SDGsに取り組んでいる企業は増えていますが、一般生活者にその取り組みを正しく理解 / 認知してもらえず、お悩みの企業も多いのではないでしょうか?

今回はビジネスにおけるSDGsのマーケティングトレンドを徹底解説!
SDGsに高いリテラシーを持つ消費者が、企業のサステナブルな取り組みに対してどのように理解しているのか、企業は消費者にSDGsの取り組みをどのように発信していくべきか考察します。

Agenda
1:SDGsの広がりとドーナツ経済モデル
2:資本を見直し、ビジネスのモデルを再考すべき時代
3:企業がSDGsに貢献するために重要な“5つのforces”
4:Sustainable Marketingが今後のトレンドへ
5:企業のサステナビリティイメージ調査”JSBI”のご紹介

SDGsの広がりとドーナツ経済モデル

SDGsが全世界的に注目されていることはみなさんご存じのとおりですが、これに対して様々な考え方の枠組みが提唱されています。

ドーナツ経済モデル

安定した地球で人類が安全に生活できる範囲を科学的に定義し、定量化したモデル。
社会や環境には限界(バウンダリー)があり、今の地球はその限界を既に飛び越えてしまっていると考えられています。(プラネタリー・バウンダリー)

私たちの経済を恒常的に維持するための指標として、地球の限界とされる範囲(下記図 グリーンの部分)を定義しています。

現状の気候変動は限界を超えた危機的状況に直面していたり、ジェンダー平等やエネルギー課題の指標は社会的な基礎として不足していたり、非常にバランスの悪い状態です。
これをうまくコントロールしながら、グリーンの指標の中で持続可能な社会を目指しているのが“ドーナツ経済モデル”という概念であり、現在注目を集めています。

資本を見直し、ビジネスのモデルを再考すべき時代

企業はこのドーナツ経済モデルにおいてバランスの取れた経済活動を実現すべく、ビジネスの変容が求められています。
ビジネスを行う上では“資本”が必要不可欠です。
資本というと財務資本や生産資本が頭に浮かぶ方が多いと思いますが、ほかにも知的資本 / 人的資本 / 社会関係資本も重要だといわれています。

資本の中で最も重視されているのが「自然資本」です。
生物多様性と人間社会のバランスをどのようにとっていくべきか議論されている現在において、自然資源と共存していく事業スタイルへのシフトチェンジが重要です。

加えて「歴史文化資本」も非常に重要。
今までの知見や歴史的な関係を紐解けば、過去の津波や洪水などによる被害の痕跡から災害時の被害をある程度は予測可能です。過去の先人からの警鐘を無視せず、改めて調査・分析をし、安心安全な地球を再構築していく必要があります。

企業がSDGsに貢献するために重要な“5つのforces”

持続可能な開発(サステナブル・ディベロップメント)を行うためには、
①今の世代 / 未来の世代両方の欲求を叶えること(時間的要素)
②経済 / 環境 / 社会のバランスがとれていること(空間適要素)
の2つを満たす必要があります。

持続可能な開発を達成するために、企業は5つの圧力への対応を求められています。

企業が求められている5つのforces

⑴ 国際基準(SDGs)
世界の共通目標であるSDGsへの貢献は今や必須事項であり、企業規模にかかわらず対応が求められています。

⑵ 金融機関 / 投資家
ヨーロッパを中心に、海外ではSRI投資(Socially Responsible Investment:社会的責任)が主流になっています。
投資を行う上でサステナビリティが判断軸になる時代に突入しているということですね。

日本は海外諸国と比較してSRI投資は遅れていますが、そのパフォーマンスの高さから近年注目を集めており、今後必ずのびていく分野だといわれています。

⑶ サプライチェーン(モノ) / 従業員(ヒト)
最近ニュースでもよく耳にする「サプライチェーン」課題。
仕入れのルーツを明瞭にすることはもちろん、そこで働く人々の安全性の確保はされているのか。その調査・把握は企業の責任であることは間違いありません。

さらに、従業員やパートナー企業も、サステナビリティの取り組みを協業するための条件として提示する風潮が高まっており、企業は早急なサプライチェーンの見直しを求められています。

⑷ 顧客 / 消費者

SDGsの認知度がますます上昇する中、顧客のサステナビリティ感度ももちろん高まっています。
SDGsの認知度が最も高い世代は10代。
未来の働き手、未来の顧客は、現状よりも高いレベルでSDGsへの貢献を求めていることを念頭に、企業はさらに進んだSDGs・サステナビリティに対する取り組みを更新していく必要があります。

⑸ 業界内競争
サステナビリティへの貢献が企業イメージに及ぼす影響は年々大きくなっていますが、今後もサステナビリティへの取り組みに関する業界内での競争は加速していくと考えられます。
全ての要素を満たしたうえで、サステナビリティの文脈における自社の強みを確立していくことが今後重要になるでしょう。

この5つのforcesを満たしたうえで、企業はサステナビリティがある生活がいかに豊かであるかを社会に伝えていくべきフェーズに突入しています。

Sustainable Marketingが今後のトレンドへ

今後のマーケティングを考える上でのキーワードは「REGENERATION」(再生)です。

今までは技術や製造設備といった提供側からの発想でマーケティング活動を行う「プロダクトアウト」、市場や消費者のニーズに合わせてマーケティング活動を行う「マーケットイン」といった手法が中心でしたが、現在は社会課題をビジネスに取り入れる「ソーシャルイン」が主流になっています。

さらに今後は、企業が消費者一人ひとりに対してサステナビリティな体験を提供する「サステナビリティマーケティング」が加速すると考えられています。

サステナビリティをルールや押し付けで推進するのではなく、消費者のより良い暮らし、“Good Life”のために心がけるべきものと定義し、「サステナビリティがある暮らし=Good Life」を消費者に体験してもらうことが今後ポイントになっていくでしょう。

そのためにビジネスの現場では社会課題を事業に取り込み、解決していくビジネスモデルに転換していく流れが大きくなっています。
サステナブルなマーケティングで生活者にGood Lifeを提供し、モノだけではなく精神的にもサステナビリティを実感してもらうこと。そして、企業と消費者が相互に影響しあい、サステナビリティを推進していくことが理想の形として求められていくのではないでしょうか?

企業のサステナビリティイメージ調査”JSBI”

「ジャパン・サステナブルブランド・インデックス(JSBI)」は、全国の9000人の回答による国内17業種180社の持続可能な環境・社会への取り組みとブランドイメージのSB独自の調査です。
サステナビリティに取り組む企業が消費者にどのようなイメージを持たれているのか、実際の企業の取り組みと消費者の評価の間にどのような差異があるのかを可視化。

サステナビリティに関する活動の指標としてとてもおすすめのコンテンツです!

<一部紹介>

<SDGsのイメージ調査結果>

JSBI詳細ページへ

https://www.sustainablebrands.jp/event/sb2021/JSBI_Report_Ver-1.0.pdf

終わりに

サステナビリティの取り組みを単に強化するだけではなく、それを外部へと積極的に発信することでブランドイメージを確立することは非常に重要です。
JSBIという指標を活用し、社会課題にいかに貢献していくか、消費者のサステナブルな体験をどうやって作っていくかを改めて考える必要があるのではないでしょうか?
今後新しいビジネスモデルを確立する際はぜひ一度参考にしてみてください。