数多くの企業がひしめき合う展示会場において、自社ブースに来場者の足を止めさせ、記憶に残すことは容易ではありません。加えて、単に目立つだけではビジネスの成果には繋がりません。
これはBtoC、BtoBを問わず全ての展示会に共通する課題ですが、特にBtoBの展示会の場合、複数の決済者がいたり、成果までの期間が長期化することが一般的です。そのため、単にブースに足を運んでもらうだけでなく、次のステップに進むための導線もしっかり設計しないといけません。
成功する展示会ブースは、単なる奇抜なアイディアの集合体ではなく、来場者の心理を深く理解し、商品やサービスの価値を体験へと昇華させる戦略的な「仕掛け」が施されています。
本記事では、こうした背景を踏まえ、特に対話のきっかけ作りが難しいBtoBの展示会に焦点を当て、来場者の心を掴み集客を成功させるための面白い仕掛けについて、その考え方の核となるポイントから具体的なアイディア、成功事例、そして実行する上での注意点までを網羅的に解説します。
Index
■展示会で面白い仕掛けを考える際のポイント
■展示会の面白い仕掛けの具体的なアイディア
■ユニークな仕掛けを取り入れて成功した事例
■展示会で面白い仕掛けを実施する時の注意点
■まとめ
■展示会で面白い仕掛けを考える際のポイント
効果的な仕掛けを実現するには、明確な戦略と方針が欠かせません。感覚的なアイディアに頼るのではなく、ポイントを押さえて計画的に実行していくことが重要です。
ここからは、その具体的な内容を解説していきます。
BtoB展示会ならではの来場者心理を理解する
BtoB展示会の来場者は、一般的な消費者とは全く異なる動機と心理状態を持っています。この点を理解することが、あらゆる仕掛けを考える上での出発点となります。
来場者の最大の目的は、自身の業務課題を解決するための「効率的な情報収集」です。「CEATEC 2024」の開催レポートによれば、来場目的の最多は「製品・技術の最新情報入手」と「業界の動向把握」で約68%を占め、次いで「一般的な興味・関心」が約37%となっています。彼らは限られた時間の中で、膨大な数のブースから自社にとって有益な情報を見つけ出そうと真剣に行動しており、ブースの前を通り過ぎるわずか数秒で、立ち寄る価値があるかどうかを判断しています。
こうした目的意識の高さは、同時に「売り込まれたくない」という強い警戒心を生み、来場者の多くがブースで声をかけられることに抵抗を感じています。それゆえ、一方的に声をかけたり、キャッチセールスのように強引に引き込もうとしたりするブースは、かえって敬遠される傾向があります。
商品・サービスの強みを体験に変換する
製品の特長を文字情報として書き出すだけでは、情報過多の展示会場では来場者の記憶に残りません。抽象的な強みやメリットを、来場者が直感的・感覚的に理解できる「体験」へと変換することが、深い理解と関心を喚起する鍵となります。
この転換の核となるのは、単に製品を「見せる」のではなく、来場者に「体験させる」という発想です。実機デモやタッチ&トライでは、ソフトウェアの操作画面を実際に触ってもらったり、製品のプロトタイプを手に取ってもらったりすることで、その使いやすさや品質を直接的に伝えることができます。これは、言葉で説明するよりもはるかに説得力を持ちます。
最も重要なのは、「製品の最も重要なベネフィットを、具体的なアクションに翻訳する」という視点であり、これにより仕掛けは単なるアトラクションから、製品の価値を証明する説得力のあるミニストーリーへと昇華されます。例えば、「弊社のシステムは業務効率を30%改善します」という抽象的なメッセージを伝えるために、「従来の方法と我々のツールを使って、このタスクをどちらが速く完了できるか競争しませんか?」という体験を用意するのも一つの手です。
五感に訴える仕掛けで「らしさ」を記憶に残す
展示会ブースのデザインは視覚情報に偏りがちですが、聴覚、嗅覚、触覚、味覚といった他の感覚に訴えるアプローチは、強力な差別化要因となり得ます。心地よい香りや特徴的なサウンド、製品の質感などは、言葉以上に企業やブランドの「らしさ」を直感的に伝え、来場者の感情に働きかけます。
五感を活用する上で最も重要な原則は「感覚の一致性」です。つまり、音や香り、手触り、味といった全ての感覚的な要素が、企業が伝えたいブランドメッセージやアイデンティティと一致し、それを補強するものである必要があります。例えば、革新的なソリューションを提供する企業が、透明感のある素材やシャープな照明を用いたブースを設計し、静かでクリアな音を取り入れると、来場者は五感を通じてそのブランドの「先進性」や「信頼感」を直感的に感じ取ります。
| 感覚 | 具体的な活用方法 | 期待できる効果 |
|---|---|---|
| 聴覚 | ブランドイメージに合わせたBGM、製品の動作音、専門家によるナレーション | 空間の雰囲気決定、通行人の注意喚起 |
| 嗅覚 | シトラス系(モダン)、ウッド系(サステナブル)、フローラル系(上質)の香り | ブランドイメージの強化、記憶への定着 |
| 触覚 | 木材、ファブリック、金属などの質感ある素材、製品への直接接触 | 品質や世界観の伝達、信頼感の醸成 |
| 味覚 | 質の高いコーヒー、業界特性に合わせたスナック、製品の試食・試飲 | 滞在時間の延長、リラックス効果 |
ブース全体を「一つのストーリー」に仕立てる
来場者の記憶に強く残るブースは、単に製品を並べるのではなく、来場者自身が「物語の主人公」になれるような体験を設計しています。ブースに足を踏み入れた瞬間から、一つのストーリーが始まり、歩みを進めるごとに展開していく。この一貫した物語こそが、企業メッセージを深く、感情的に伝えるための鍵となります。
まず、物語の序章として、来場者が直面しているであろう「課題」を投げかけ、深く共感を引き出します。次に、ブースの中を進むにつれて、その課題を解決するためのヒントやアプローチをデモンストレーションや体験型コンテンツを通じて「発見」させます。ここでは、ただ説明を聞くのではなく、来場者が自ら触れて、動かして、「なるほど!」という発見と驚きを得られるような仕掛けが重要です。
そして物語のクライマックス、ブースの奥では、これまでの体験を経て課題が解決された「未来」を体感できる空間を用意します。ブースの最も奥にある商談スペースで、自社の製品やサービスがその完璧な「解決策」であることを提示し、物語を締めくくります。このように導線を物語の進行と一致させることで、来場者は自然な流れで製品価値を理解し、商談へとスムーズに移行できるのです。
■展示会の面白い仕掛けの具体的なアイディア
前述の通り、来場者の関心を引き、エンゲージメントを高めるためには、単なる情報提供を超えた「体験」を提供することが重要です。ここでは、実際にブースで活用できる具体的な仕掛けアイディアをカテゴリー別に解説します。これらのアイディアは、来場者にとって価値ある体験となるだけでなく、企業のブランディングや製品理解の促進にも繋がります。
ステージ演出
ブース内にステージを設けることは、多くの来場者の注目を一度に集め、ブースの活気を生み出す上で非常に効果的です。ステージ演出は、企業を単なる製品の売り手ではなく、複雑で伝わりにくい製品の価値を、来場者の目線で分かりやすく、そして魅力的に伝えるための強力なツールとなります。
ステージ演出例:実演販売士やプロの演者によるプレゼンテーション
最近の展示会では、実演販売士やプロの演者をステージに起用し、製品の特性を面白く、かつ分かりやすく説明する演出が増えています。専門家によるセミナーとは異なり、エンターテイメント性を重視したプレゼンテーションで、より幅広い層の来場者の足を止め、惹きつけることができます。
特にBtoB製品は一般的に特性が複雑で伝わりにくいものですが、プロの演者は来場者を引きつける巧みな話術で、その難しい製品価値を来場者目線でかみ砕いて伝えることに長けています。これにより、製品への興味と理解を飛躍的に高めることができるため、BtoBのステージ演出として非常に有用です。さらに、自社のブランドイメージに合わせて、「親しみやすさ」「力強さ」「信頼感」といった、求める雰囲気に合った演者を選ぶことができるのも大きな利点です。
ステージ演出例:魅せる製品デモンストレーション
製品デモンストレーションを、単なる機能紹介から、来場者の記憶に深く刻まれる「ショー」へと昇華させます。大型モニターやプロジェクションマッピングでデモを拡大投影したり、来場者を巻き込む参加型にしたり、モーションセンサーで来場者の動きに反応するインタラクティブな仕掛けを取り入れたりと、単なる機能紹介に終わらせない工夫が注目を集めます。複雑な技術や導入メリットを直感的に伝えるこの手法は、製品への理解を深め、強いインパクトを残すのに非常に効果的です。
このデモンストレーションを成功させるには、入念な計画が不可欠です。まず、タイムスケジュールを明確に定め、「〇時から実演開始」とブース前やSNSで事前告知することで、関心のある来場者を集めます。デモンストレーション自体も、「来場者の課題→製品による解決策→導入後の未来」といった共感を呼ぶストーリーに仕立てることが重要です。また、プレゼンターの声がしっかり届くマイクや、どの角度からでも見やすい大型モニターといった機材の準備も欠かせません。当日の流れや質疑応答を想定したリハーサルを徹底し、デモの最後には来場者が実際に製品に触れる体験会へと誘導することで、より深い理解と商談へのきっかけを創出します。
ステージ演出例:クリエイティブなライブパフォーマンス
ブランドイメージと合致するならば、ライブペインティングや書道、和楽器の生演奏といったクリエイティブなパフォーマンスも有効です。ユニークな音や動きは会場の喧騒の中でも際立ち、企業のテーマに沿ったアートが完成していく過程は、来場者の好奇心を刺激し再訪を促す効果も期待できます。
このパフォーマンスを成功させるためには、特に以下の点に注意して計画を進めましょう。
・ステージタイムスケジュールを明確に設定し、来場者に事前告知する
・パフォーマンス内容と企業メッセージの一貫性を保つ
・音響・照明設備を適切に設置し、会場全体への配慮を忘れない
・パフォーマー(社内外問わず)との事前打ち合わせを十分に行う
・SNS映えするフォトスポットとしての機能も意識した演出を心がける
ライブデモンストレーションとハンズオンセッション
製品が実際に動いている様子をライブで見せることは、静的な展示よりもはるかに強いインパクトを与えます。ここでは、代表的な2つのデモンストレーション手法と、より深い体験を提供するハンズオンセッションについて解説します。
ステージ形式のデモンストレーション
製品のデモンストレーションをステージイベントとして実施し、その映像を大型スクリーンに映し出す手法です。遠くの通路を歩いている来場者の目も引きつけ、劇場のような効果を生み出すことができます。多くの来場者に対して、一度に製品の魅力を伝えたい場合に特に有効です。
ツアー形式のデモンストレーション
特に大型の機械製品などを扱うブースで効果的なのが、ツアー形式のプレゼンテーションです。製品の真横にMCや説明担当の社員が立ち、実際に製品を動かしながら、いくつかのポイントを回るツアーのように解説します。
デモンストレーションとプレゼンテーションが一体となっているため、来場者は製品の機能や特長を直感的に理解できます。また、ステージ形式ほど身構える必要がなく、通りすがりの来場者も気軽に参加しやすいというメリットがあります。この手法を成功させるには、製品周辺に人が集まれるスペースを確保したり、タイムスケジュールを案内したりといった事前準備が重要になります。
ハンズオンセッション
ハンズオンセッションでは、来場者が実際に製品を操作したり、サービスを体験したりする機会を提供します。ソフトウェアであれば実際の操作画面を触ってもらい、製造業であれば製品のプロトタイプを手に取ってもらうことで、その品質や使いやすさを肌で感じてもらえます。より深く製品を理解してもらいたい場合には、ワークショップ形式を取り入れ、参加者と一緒に課題解決のプロセスを体験するようなプログラムも有効です。
デジタルコンテンツ
最新のデジタル技術を活用することで、来場者にインタラクティブで忘れがたい体験を提供することができます。例えば、AR体験やVR体験は、物理的な制約を超えた価値提案を可能にします。
AR(拡張現実)技術では、来場者のスマートフォンやタブレットを通じて、現実の空間にデジタル情報を重ね合わせることができます。
例えば、機械メーカーであれば、来場者が専用アプリを起動してブース内の機械にスマートフォンをかざすと、内部構造や動作原理がアニメーションで表示されるといった仕掛けなどもあります。
VR体験では、ゴーグルを装着するだけで、仮想の工場で機械が稼働する様子をシミュレーションしたり、自社のオフィスに新しい什器をARで配置してみたりと、現実には不可能な体験を通じて製品・サービスの価値を深く理解してもらえます。
来場者との双方向なやり取りを可能にする体験コンテンツは、来場者が自身の興味に合わせて能動的に情報を得るための有効な手法です。例えば、タッチスクリーンやRFIDといった技術を活用し、来場者が自分の興味に合わせて情報を閲覧したり、特定のアクションを体験したりする仕掛けが考えられます。RFIDであれば、来場者がRFIDタグを仕込んだ特定のアイテムを所定の場所に置くと、関連する製品情報や導入事例の映像がスクリーンに流れるといった演出が可能です。
このような仕組みは、来場者が自ら操作して情報を発見することで、製品やサービスへの理解をより深めることができます。
参加型イベントとゲーミフィケーション
ゲーミフィケーション(ゲームの要素を取り入れること)は、来場者の参加を促し、楽しみながら製品や企業について学んでもらうための有効な手法です。参加型イベントは、来場者にとって能動的な体験となり、記憶により深く刻まれます。
例えば、製品・業界知識クイズとして、タブレットなどを使い、来場者の業界課題や自社製品のベネフィットに関する簡単なクイズを出題します。正解者には景品を用意することで、参加への動機付けを高めることができ、このプロセスを通じて自然な形でリード情報を獲得し、来場者の知識レベルや課題意識を把握することも可能になります。また、デジタルスタンプラリーは、複数の展示コーナーがあるような広いブースの場合に効果的で、各コーナーを巡ってスマートフォンのアプリなどでデジタルスタンプを集める企画として機能します。
さらに、景品付きクイズや巨大ガチャマシンといった仕掛けは、SNS映えする要素も併せ持つため、来場者が自発的に撮影・投稿することで、リアルタイム投稿キャンペーンとしての効果も期待できます。
ブースデザインそのものを仕掛けに
ここまで様々な体験コンテンツを紹介してきましたが、最終的にはブースのデザインそのものも、来場者の足を止める強力な仕掛けとなります。結局のところ、ひときわ目を引くデザインのブースは、多くの来場者を引き付けます。デザイン自体が企業のメッセージを伝える一つの仕掛けとなり、まずは見た目で興味を持ってもらうことで、ブース内でのデモンストレーションやハンズオンといった、より深い体験へとスムーズに誘導しやすくなるのです。
今回ご紹介した内容を下記にまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
| 体験型コンテンツ | 主な効果 | 適用業界例 |
|---|---|---|
| AR/VR体験 | 物理制約を超えた価値提案、未来的印象 | 製造業、不動産、建設、IT |
| ライブデモ | 製品の実際の動作確認、信頼性向上 | 機械、ソフトウェア、食品 |
| 参加型ゲーム | エンゲージメント向上、楽しい記憶の創出 | 全業界(コンセプトに応じて調整) |
| ハンズオン体験 | 製品理解の深化、購買意欲の向上 | IT、製造業、美容・健康、教育 |
■ユニークな仕掛けを取り入れて成功した事例
ここからは博展が支援させていただいた中で、単に製品を展示するだけでなく、来場者が参加できる体験型の仕掛けや、ブランドの世界観を空間全体で表現することで成功した事例をご紹介します。
事例1:UCC上島珈琲株式会社様|カップをトリガーにブランドを体験するブース
アジア最大規模のスペシャルティコーヒーイベント「SCAJ」への出展事例です。UCCの新ブランディングプロジェクト「COFFEE CREATION」のコンセプトを軸に、おいしいコーヒーを支える「おいしい事実」を来場者に伝えることを目的としました。本ブースは来場者やお客様の投票によって選ばれる「SCAJブースアワード」で最優秀ブースに選出されました。
ブースは一方通行型で、来場者は入口で透明なコーヒーカップを受け取ります。このカップをトリガーとして4つのテーマ「生産地との絆」「品質のスペシャリスト」「豆の個性に合わせたロースティング」「絶妙なブレンド」を五感で体験できる設計です。
各エリアでカップを置くと、生産地の映像が流れたり、豆の特徴が照らし出されたり、香りを体験できたりと、デジタルコンテンツと連動した体験が展開されます。最後には、診断システムで好みに合わせてブレンドされたコーヒー豆を受け取り、プロが抽出した一杯を試飲できます。
「生活者と生産者を繋ぐテーブル」をデザインコンセプトに、極限まで説明的なサインを排除し、意匠性と機能性を両立。コロナ禍にもかかわらず20分以上の待機列ができるなど、多くの来場者にUCCのコーヒーの裏側にある物語を深い体験として提供しました。
事例2:三菱地所プロパティマネジメント株式会社様|「まだ知らない三菱地所」を探しに行くブース
ショッピングセンター関係者が一堂に会する業界最大級のイベント「SCビジネスフェア」への出展事例です。「まだ知らない、三菱地所を探しに行こう。」をコンセプトに、三菱地所グループが手掛ける多彩な施設の魅力を伝えることを目指しました。
ブースの造作は、1層目にプレミアム・アウトレット、2層目に横浜ランドマークタワー、3層目にTOKYO TORCHを中心とした丸の内の街並みを表現し、三菱グループの多彩さを視覚的に訴求。また、壁面に設置された穴を覗くとクイズの答えが分かる「覗いて発見!三菱地所グループの『秘密クイズ』」というコンテンツを用意しました。
これにより、情報を一方的に伝えるのではなく、来場者が自ら「覗き込む」という能動的なアクションを通じて、楽しみながら三菱地所グループの強みや「らしさ」を理解できる体験を創出。赤色を全面的に押し出したデザインは会場内でひときわ目を引き、ブース全体が三菱地所グループを直感的に体現する一つのコンテンツとなる空間を実現しました。
事例3:Wovn Technologies株式会社様|「あ!」を起点に会話が始まるブース
WEBサイト・アプリの多言語化サービスを提供するWovn Technologiesの「CEATEC」への出展事例です。「多言語化された世界の可能性」を感じてもらうことをテーマとしました。
ブースデザインでは、「あ!」という言葉を多言語の立体文字で表現し、空間全体に散りばめました。これは、WOVNが多言語に関わるサービスであることを示すだけでなく、多言語化によって世界を繋ぎ、豊かにするという企業の未来像を来場者が体感できる空間を意図したものです。
多様なブースが立ち並ぶCEATECの会場内で、視覚的に特徴のある「異質」な存在となることを目指しました。会期中は、印象的な立体文字が来場者の目を引き、そこから多くのコミュニケーションが生まれ、多言語化を通じて人と人が繋がるシーンを体現する空間となりました。
事例4:Gaussy株式会社様|「らしさ」を表現しながら物流倉庫を再現したブース
倉庫ロボットの販売とソリューション提供を行うGaussyの「国際物流総合展2024」への出展事例です。倉庫ロボット導入を検討し始めた新規顧客に最初の一歩を踏み出してもらうため、「キャッチーで入りやすく、インパクトがあり、ブランドらしさを体現する」ことを心がけました。
ブース全体でリアルな物流空間を演出し、来場者が倉庫ロボットの導入イメージを具体的に想起できるようにしました。ステージや什器には、オリコンや段ボール、パンチングメタルといった物流倉庫で見慣れた要素をデザインに落とし込み、ブランドのアイデンティティを付与。壁面に積まれた段ボールは、空間演出だけでなく製品訴求やリーフレットケースとしての機能も持たせ、運営面の効率も向上させました。
■展示会で面白い仕掛けを実施する時の注意点
魅力的な仕掛けは大きな集客効果をもたらす可能性がある一方で、計画や運用を誤ると、単なるコストの浪費に終わってしまう危険性もはらんでいます。ここでは、仕掛けを成功に導くために不可欠な注意点と、起こりうるリスクへの対処法を解説します。
仕掛けが目的化しないようにする
最も陥りやすい失敗は、「面白い仕掛けをすること」自体が目的になってしまうことです。仕掛けはあくまでビジネス目標を達成するための「手段」であり、「目的」ではありません。
企画が目的化すると、一時的な話題性やSNSでの「バズ」は生まれるかもしれませんが、肝心のブランドメッセージや製品の価値は伝わりません。結果として、「面白かったけど、何の会社だったか覚えていない」「結局、自社に何のメリットがあるのか分からなかった」という事態を招き、貴重な予算とリソースを浪費するだけに終わってしまいます。
これを防ぐためには、企画の初期段階で「この施策を通じて、誰に、何を伝え、どう行動してほしいのか」というゴールを明確に定義することが不可欠です。
運営負荷・コストのバランスを見極める
アイディアを実現するためには、予算と人的リソースという現実的な制約を考慮しなければなりません。仕掛けにかかる費用は、機材のレンタル料や購入費だけではなく、コンテンツの開発費、運搬・設置費用、そしてそれを操作・説明するための専門スタッフの人件費など、付随するコストも全て洗い出し、展示会全体の予算内で収まるかを確認する必要があります。
その上で、投資対効果(ROI)を意識することが重要です。ROIは「(展示会経由の売上 – 出展総費用)÷ 出展総費用 × 100」という式で算出できます。例えば、高価でハイテクな仕掛けで100人の見込みの薄い来場者を集めるよりも、シンプルで低コストな仕掛けで20人の質の高い見込み客を獲得する方が、ROIは高くなる可能性があります。
スタッフ教育を徹底する
どれだけ優れた仕掛けを用意しても、その成果を左右するのは現場のスタッフです。展示会開催前には、出展目的やターゲット顧客、中心となるメッセージ、そして各自の役割分担について徹底した研修を行うことが重要です。
また、ブースのコンセプトや各仕掛けの目的、よくある質問への回答などをまとめた簡易的なマニュアル(想定問答集)を準備し、全員で共有することが望ましいです。これにより、どのスタッフが対応しても、一貫性のある正しい情報とメッセージを来場者に伝えることができるようになります。スタッフはブースという物語を演じる「キャスト」として、自社のブランドイメージを体現する存在なのです。
■まとめ
展示会において来場者の注目を集め、成功を収めるブースの面白い仕掛けは、ターゲットとなる来場者の心理を深く洞察し、彼らが抱える課題意識に寄り添うことから始まります
そして、独創的なアイディアも、準備や運営、フォローアップがしっかりしてこそ活きてきます。そのすべてがかみ合って初めて、展示会出展は“費用”ではなく、“成果を生む仕組み”に変わります。成功する展示会ブースは、来場者にとって価値ある体験の場となり、企業にとっては確実な成果を生み出すマーケティングツールとなります。
私たち博展は、長年にわたり数多くの企業の展示会出展を成功に導いてきた実績があります。コンセプトの策定からブースの企画・デザイン、当日の運営まで一貫してサポートし、貴社のビジネス成果を最大化します。展示会出展に関するお悩みや、具体的な施策についてご検討の際は、ぜひお気軽に博展までご相談ください。





