足を運んで、行程や興味などを考えながら行きたいスポットを選んでみてください!

施設概要

施設名 まちやま
住所
〒955-0072 新潟県三条市元町11-6
営業時間
9:30~22:00
定休日
毎月第3月曜日、毎月末日(土日祝日、月曜日の場合は直前の平日)、年末年始(ステージえんがわは毎週水曜日、年末年始)
Instagramアカウント

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