みなさんこんにちは!
博展 プランナーの川津と渡邉です。
【Quest ! 】は、都内を中心に新しい店舗体験やイベントについて私たちが実際に体験し、月1回更新でレポートしていくコンテンツです。
目次
今回の体験スポット UPI 表参道とは?
コロナ禍で再燃したアウトドアブーム
アウトドアの魅力が詰まった店舗で体験!
今回の体験を終えて
UPI表参道とは?
第5回は2021年の1月にオープンした「UPI 表参道」での体験をお届けします。
UPI 表参道は、2021年1月にオープンした体験型のアウトドアストアです。
店内には、植栽の中に小川が流れる自然がリアルに再現され、そのスペースをつかって店舗内で販売されているアウトドアグッズを試すことができます。
都心にいながら自然の中でアウトドアカルチャーが味わえるということで注目を集めている店舗です!
表参道の他にも、本社のある鎌倉と、京都にも店舗を構えています。
合言葉は「自然の中で、あたたかく生きる人々と共に」
UPI 表参道を運営する株式会社アンプラージュインターナショナル(UPI)は、「自然の中で、あたたかく生きる人々と共に」というキーワードの元に活動する、アウトドアライフ企業です。
2010年の創業以来、北欧、アイルランド、北米をはじめとする海外アウトドアブランドの正規輸入代理店として、現在は20を超えるブランドを取り扱っています。
UPIが取り扱うブランドの多くは家族経営を含む小規模企業で、「売る」「買う」以外のアウトドアライフに関しての考え方を大切にしているブランドだそうで、それぞれのブランドから彼らが大切にしてきた文化や背景を学び、インスピレーションを受け、共に歩むことを大切にしています。輸入代理店という位置付けだけでなく、これまで培ってきた知識を活かし、日本のものづくりとアウトドアライフを繋ぐプロダクトメーカーとしての活動も始まっています。
コロナ禍で再燃したアウトドアブーム
数年前から加速していたアウトドアブームは、コロナ禍を受けて、さらに盛り上がりを見せています。
「ソロキャンプ」「グランピング」などの言葉の流行だけでなく、キャンプを楽しむ女子高生を題材にした漫画「ゆるキャン△」の流行や、高機能で経済的かつ従来の作業服のイメージを覆すファッション性で話題になった「WORKMAN Plus」「#ワークマン女子」など、世の中の流れから見ても、多方面からのアウトドアへの需要が高まっていることが感じられます。
さらに、2020年以降は、新型コロナウイルスの影響により、遠出や人混みが避けられる中で「3密を避けることができるレジャー」として、さらなる注目を集めています。
「アウトドアのインドア化」
今回のアウトドアブームのキーワードは「アウトドアのインドア化」と言われています。
(キャンプトレンド調査2021 調べ)
コロナ禍により自宅でキャンプ料理を楽しんだり、自宅の庭やベランダでキャンプ道具を使ったりとアウトドアを楽しむ人が増えたことが特徴の一つにあります。
アウトドアといえば、非日常的な「場所」を楽しむことが軸にありましたが、今回のアウトドアブームは、日常生活の中にアウトドアを組み込み、「体験」そのものを純粋に楽しむという新しい流れだと感じています。
アウトドアという括りの中でも違う階層で、比較的ライト層によって独自の発展を遂げているようです。
アウトドアの魅力が詰まった店舗で体験!
UPI表参道は、表参道から少し入った静かで落ち着きのあるエリアにあります。
まず入って驚いたのは、店内に川が流れていることです。植物がたくさんある店舗は他にも見たことがありますが、川が実際に流れている店舗は初めて見ました!
自然をイメージしたエリアと店舗のエリアがはっきりと床面の境界線で分かれていますが、自然が全体の中で違和感なく馴染んでいて、とても居心地がいい空間でした。
思わず立ち止まって観察したくなる自然空間
実際のアウトドアフィールドを想定した自然エリアには様々な魅力と工夫が詰まっています。
ほぼ全ての植物が実際に植栽されていて、店舗スタッフの方が毎日水やりや植物の手入れなどをして育てているので、見る場所や見る時間によって変化する自然の様子を観察することができます。
特に水辺のあたりは本当に森や川の中にいるような感覚になるほど細部までこだわりを感じる植物や川は思わず近づいてじっと見たくなるような魅力的なエリアでした。川の中には様々な生き物が生息していて、メダカやアメンボがいたり、現在はホタルを育てているエリアもあります。
私たちは開店すぐに訪れたので、朝の水やりの後で木々から水滴が滴っていました。
これから半年、1年と時間が経過する中で、フィールドエリアがどのように成長していくのかもUPI表参道の楽しみの方の一つだと思いました。
また、店舗内ではUPIの本社がある大阪の地ビールである「箕面ビール」を飲むことができます。
なかなか遠出ができない今、木々を見て、川の音を聞きながら飲むビールは、ちょっと贅沢な体験になるのではないでしょうか。
ファイヤースターターで火起こしにチャレンジ!
入店してすぐに店員の方に「火起こししてみませんか?」と声をかけていただき、早速フィールドエリアに出て体験してきました。
木製の床から土のフィールドエリアに出るだけで、テンションが上がります。足を踏み入れてみて、湿った土が沈む感じがとても表参道の室内とは思えませんでした。
今回は「PATHFINDER FERRO ROD WITH STRIKER 15CM / パスファインダー フェロセリウム ロッド with ストライカー」というファイヤースターターを使って火起こし体験をしました。
ファイヤースターターとは、マグネシウムなどが含まれる棒状の金属を勢いよく擦り、それによって起こる火花を綿などの燃えやすい素材に移して発火させるアイテムです。
金属を削るように勢いよく黒い板(ストライカー)を動かすと大きな火花が出て、何度か繰り返すと実際に綿に火をつけることができました! 火を付けることは、初心者が初めに思いつくアウトドアの楽しい要素の一つだと思いますが、入店早々早速体験できたことで、お店とアウトドア自体にぐっと引きつけられたように感じます。
何の気なしに渡されて使ったこの道具ですが、使い込むことで削れていく金属の形に時間の流れを感じました。
フィールドエリアにあるハンモックも体験することができます。実際に寝てみると、フィールドエリアの植栽が視界に入り、本当に屋外で寝ているかのような感覚で、場所を忘れリラックスしてしまいました。アウトドア初心者の方も、UPI表参道での体験からモチベーションを高めることができるのではないでしょうか。
ナイフは木材を削って使い心地を試すことができます。
今回はモーラナイフというメーカーの小型ナイフを体験させていただきました。
「グリーンウッドワーク」という生木を手作業で加工し道具を作る木工のジャンルを意識して、ほじるように削る刃が曲がったナイフ(ex.スプーンなどを削る)と、直線を削る刃がまっすぐのナイフの2種類のナイフを体験させていただきました。
切れ味がよく、コツをつかめば思い通りに削ることができるいい刃物でした。
刃がまっすぐなナイフは、ヤスリで削ったようにツルツルになるので、削るだけで気持ちがいいです。
個人的にはこういった工具に触れる機会が学生時代は多かったので、思い通りに刃が進み手に馴染む道具は使うことがうれしく、なかなか手放せませんでした。
店頭には実際に使い込まれた道具が展示されていました。入店した時は実際に使った後のアイコンのように感じていましたが、店内で様々な道具に触れ、アウトドアフィールドを見たことで、帰るときは道具と過ごした時間やだんだんと使う人に馴染む様子が想像でき、あこがれを感じるようなスペースに見え方が変わりました。
道具が馴染むことは、自分の手が増えるような感覚があります。アウトドアに限らず、道具が馴染むということは身近なところでは愛用のボールペンや自転車などももそうだと思います。自然環境の中で時間を共にする道具たちは、より一層の愛着と相棒感が生まれるのではないでしょうか。
展示エリアはジャンルごとに壁で軽く仕切られています。 その壁面に所狭しとたくさんの商品が飾られているので、見ているだけで楽しめますし、気軽にスタッフの方にお話を聞くことができますよ。
防災やものづくりの観点からも商品を見ることができるため、アウトドアという枠組みに囚われすぎず、広い分野で楽しめる空間です。
ワークショップ
店内では専門家からアウトドアでのスキルを学ぶ多彩なワークショップが定期的に開催されておりグリーンウッドワーク(生木からナイフを使ってスプーンやお皿など生活道具を作る)体験や、ナイフの使い方&メンテナンスの方法など様々なプログラムが用意されています。
プロダクトのことだけでなく「技術」や「その技術を持つ職人の思い」を伝えています。
UPIの公式アドバイザーの方々も講師として参加しており、鎌倉ではフィールドワークも行われています。
ワークショップでは、道具の使い方を学ぶだけでなく、一線で活躍する講師の方と実際に道具を使い手を動かすことで、本で読むように「文化」を学ぶのではなく、生きた体験として感じることができるのではないでしょうか。
実際に店舗で商品を少し体験してみて、私は「フィールドに今すぐ行きたいというよりも、もう少しこの道具の周辺のことを知りたい」という方向で興味が出てきたので、より興味を膨らませていく意味でも、是非参加したいと思います!
一番いい形の「かたちから入る」ができる
実際に訪れてみて、製品を体験する中で感じたことは、スタッフの方とのコミュニケーションを純粋に楽しめたことです。スタッフの方々が私たちの温度感に合わせて商品について丁寧に説明してくれたことで、私たちからも「聞いてみたい」と思えるような雰囲気を感じました。
売り買いの前に、製品の魅力や背景、楽しみ方を伝えてくれることで使ってみたい道具が見つかり、一番いい形の「かたちから入る」ことができるかもしれません。私も体験したナイフの使い心地が忘れられず、悩んでいます。
店舗を通して、UPIが学び、吸収し、集めてきた文化に自然にお客さんを触れさせるような自然な流れがあり、それは「自然の中で、あたたかく生きる人々と共に」という合言葉の入り口なのかもしれません。
体験を提供する一方的な矢印だけでなく、お客さんから関わりたいと思わせる矢印を自然と生み出し、無理のない双方向の関係性が築けた店舗でした。
昨今のアウトドアブームのおかげで、簡単に情報やグッズが手に入り、気軽に楽しめるようになったからこそ、UPI表参道は道具を軸にその周辺を伝えることで、全体の概要理解ではなくひとつひとつのストーリーを深くしているように感じました。
アクセス:表参道駅 A2出口より徒歩3分
※UPI表参道:Google map