みなさんこんにちは!HAKUTENの原口です。

【Quest ! 】は話題のイベントや新しくオープンした商業施設を、HAKUTENが運営するオウンドメディア『THINK EXPERIENCE』編集スタッフが実際に体験し、レポートしていくコンテンツです。

今回レポートするのは大分県別府市にある『地獄温泉ミュージアム』。
名前に「地獄」とつくので怖い場所に思えてしまいますが、ここでは来場者が水になって温泉水になるプロセスを体験できる施設なのだとか。

どんな体験が待っているのか楽しみですね!

目次

地獄温泉ミュージアムとは?

「地獄めぐり」で有名な大分県別府市にある温泉を体感しながら学べるアカデミック・エンターテインメント施設。

「温泉が、もっと愛おしくなる」をコンセプトに、なんと雨粒から温泉水になるまでを水になった目線で体験できる施設なんです。

そしてなんと、この施設の中庭では〈金龍地獄〉時代から続く噴気と源泉が間近でみられます。 ミュージアムの庭に本物の温泉がもくもくと沸き出ている様子を見ると、この施設のユニークさがよくわかりますね!

べっぷ地獄めぐり共通観覧券を購入していればチケットをお得に購入できるので、地獄めぐりとセットがおすすめです。

早速、”温泉水になる旅”に出発しましょう!

雨粒から温泉になるまでの4つのSCENE

SCENE 1:空からの贈りもの 〜The finiteness of hot springs

まず最初は自分が雨粒になって空から降ってくるシーン。

ここでは雨水が大地に浸透していく様子をプロジェクションマッピングで表現しています。

周囲に並んだ椅子に腰掛けながら中央の画面を覗いていると、大分の街が映し出され、そこに雨粒が降り注いでいく様子が。

何層もの地盤をすり抜け、地底深くまで浸透していく様子が幻想的に映し出されていました。

ちょうど大分旅行中も雨が降っていたので、「昨日の雨もいつか温泉になるのかな」なんて思いを馳せていました。

SCENE 2:50年もの地中の旅 〜The value of hot springs

次は雨粒となった私たちが、いくつもの地層に浸透して地中を旅するシーン。

ここは「灼熱の迷宮」「断層の迷宮」「湯だまりの世界」の3つの体験ができます。

SCENE2.1:灼熱の迷宮

「灼熱の迷宮」はその名の通り、地球そのものの熱を感じさせるような暖色のカーテンが重なって垂れ下がり、迷路のように道がいくつも分かれていました。

また、所々に温泉になるまでのトリビアが隠されていて、迷路をたのしみながら新しい知識と出会えます。

SCENE2.2:断層の迷宮

地層のなかに迷い込んでしまったかのような不思議な写真が撮れるフォトスポット。

ここでは温泉の素である「原温泉水」が3種類の温泉に変化する過程を表現しています。

SCENE2.3:湯だまりの世界

湯だまりとは、火山ガスや岩石から溶け出したミネラル、イオンなどの物質が溶け込んだ地下にある温泉水の溜まり場のこと。

様々なミネラル、イオンが水に溶け込み、混ざり合っていくことで多様な泉質が生まれていく様子を赤や緑、そして青などに空間全体が変化していく演出で表現されています。

様々な角度で構成された壁は鏡になっており、どこまでも続いていくかのような幻想的な世界が広がっていました。

また、天井は水面のよう波打っているのでまるで水中にいるかのような写真が撮れました!

SCENE 3:人や文化との出会い 〜The diversity of hot springs

ところでみなさん、なぜここが「地獄」と呼ばれているか知っていますか?
この地獄温泉も今でこそしっかりと整備され、観光地として賑わっていますが、千年以上前は噴気・熱泥・熱湯などが噴出していて、近寄ることができない土地だったことから、人々はこの場所を「地獄」と呼びはじめたのだとか。

「地獄」の由縁はこんなところにあったんですね。

この「地獄」と呼ばれていた場所を鎮め、温泉へと開いていったのが僧侶の一遍上人(いっぺん しょうにん)。

1276年に初めて鉄輪に来た一遍上人が、無数の石に経文を書き、それらを温泉に投げ込むことで温泉を埋め、人々の病を治すために経文の功力と温泉の効果を組み合わせた、お風呂を作りました。

その後、江戸時代には温泉の湯と湯気が調理だけでなく、入浴や治療にも使われ、この地域の資源として利用されていったとのことでした。

温泉は日々の入浴以外にも生活の1つとして受け入れられているんですね。

SCENE 4:今、そして未来へ 〜The sustainability of hot springs

最後のシーンでは現在の温泉文化を表す展示空間になっていて、ちょうどこの時は「『地嶽祭』展 –地嶽ではぐくむ、芸術の源泉–」が開催中でした。

高温の蒸気や熱湯が大地から噴出する別府では大地のエネルギーや地球の生命力をより身近に感じられることから、それらを神の力として崇め、別府という大地に佇む神々や祖先に感謝や祈りを捧げる文化が形成されていきました。

ここで展示されている衣装も、実際の祭りで使用されるものが並んでいます。

大地のエネルギーを感じさせる赤や地獄を思わせる黒などの配色でデザインされた衣装は何か神秘的な力を感じさせるほどインパクトが強く、見るものを圧倒していました。 温泉は人々を温め、癒すものではありますが、その大地のエネルギーが人々を魅了し、それを象徴とした文化を形成するなど、日本人の価値観に大きく影響していたんですね。

小物や衣装のデザインスケッチなどが展示されていました。
衣装のスケッチも神秘的で未知のチカラが宿っているような迫力あるデザインでした。

あなたはどんな温泉になった!?「泉質」診断

SCENE2では受付で配られる別府の街並みが描かれたポストカードにスタンプを押して自分だけの「別府鉄輪湯けむり風景」を作れます。

最後には、集めたスタンプをもとに、雨粒だった私がどのような「泉質」になったか判定してくれます。

「湯上り爽快!炭酸水素塩泉」タイプに診断されました!
様々な泉質の温泉が載った別府泉質マップ

全部で7種類ある泉質ですが、こうやって自分ごと化されることでよくわかっていなかった船室の種類に親近感が湧きますね。

温泉 × こだわりの食材 × 実力派シェフ による食体験 『50カフェ』

施設内には中庭の湯けむりを眺めながら、ゆっくりと流れる時間を楽しめる本格志向の飲食ブース「50CAFE」があります。

各地から取り寄せたスペシャルコーヒーや九州の食材を使ったホットドッグ、ソフトクリームなど豊富なメニューがあるので、ここでゆっくりするのもいいですね。

また、物販ブースではご当地お菓子やジャムなども販売されているので旅のお土産を買うのにもぴったりです。

温泉の蒸気で作られた「鉄輪温泉made蒸しジャム」

温泉という大地の恵みと文化を体験できる施設

日本人にとって馴染みの深い温泉ですが、その温泉ができるまでには長い年月がかかっていることや、いくつもの泉質に別れていることなど、今まで知っているようで知らなかったことに出会えた施設でした。

水になって雨水から温泉水になるまでを旅するという体験が斬新で、スタンプラリーを通して最後に自分がどんな泉質になるのかなど、自分ごと化させる仕掛けがたくさんあったので家族でもカップルでも楽しめます!

階段を登っていると昔の掘削機を思わせる影が…!
風呂桶や蛇口など細部まで作り込まれていて、お風呂場を思わせる空間に。

また、温泉はゆったりと寛ぐ憩いの文化というイメージがありましたが、治療や調理にまで使われるほど生活に根差していたことや、そのエネルギーに神秘さや尊さを感じとり、日本独自の文化ができたのかと思うと、日本人の自然に対する価値観にも大きく影響を与えていたものだったのかと勉強になりました。

外国人観光客にも人気の温泉ですが、背景にある文化やその歴史に触れることで、日本の温泉文化により一層愛着を持ってもらえると嬉しいですね。

皆さんも大分県を訪れた際はぜひ足を運んでみてください!

施設概要
地獄温泉ミュージアム
住所:〒874-0000大分県別府市鉄輪321-1
営業時間:9時00分~18時00分(最終入場は17時30分)
定休日:不定休(年間4日程度)
webサイト:https://jigoku-museum.com/
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