近年、企業や団体によるイベント運営では、サステナブル(持続可能)な手法への関心が急速に高まっています。環境配慮型イベントは、社会的責任の履行にとどまらず、企業ブランド価値の向上や新たなビジネス機会の創出にもつながる重要な取り組みです。
本記事では、サステナブルイベントの基本から具体的な実践方法、成功事例までを整理し、BtoBマーケティング担当者が押さえておくべきポイントを解説します。
Index
■サステナブルイベントとは
■サステナブルイベント開催の具体的なメリット
■サステナブルイベント開催時のポイントと実践方法
■サステナブルイベントを開催する際の注意点
■サステナブルイベントの成功事例とトレンド
■サステナブルイベントを企画・運営する際の手順
■事例1:ETHICAL DESIGN WEEK TOKYO 2025
■事例2:サステナブル・ブランド国際会議 2025
■まとめ
■サステナブルイベントとは
サステナブルイベントとは、環境・社会・経済の3側面から持続可能性を重視して運営されるイベントを指します。SDGsをテーマに掲げるだけでなく、企画・運営・廃棄物処理に至るまで、イベント全体で環境負荷の低減と社会課題への配慮を実践する点が特徴です。
持続可能な社会の実現に向け、企業や団体にはこれまで以上の積極的な取り組みが求められています。イベント業界でも、一過性の催しから、社会に長期的な価値をもたらす持続可能な運営モデルへの転換が進んでいます。
サステナビリティの3つの柱
サステナブルイベントは、環境・社会・経済という3つの要素を統合的に考慮することが重要です。この3つの柱は相互に関連し合い、バランスの取れたアプローチが持続可能性の実現につながります。
| 要素 | 主な取り組み内容 | 期待される効果 |
|---|---|---|
| 環境 | 脱炭素化、廃棄物削減、省エネ設備導入 | CO2排出量削減、自然環境保護 |
| 社会 | 多様性配慮、地域連携、教育機会提供 | 社会的公平性向上、コミュニティ活性化 |
| 経済 | 地産地消、長期的コスト最適化 | 経済的安定性確保、地域経済活性化 |
環境面では、まず設計段階からCO2排出を抑制することが基本です。再生可能エネルギーの活用や、リサイクル可能な素材を前提とした装飾の導入などが求められます。その上で、どうしても避けられない排出量については、最後の手段としてカーボンオフセットで埋め合わせるという考え方が重要になります。
社会面では、ユニバーサルデザインの導入によって誰もが参加しやすい環境を整えたり、地元のサプライヤーと協業して地域経済の活性化に貢献したりすることが挙げられます。経済面では、短期的なコスト削減だけでなく、リユース可能な部材への初期投資によって長期的なコスト削減を目指すなど、ブランド価値向上につながる戦略的な投資判断が求められます。
従来のイベントとの違い
短期的な成果や集客だけでなく、社会全体への長期的な価値提供を重視します。
例えば、会場は公共交通でアクセスしやすい立地を選び、装飾は再利用可能な素材でシンプルかつメッセージ性の高いデザインにするなど、環境負荷を抑えながらブランドメッセージを強調する工夫が求められます。
SDGsとの関連性
サステナブルイベントは、SDGs(持続可能な開発目標)の17の目標と密接に関わっています。特に「つくる責任 つかう責任」や「気候変動に具体的な対策を」などの目標達成に直接寄与します。
さらに、フードロス削減による「飢餓をゼロに」や、ジェンダー配慮型プログラムによる「ジェンダー平等を実現しよう」など、運営の工夫次第で多くの目標に貢献できます。こうした具体的な取り組みは、企業の社会的責任(CSR)としての価値を示すだけでなく、ステークホルダーとの信頼関係を強化し、ブランド価値の向上にもつながります。
■サステナブルイベント開催のメリット
サステナブルイベントの実施は、環境負荷の低減に加え、ブランド価値の向上やコスト削減、新規ビジネス機会の創出など、多面的な効果をもたらします。
ESG投資の拡大や消費者の環境意識の高まりを背景に、こうした取り組みは企業価値の向上に直結するアクションとして注目されています。
ブランドイメージと企業価値の向上
サステナブルイベントの開催により、企業の社会的責任に対する姿勢が明確に示され、特に環境意識の高い顧客層からの信頼と共感を獲得できます。これは単なるイメージアップにとどまらず、実際のビジネス成果にも直結する重要な要素となっています。
採用活動においても、サステナブルな取り組みは優秀な人材の獲得に大きなアドバンテージをもたらします。特にミレニアル世代やZ世代の求職者は、企業の社会的価値や環境への取り組みを重視する傾向が強く、サステナブルイベントの実施実績は採用ブランディングにおいて重要な差別化要因となります。
| 対象ステークホルダー | 期待される効果 | 具体的な成果例 |
|---|---|---|
| 顧客・取引先 | 信頼性・ブランド価値向上 | 契約継続率向上、新規取引先開拓 |
| 投資家・株主 | ESG評価向上 | 株価安定性向上、投資資金調達の優位性 |
| 従業員・求職者 | エンゲージメント向上 | 離職率低下、優秀人材の獲得 |
| 地域社会 | 社会的認知度向上 | 地域パートナーシップ強化、CSR評価向上 |
コスト削減
サステナブルイベントの実施により、ペーパーレス化による印刷費削減、装飾のリユースによる製作費削減、廃棄物削減による処理費用削減など、直接的なコストメリットが期待できます。初期投資が必要な場合もありますが、中長期的には総合的なコスト最適化が実現されます。
特に大規模なイベントや継続的に開催するイベントにおいては、サステナブルな運営手法の導入により、年間を通じて大幅なコスト削減効果が得られます。例えば、デジタル化によるペーパーレス運営では、印刷費だけでなく配布や保管にかかる人件費も削減でき、運営効率の向上にもつながります。
新規ビジネス機会の創出
サステナブルイベントを通じて、環境意識の高い企業や団体との新たなネットワークが構築され、協業や新規事業開発の機会が生まれやすくなります。持続可能性をテーマとしたイベントには、同様の価値観を持つ多様な業界の参加者が集まるため、異業種間での連携可能性が高まります。
また、グリーン調達基準を満たすサプライヤーとの関係構築や、サステナブル認証取得を目指す企業同士の情報交換など、ビジネスエコシステム全体の持続可能性向上に貢献する関係性を築くことができます。これらのネットワークは、将来的な事業展開における重要な資産となります。
■サステナブルイベント開催時のポイントと実践方法
サステナブルイベントの成功には、計画段階からの綿密な準備と、運営のあらゆる側面における環境配慮が必要です。会場選定から装飾、資料提供、食事提供まで、従来のイベント運営とは異なるアプローチが求められるため、具体的な実践方法を理解することが重要となります。
ここでは、実際にサステナブルイベントを開催する際に押さえておくべき重要なポイントを、実践的な観点から詳しく解説します。環境負荷の削減と参加者満足度の両立を図るためには、戦略的なアプローチが不可欠です。
環境に配慮した会場選び
会場選定は、サステナブルイベント成功の基盤となる重要な要素であり、アクセス性、施設の環境配慮、地域への経済効果を総合的に評価する必要があります。公共交通機関でのアクセスが容易な立地を選ぶことで、参加者の移動に伴うCO2排出量を大幅に削減できます。
理想的な会場は、再生可能エネルギーを活用している施設や、LEED認証やCASBEE認証などの環境認証を取得している建物です。また、会場自体がフードロス対策や廃棄物削減に取り組んでいる施設を選ぶことで、イベント全体の持続可能性を高めることができます。地域連携活動の観点からも、地元経済に貢献する施設の選択が推奨されます。
| 評価項目 | 具体的な確認ポイント | 環境への影響 |
|---|---|---|
| 立地・アクセス | 最寄り駅からの距離、バス路線の充実度 | 参加者の移動CO2排出量削減 |
| 建物設備 | LED照明、省エネ空調、太陽光発電設備 | イベント運営時のエネルギー消費削減 |
| 廃棄物対応 | 分別システム、リサイクル体制 | 廃棄物削減と資源循環促進 |
| 認証取得状況 | LEED、CASBEE等の環境認証 | 総合的な環境配慮レベル向上 |
サステナブルな装飾を実現する3Rのアプローチ
装飾においては、使い捨ての発想を改め、3R(リデュース・リユース・リサイクル)の視点を取り入れることが基本です。これにより、廃棄物の大幅な削減と、装飾費用の最適化を同時に実現できます。
・リデュース:過剰な装飾を避け、シンプルかつ訴求力の高いデザインにする
・リユース:レンタル資材や再利用可能な什器を活用する
・リサイクル:廃棄が必要な場合は段ボールや木材など再資源化可能な素材を選ぶ
これらを組み合わせることで、廃棄物削減とコスト最適化を同時に実現できます。
デジタル化によるペーパーレス運営
資料配布のペーパーレス化は、サステナブルイベント運営において最も効果的かつ実装しやすい取り組みの一つです。イベント専用のウェブサイトやモバイルアプリを構築し、プログラム、資料、アンケート、ネットワーキング機能などを集約することで、参加者にとっても利便性が向上します。
QRコードを活用した情報提供システムでは、参加者がスマートフォンで簡単に必要な情報にアクセスでき、リアルタイムでの情報更新も可能となります。やむを得ず紙媒体を使用する場合は、再生紙やFSC認証紙、植物油インキなど環境配慮型の素材を選択し、印刷量を最小限に抑制します。
フードロス対策
食事提供においては、事前登録制に基づく正確な参加人数の把握により適切な食事量を調整し、地産地消や旬の食材、規格外野菜の活用により環境負荷を削減できます。フードロス対策は、サステナブルイベント運営において特に重要な要素の一つです。
ケータリング業者選定では、持続可能な調達方針を持つ事業者との連携を優先し、フェアトレード認証のコーヒーや紅茶、有機栽培の食材を積極的に導入します。食器については、リユース可能な陶器やガラス製品、または生分解性素材や食べられる食器を採用することで、廃棄物の発生を根本から削減できます。
見落としがちなCO2排出を削減する
イベントのサステナビリティを追求する上で、来場者に見える部分だけでなく、設営や撤去といった運営の裏側で発生するCO2排出にも目を向けることが重要です。
例えば、運搬車両の最適化として、装飾施工や運営に関わる運搬車両の台数を減らし、積載効率を高めることで輸送時のCO2排出量を削減します。また、施工時間の短縮化を図り、効率的な設営・撤去計画で会場の照明や空調などの電力利用を抑制することも有効です。さらに、施工スタッフの最適化により、関わる人数を必要最小限にすることで、スタッフの移動に伴うCO2排出量を削減します。
これらは計画段階からの緻密な設計が求められるレベルの高い取り組みですが、イベント運営のプロセス全体で環境配慮を徹底する上で、非常に効果的なアプローチといえるでしょう。
■サステナブルイベントを開催する際の注意点
サステナブルイベントの開催には、従来のイベント運営にはない特有の課題とリスクが存在します。環境配慮と参加者満足度の両立、コスト管理、ステークホルダーとの調整など、多面的な配慮が必要となるため、事前の十分な準備とリスク管理が成功の鍵を握ります。
特に初めてサステナブルイベントを開催する企業や団体にとっては、想定外の課題が発生する可能性が高いため、リスクを事前に把握し、適切な対策を講じることが重要です。ここでは、実際の開催において注意すべき主要なポイントを詳しく解説します。
初期コスト増加の可能性
サステナブルイベントでは、環境配慮型の資材や設備の導入により初期コストが増加する場合があるため、中長期的な視点での費用対効果を評価することが重要です。企画内容を具体化する前に全体予算を確定させ、持続可能性への投資とコスト削減効果のバランスを慎重に検討する必要があります。
例えば、再生可能エネルギー由来の電力サービスは従来の電力よりもコストが高い場合がありますが、長期的なブランド価値向上や顧客ロイヤルティの向上を考慮すると、投資対効果は十分に見込めます。重要なのは、短期的なコスト増加に惑わされず、総合的な価値創出を評価することです。
| コスト項目 | 従来手法との差額 | 長期的なメリット |
|---|---|---|
| 再生可能エネルギー | 10-20%増 | ブランド価値向上、CSR評価向上 |
| リユース装飾材 | 初期投資増、次回以降削減 | 継続イベントでのコスト削減 |
| デジタル化システム | 初期開発費用 | 印刷費削減、運営効率化 |
| 認証取得費用 | 新規費用 | 第三者による信頼性向上 |
参加者のニーズ把握と企画のバランスが大事
環境配慮の要素を一方的に押し付けるのではなく、参加者のニーズと体験価値を十分に考慮した企画設計が必要です。ターゲット層の属性や関心事を詳細に分析し、サステナビリティへの理解度や参加動機に応じたアプローチを採用することが重要となります。
例えば、BtoB顧客向けのイベントでは、ビジネス価値と環境価値の両方を提供できるコンテンツ構成が求められます。一般消費者向けイベントでは、楽しみながら環境について学べる体験型プログラムが効果的です。参加者意識向上施策として、環境配慮の取り組みを分かりやすく説明し、参加者自身が社会貢献に参加している実感を持てるような工夫が必要です。
事前告知やスタッフ教育が必要
廃棄物削減対策として、原則として会場内にゴミ箱を設置せず、参加者にゴミの持ち帰りを促すことは効果的ですが、事前の十分な告知と理解を促進させる動きが不可欠です。このような従来のイベント運営とは異なるアプローチには、参加者の協力と理解が必要となるため、事前広報が重要な成功要因となります。
スタッフの教育とトレーニングも重要な課題です。従来のイベント運営とは異なる手順や配慮事項が多数存在するため、すべてのスタッフがサステナビリティの理念を理解し、適切に実践できる体制を構築する必要があります。また、緊急時の対応プロセスについても、環境配慮を維持しながら安全性を確保する手順を事前に定めておくことが重要です。
■サステナブルイベントの成功事例とトレンド
国内外でサステナブルイベントの開催事例が急速に増加しており、それぞれ独自の工夫と革新的なアプローチが見られます。業界別アプローチの最新トレンドを分析することで、実践的なノウハウと最新トレンドを把握できるだけでなく、自社のイベント企画に活用できる具体的なアイデアを得ることができます。
各業界でサステナブルイベントのアプローチが多様化しており、業界特有の課題と機会に対応した独自の手法が開発されています。ここでは、各業界でのアプローチ方法について見ていきましょう。
IT関連
IT業界では電子機器のリサイクルやデジタル化による効率化、建設業界では廃材の再利用や省エネ技術の展示、食品業界ではフードロス削減や地産地消の推進など、業界の特性を活かした取り組みが展開されています。
製造業関連
製造業では、サーキュラーエコノミーの概念を取り入れ、製品の設計から廃棄までのライフサイクル全体を考慮したイベント企画が注目されています。金融業界では、ESG投資やグリーンファイナンスの普及を目的としたセミナーやワークショップが増加しており、持続可能な経済活動の推進に貢献しています。
小売業関連
小売業界では、消費者教育と行動変容を促すイベントが主流となっており、エシカル消費やサステナブルライフスタイルの提案が中心テーマとなっています。これらの業界別アプローチは、各企業が自社の事業特性を活かしながらサステナブルイベントを企画する際の重要な参考事例となります。
■サステナブルイベントを企画・運営する際の手順
サステナブルイベントの成功には、計画段階から運営完了まで、系統立てたアプローチと詳細な準備が不可欠です。従来のイベント企画とは異なる配慮事項が多数存在するため、段階的なチェックリストと実践的なガイドラインが重要な役割を果たします。
ここでは、実際にサステナブルイベントを企画・運営する際に活用できる具体的な手順と、各段階で注意すべきポイントを詳しく解説します。初めて取り組む企業でも実践しやすいよう、段階的なアプローチを提案します。
企画段階
まず企画段階では、イベントの目的、ターゲット、規模を明確に定義し、それぞれの要素に対してサステナビリティの観点からの配慮事項を体系的に検討することが重要です。まず、環境・社会・経済の3つの観点から、どのような価値を提供するのかを具体的に設定します。
予算配分においては、持続可能性への投資項目を明確に区分し、コスト増加要因と削減要因を詳細に分析します。サステナブル認証取得を目指す場合は、認証要件を事前に確認し、企画段階から要件を満たす設計を行います。また、地域連携活動の可能性を検討し、地元企業やNPOとの協力体制構築も重要な検討事項となります。
・イベント目的とサステナビリティ目標の明確化
・ターゲット参加者の属性と環境意識レベルの分析
・予算における持続可能性投資の比率設定
・成果測定指標(KPI)の設定(CO2削減量、廃棄物削減率等)
・協力企業・団体の選定基準策定
・リスク評価と対策プランの策定
サプライヤー選定とグリーン調達
次にサプライヤー選定では、価格や品質だけでなく、環境配慮への取り組みや社会的責任への姿勢を総合的に評価するグリーン調達基準の策定が必要です。協力企業には、自社の持続可能性方針への理解と協力を求め、サプライチェーン全体でのサステナビリティ向上を目指します。
具体的には、ケータリング業者には地産地消の食材調達や有機農産物の使用、装飾業者にはリサイクル資材の活用や廃材の適切な処理、音響・照明業者には省エネ機器の使用や再生可能エネルギーの活用を求めます。契約時には、これらの要件を明文化し、定期的なモニタリング体制も構築します。
| 業者カテゴリー | 主要評価項目 | 具体的な要求事項 |
|---|---|---|
| ケータリング | 食材調達、廃棄物対策 | 地産地消率50%以上、フードロス削減計画 |
| 装飾・設営 | 資材選択、リサイクル対応 | 再利用資材使用率70%以上 |
| 音響・照明 | 省エネ性能、電源 | LED機器使用、再生可能エネルギー優先 |
| 印刷・制作 | 用紙、インク選択 | 再生紙使用、植物油インク使用 |
運営当日の管理体制
運営当日は、事前に策定したサステナビリティガイドラインの実践状況を継続的にモニタリングし、必要に応じて迅速な調整を行える管理体制が重要です。スタッフ全員がサステナビリティの取り組み内容を理解し、参加者への説明や誘導ができるよう、事前研修を実施します。
廃棄物管理については、分別収集の徹底と量的把握、リサイクル処理状況の確認を行います。エネルギー消費量のリアルタイム監視や、参加者アンケートによる満足度と環境意識の変化測定も重要な管理項目です。トラブル発生時には、環境配慮を維持しながら迅速に対応できる緊急時プロトコルも整備しておきます。
イベント終了後の振り返りと改善
イベント終了後は、設定したKPIに基づく定量的評価と、参加者・スタッフ・協力企業からのフィードバック収集による定性的評価を組み合わせた包括的な振り返りが必要です。CO2削減量、廃棄物削減率、参加者意識変化などの数値データとともに、運営上の課題や改善点を詳細に分析します。
評価結果は、次回イベント企画への反映だけでなく、社内外への報告書作成やステークホルダーへの情報開示にも活用します。成功要因と課題を明確化し、継続的な改善サイクルを構築することで、サステナブルイベント運営のノウハウを蓄積し、組織全体のサステナビリティ向上に貢献できます。
■事例1:ETHICAL DESIGN WEEK TOKYO 2025
イベント概要
空間づくりを起点に「エシカルデザインの共創」をテーマとして開催されたイベントです。エシカルな循環型社会の実現には業界を超えた共創が不可欠との考えから、様々な企業と共に、持続可能性や環境配慮の重要性を啓発し、関連製品や取り組みを紹介・議論する場を創出しました。
特に、イベントのテーマを体現する「循環型の会場設営」が特徴です。具体的には、リユースを前提とした展示什器の活用、分解が容易な工法の採用、そして設計段階から端材(廃棄物)を出さないデザインを徹底することで、環境負荷の大幅な削減を実践しました。
■事例2:サステナブル・ブランド国際会議 2025

イベント概要
イベント開催に関わるサプライチェーン全体(SCOPE3)までのCO2排出量を算定し、カーボンオフセットを活用することで「カーボンニュートラルなイベント」を実現している先進的な事例です。単なる環境配慮に留まらず、調達、エネルギー、廃棄物、多様性配慮、コミュニティ(地域社会)という5つの広範な軸で網羅的にサステナビリティを追求しています。
また、主催者だけでなく、参加者にはマイボトルの持参や公共交通機関の利用を呼びかけ、サプライヤーとは調達方針を共有するなど、関わる全てのステークホルダーを巻き込む仕組みを構築している点も大きな特徴です。これにより、イベント全体でのサステナビリティ向上を実現しています。
■まとめ
サステナブルイベントは、環境・社会・経済の3つの観点から持続可能性を追求する新しいイベント運営のアプローチです。従来のイベント企画とは異なる配慮事項が多数存在しますが、適切な準備と実践により、企業ブランドの向上、コスト最適化、新規ビジネス機会の創出など、多面的なメリットを実現できます。
今後もサステナブルイベントへの社会的要請は高まり続けることが予想されます。企業にとって、持続可能性への取り組みは競合他社との差別化要因となるだけでなく、長期的な事業成長の基盤となる重要な戦略要素です。本記事で紹介した実践的なポイントを参考に、ぜひサステナブルイベントの開催に取り組んでいただければと思います。
博展では、サステナブルイベントのコンセプト設計から、環境負荷の少ないブース造作、各種認証取得のサポート、そして開催後の効果測定レポートまで、一気通貫でご支援しています。
貴社のサステナビリティ方針に沿った価値あるイベントを共に創り上げますので、ぜひ一度お声がけください。

