みなさんこんにちは!

Think EXperience編集部の小林です。

【Quest ! 】は、都内を中心に話題のイベントや新しくオープンした商業施設をTHINK EXPERIENCE編集スタッフが実際に体験し、レポートしていくコンテンツです。

目次
1:国内初のクリエイティブミュージアム「AkeruE」とは?
2:実際にAkeruEを体験!
   ‐2F:GAIA/TECHNITO/CHAOS
   ‐3F:ASTRO/PHOTON/COSMOS (有料エリア)
3:「ひらめき力」を育むクリエイティブミュージアムの3つの工夫
4:【編集後記】ここで体験した子どもたちが新たな未来を切り開く

国内初のクリエイティブミュージアム「AkeruE」とは?

「AkeruE」とは2021年4月3日(土)に東京・有明のパナソニックセンター東京2・3階にオープンしたパナソニック株式会社が運営する国内初のクリエイティブミュージアムです。
※2021年4月3日現在

AkeruEのコンセプトは、「ひらめきをカタチにするミュージアム」

作品を観る、つくる、そして伝える(発信・共有)する様々な体験を通して、子どもたちの「ひらめき力(ギリシャ語でEureka)」を育む施設です。

クリエイティブミュージアムという新しい概念

パナソニックの体験施設といえば、子どもたちの理科と数学(算数)への興味関心を向上させる科学ミュージアム「RiSuPia(リスーピア)」のイメージが強い方も多いのではないでしょうか。

ますます不安定な時代の中で、さまざまな課題を提起し、解決のためにポジティブに行動できる力が重要になるという社会的な背景から、パナソニックは2020年に理数ミュージアム「RiSuPia」の閉館/リニューアルを決定。科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)というSTEMの概念に、芸術(Art)を足したSTEAM教育分野を融合させた新たなクリエイティブミュージアム「AkeruE」をオープンしました。

【参考】STEAM教育

実際に「AkeruE」を体験!

2F:GAIA/TECHNITO/CHAOS

GAIA(ガイア)

「小さな地球」をイメージした木製の球体オブジェが印象的なエリア。

ここでは魚と植物を同じシステムで育てる循環型栽培「アクアポニックス」を展示しており、この栽培方法は生産性と環境配慮を両立できる持続可能な農業として世界中で導入されています。

水槽の微生物や魚の排泄物を栄養源に植物が育ち、植物によってろ過された水を魚の水槽に利用する、こういった“自然循環の仕組み”がわかりやすく可視化されているエリア

す。

TECHNITO(テクニート)

こちらは様々な最新機器が使える工房となっており、体験ワークショップや会員プログラムなどが定期的に開催されています。

3Dプリンターやレーザーカッター、電動木工工具など、ついついお父さんお母さんも興味津々になってしまうような最新機器がずらりと並べられていました。

また、たくさんの端材や廃材が用意されていたり、中身がわかる手作り収納ケースに道具がしまわれていたりと、アナログで環境に優しい様々なアプローチが仕掛けられていました。

CHAOS(カオス)

こちらは年齢や仕事、立場の違うさまざまな人たちが集まりアイデア(ひらめき)を共有できるスペースとなっており、私たちが訪れた際にも多くの人がMTGを行っていました。

よく見ると、並んでいるテーブルや椅子がさまざまな形をしていたり、中には学校で使っている跳び箱なんかが混じっていたり。どうやら様々なモノがアップサイクルされているそうで、ソーラーパネルを利用したテーブルや跳び箱を利用したベンチ、洗濯機のドラムを利用した植木鉢など面白いアイデアがいたるところにちりばめられた空間となっていました。

3F:ASTRO/PHOTON/COSMOS (有料エリア)

有料ゾーンに行く前に、2階入口で「ひらめき手帳」を受け取ります。

これは館内案内マップになっているだけでなく、自分がふしぎに思ったこと、気づいたことをその場でメモして、自宅に持ち帰れる冊子になっています。

ひらめき手帳を首からかけた後に最初に目に入るのは、AkeruEのメッセージが逆さ文字になって投影された3階エントランス。ちなみに、AkeruE(アケルエ)は反対から読むと“Eureka(ギリシャ語で「ひらめき力」)”になっています。

ASTRO(アストロ)

AkeruEという文字が投影された自動ドアのあとに広がるのは、ASTRO(アストロ)エリア。

ここではAkeruEの新設に携わったアーティストや教授、パナソニック社員の方々によるアート作品と、その周りに作品の仕組みを分解して説明しているミニワゴンが数多く展示されています。

今回私が1番感動した作品が、磁性流体の展示!

磁性流体とは砂鉄を混ぜた液体で、磁力に反応して様々な形に変化します。

この展示では磁力を3次元で可視化しており、音に反応して磁力を変えることで、この流体の形も多様に変化する様子を観察できます。

また、この展示では周囲の2つのミニワゴン展示で仕組みを1つずつ因数分解し、解説していました。

1つは、磁性流体の入った筒状の展示に磁石をタッチペンのように当ててみることで、砂鉄と磁石の関係を解説する展示。

もう1つは、バームクーヘンのような形の筒に油と鎖砂鉄が入っており、回しながら中央に磁石の棒を入れることで電磁波の流れを解説する展示となっていました。

この2つの解説を通して、作品を見たときに感じた不思議を理解につなげる。また、新たな疑問を見つけるように促す展示構成になっていました。

小学生の頃に砂鉄で実験をしたり、映像で見たりしたことはあったものの、磁性流体が滑らかに変化していく様子を実際に目の当たりにすると、その力強さや美しさに圧倒され、仕組みがどんどん気になりました。

ちなみに、さらに詳しい解説や仕組みを知りたい場合はワゴン展示台にあるQRコードからクリエイターの解説などが掲載されたサイトにアクセスできます。

参考:https://www.panasonic.com/jp/corporate/center-tokyo/akerue/exhibition/magnetic-fluid.html

また、リンゴを模した赤い小さな玉を風力だけで移動させていく展示が印象に残りました。

ニュートンはリンゴが木から落ちる様子を見て、重力の概念を発見しましたが、こちらの展示ではリンゴが浮き続ける様子から浮遊の仕組みを観察できる展示になっています。

全てのリンゴを浮かべると、リンゴたちが浮き沈みしていて、踊っているように見えました。

参考:https://www.panasonic.com/jp/corporate/center-tokyo/akerue/exhibition/floatio.html

そのほかにも光の種類で絵画やモノの見え方が全く異なってしまう展示、小さなロボットが子供たちの描いた線の色を読み取ることで音を奏でる展示などさまざまでした。

実際に目で見て、疑問を持ち、解決していく一連の流れを体験できたので、その事象に対する興味関心がますます深まっていくような展示でした。

PHOTON(フォトン)

ASTROの奥をくぐった先にあるのが、PHOTON(フォトン)エリア。

ここには写真や映像素材を撮影・編集できる機材が揃っており、自分で映像制作から発信までできるスタジオとなっています。

「ストップモーション」「アフレコ」「スローモーション」「ズームアウト」の4つのスタジオが小物とともに用意されており、それぞれの編集テクニックをとおして映像作品を制作できます。

そして完成した映像は、スタジオ内にある大きなスクリーンで流したり、YouTubeにアップしたりすることで、自分のアイデアを発信するところまで体験できます。

私も実際に子どもたちがつくった作品を鑑賞しましたが、子どもならではの不思議で純粋な視点が詰まっており、とても刺激的でした。

また、作った感想やこだわったポイント、作り方のコツなどを付箋に書いて次に来る子たちに伝えるスペースも。他者の学びや考えに触発され、自分の気づきを共有するまでの体験ができるすてきな仕掛けとなっていました。 

COSMOS(コスモス)

COSMOS(コスモス)は、3カ月ごとに変わるテーマに沿って、自分のアイデア(ひらめき)をカタチにできる工作スタジオで、用意されているさまざまな廃材を利用し、思い思いの作品を自由にクリエイトできます。

ちなみに今回のテーマは、「もし海の中に住むとしたら、どんなものが必要になるかな?」というもの。

将来、地球環境が変わっていたら他の土地や地球外に住むかもしれない…という想定で、例えば海の中に住む社会になったら必要になるモノを想像し、実際に創作までしていきます。

完成した作品を小さなスタジオで撮影するとその場にいる人々に共有されたり、中央のライトアップされたステージに並べて展示すると全体で大きな1つの作品になったりします。また、プロジェクションマッピングで、同じ材料同士の作品や形が似ている作品が線で繋がれていくという感動的な仕掛けも…!

個人的に「瞑想できる部屋」や「ふわふわのリラックスできる空間」などの作品がいくつか目に留まりました。子どもの目線でも、社会に”ゆとり”が必要だと感じるようですね…(笑)

また、「ソーシャルディスタンスを保ちながら遊べる場所」などの作品も。子どもたちにとって感染症対策は当たり前になりつつあるのかもしれません。

ちなみに不定期で作品コンテストも行われており、前回は「誰かをハッピーにする未来の商品をつくってみよう」をテーマに開催されたそうです。認知症のおばあちゃんに向けてつくった「抱きしめると思い出が蘇ってくるハートのクッション」や「平等に給食のカレーを取り分けられるオタマ」、「モノにかざすと分別方法や捨て方が分かるエコフレーム」などが入賞作品に選ばれ、子どもたちのひらめきの豊かさがとても羨ましくなりました。

「ひらめき力」を育むクリエイティブミュージアムの3つの工夫

忘れてしまっていた大切な感覚を思い出させてくれる体験設計

AkeruEの最大の特徴は、目で見る・考える・ひらめく・実験してみる・発信してみる→目で見る(触発される)・・・という学びの一連のサイクルをその場で体験できる仕組みがすべて揃っている点だと思います。

何より現代的だったのが、自分の作品を発信し、コミュニケーションができる環境が整っていたこと。自分の中にある物語を、どんな形でもいいからアウトプットする。

「考えを行動に移す」「考えを発信する」って、大人でもなかなか難しい…けどとても大切なことですよね。

そして自分が手を動かして得た気付きを付箋に書いて共有することで、子どもの頃から助け合いや知恵を共有する経験ができる点も、非常に素晴らしいと思いました。

また、どのコンテンツもアナログな手法から、時代の最先端技術を駆使したイマドキな手法まで様々なものが用意されていたことも特徴的だったと思います。

ちなみに、スタッフさんはあくまで作品の仕組みや道具の説明をするだけで創作へは一切口出ししないそう。自分で考えて取り組むことで無限の楽しみ方ができるため、子どもたちの個性を生かしながら知的好奇心を醸成できる特別な体験施設でした。

一方的ではない、考えさせる情報掲示

トイレのサイン一つを例に挙げても、男性マークと女性マークに加え虹色の人のマークがあり「どうして3つあるのだろう?」と考えたり、アップサイクルを活用した什器や仕掛けには、「もともと何に使われていたモノなんだろう?」と考えたり、注意深く観察して考えるきっかけになる展示がとても多かったです。

また、ちょっとした説明書きでも、すぐに答えを提示するわけではなく、問いかけてくる文章になっていることで「なんで○○なんだろう?」と自分で考えさせる仕掛けが多く、一貫して「気づき」をテーマに作られていたので、子どもに限らず大人でも考えさせられながら館内を回れる施設でした。

サステナビリティな価値観を育む工夫

アップサイクル・廃材の利用やジェンダーレスなサインなど、モノを大切にする力やサステナビリティに対する感性を醸成するような体験・展示が多かったのも印象的でした。

誰かが使った後の端材でも、創造力次第で新たな作品の大切なパーツになる体験ができるのはとてもいいですよね。

サステナビリティに関する教育は最近特に大切な視点ですが、パネル展示やセミナーなどで事例を見聞きするだけではどうしても自分ゴト化しにくい難しい話題だとも思います。

AkeruEでは、自分が使用する道具や材料、体験そのものにサステナビリティのアイデアが詰め込まれていたため、子どもでも分かりやすく理解でき、自分ゴト化できる空間になっていた点がとても素晴らしいと思いました。

この考えが、子どもたちの将来では当たり前になっているといいなと思います。

【編集後記】ここで体験した子どもたちが新たな未来を切り開く

今回はパナソニック株式会社の体験型施設「AkeruE」の様子をお届けしました。

「ひらめきをカタチにするミュージアム」をコンセプトに、作品を観る・つくる・そして伝える(発信・共有)できる環境が整っており、ここで自由に感性を磨くことのできる子どもたちがとても羨ましくなりました。

個人的に、3Dプリンターや動画制作スタジオのように大人の私たちまで魅力を感じる最先端なツールから、工作のように懐かしく童心に帰って楽しめるものまで、幅広い手段が揃っている「AkeruE」の空間がとても魅力的でした。

また、ジェンダーレスなサインやアップサイクルされた設備など、サステナブルが当たり前な考え方になっている空間・体験設計となっていたことからも、「AkeruE」で幼少期を過ごした子どもたちが活躍する未来まで楽しみになりました。