みなさんこんにちは!
Think EXperience編集局の大村です!
【Quest ! 】は、都内を中心に新しい店舗体験やイベントについて私たちが実際に体験し、月1回更新でレポートしていくコンテンツです。
今回はデータマーケティング課2年目の納富君と一緒に、東京都日本橋にある『分身ロボットカフェ DAWN』での体験の様子をレポートします!
今回の体験スポット『分身ロボットカフェ DAWN』について
難病や重度障がいで外出困難な人々が分身ロボットを自宅から遠隔操作し、サービススタッフとして働く実験カフェ『DAWN』。
分身ロボット「OriHime」や目の動きだけで意思疎通できる「OriHime eye」などを開発し、何らかの原因で身体が動かない方の社会参加を目指している株式会社オリィ研究所が運営しています。
オリィ研究所ホームページ
https://orylab.com/
OriHimeを操作する従業員は「パイロット」と呼ばれ、現在50名以上のパイロットが所属しているそう。
予約必須で、OriHimeの接客を受けながら食事やカフェを楽しめる「OriHime Diner」、元バリスタのパイロットがとっておきのコーヒーを提供する「Bar&Tele-Barista」、そして予約不要の一般席「CAFE Lounge」の3つのエリアがあり、今回私たちは「OriHime Diner」を利用しました!
※お会計は現金不可の完全キャッシュレスなのでご注意を!
公式HPはこちら
https://dawn2021.orylab.com/
OriHimeについて
OriHimeはカメラ・スピーカーが搭載されており、見ること / 話すことができる分身ロボット。PCやスマートフォン、タブレットを使って、簡単な移動や動作を遠隔で操作できます。
予約→入店
新日本橋駅から3分ほどで到着するこちらが
今回の体験スポット『分身ロボットカフェ DAWN』
今回私たちは1番最後の枠17:30~18:45を予約。
仕事を早めに切り上げて日本橋に向かいました。
店内の様子
DAWNはとてもおしゃれなカフェで居心地もよく、最初は「あれ?ロボットカフェなんだよね?」と少し戸惑ってしまいました。
リモートワークをする人やOriHimeと談笑している人など、各々が自由にカフェを楽しんでいる様子が印象的でした。
実際にOriHimeを操作してみた!
店内はカフェエリアのほかにOriHimeの紹介コーナーが設けられており、予約していた時間になるまでOriHimeを実際に操作させていただきました。
操作方法はとても簡単で、非常に使いやすいつくりになっています。
タッチパネルをスライド / タッチするだけなので、障がいを持つ方でも身体のどこか一部が動かせれば気軽に操作できます。
タブレットの画面をスライドさせるとOriHimeの顔の向きも変えられ、見たい方向を見ることができるという仕組み。
マイクに向かって話せばOriHimeを通じて会話することもできます。
ただ話すだけではなく、「うなずく」「拍手」「首をかしげる」といったジェスチャーも可能!動きがら話すOriHimeは非常にかわいらしく、会話も盛り上がるように感じました。
注文
予約時間になり、席へ移動。
店内は広く座席の間隔もしっかりとられていたので、安心して食事を楽しめました。
各テーブルに1台ずつOriHimeが置いてあります。
パイロットの方が順番にテーブルを回り料理の説明をし、注文をとっている様子。
いよいよ私たちのテーブルの番!
今回担当していただいたパイロットの方はみかちゃんさん。
簡単な自己紹介の後に、料理の説明をとても丁寧にしていただきました。
悩みぬいた末に、納富君は1番人気のロービーバーガーを、私はロービープレートを注文しました。
雑談タイム
注文後は20分ほどパイロットさんとお話できる時間がありました。DAWNではパイロットの方と客の会話を重視しているそう。
OriHimeは会話の際にタイムラグも少なく、スムーズに会話できます。
喋るロボットといえばPepper君が今や馴染み深いですが、OriHimeも見た目はロボットであり、最初に挨拶された時はぬいぐるみに話しかけるような気恥ずかしさがあります。
が、パイロットの名前、今どこにいるか、趣味で描いている絵の紹介など、自己紹介を通して会話をしているうちに、生身の人と話している感覚になっていったように感じます。
配膳
談笑していると、OriHime-Dがドリンクを運んできてくれました。OriHime-Dはサイズが大きく、自分で移動もできる分身ロボット。
いろいろな席を回り、会話をしている姿が印象的でした。
~ごはんがおいしい!こだわりの食事メニューをレポート!~
オリィイチ推し! ロービーバーガー
Orihime開発者であり、肉好きの吉藤オリィ氏が監修したローストビーフがこれでもかと詰まったハンバーガー。
皿が運ばれてきたときのボリューム感にびっくり。食べてみるとキノコやトマト、付け合わせの焼き野菜との相性が良く圧倒言う間に食べきれてしまいました…!
ローストビーフはバンズをはみ出るほどたくさん挟まれていますが、更に増量することもできますよ!(50g 500円)
ロービープレート
分厚いローストビーフがたっぷりのっていておいしい!
暑い夏なので、ポン酢のジュレでさっぱり食べれるのもうれしいですね。
ローストされた野菜もとてもおいしかった!
こだわりを感じずにはいられないクオリティです。
パイロットさんとの印象的なお話
食事後もパイロットの方とお話しできる時間が20分程度ありました。
「OriHimeのおかげで海外旅行に行けた。」「ここで働き始めてから、友人に明るくなったといわれる。」「自分で稼いだお金で娘にプレゼントを買ってあげられることがうれしい。」など、様々なことをお話ししていただきました。
今回担当してくださったパイロットの方は愛知県在住だそう。
インターネットを介しているため、どこからでも操作できることは当然ですが、目の前にいる人と会話している気分になっていた私は改めてびっくり。
私が「日本橋のおしゃれなカフェで働いているなんて羨ましい。」とこぼすとそういった場所で働ける嬉しさがあることも聞けました。操作しているのは愛知県の自宅でありながら、「日本橋のおしゃれなカフェ店員」というステータスを感じられるのは、そこで動き、人とコミュニケーションができるからなのだと思います。
パイロットの方からのご挨拶
最後にパイロットの方が終礼を行ってくれました。
この分身ロボットカフェ DAWNはあくまで実験中でまだ未完成であること、今後さらにアップデートしてより良い空間にするために客とパイロット、従業員が協力する必要があることなどをお話ししていただきました。
「いつか、すべての人が寝たきりになってしまうかもしれない。そのときに、社会に参加するきっかけになれたら。」という強いメッセージを語っていただき、働くということ、社会に参加するということについて改めて考えるきっかけになりました。
編集後記
納富:
是非、多くの人に体験してほしいと感じる空間でした。
正直なところ、私は居酒屋ですら店員さんに話しかけられるのは苦手です。ただ、このDAWNというお店は、カフェという名前を掲げつつもカフェとは全く別の体験を提供していると思います。
それは端的に言うと、会話を楽しむ体験でした。
始め、「ここから20分ほどこのテーブルにいますね」とパイロットから告げられたときはうまく話せるか少し不安に感じましたが、適度に話題を振ってもらえる、こちらが考えているときには沈黙を待ってもらえる。要するに会話が上手な人たちが集まっているんです。
結果20分はあっという間。
対応いただいた2名のパイロットと合計で1時間近くの会話を楽しみました。
聞けばそういったコミュニケーションが好き、得意と話していて、パイロットになるための面接もかなり高倍率だとか。
得意なことがそのまま仕事になっている場所がDAWNなんだと感じます。
大村:
ここまで“会話”を楽しめるカフェはなかなかないと思います。
全体的にロボットではなくカフェとして居心地の良い空間を演出していましたが、これはこの分身ロボットの形態がカフェ / 飲食店が今後のスタンダードになるだろうという、オリィ研究所の意思の表れなのでしょうか?
IT産業やロボット産業が発達し、機械でオーダーを取ったり、ロボットが配膳したり、今まで人が行っていた作業を技術によって代替しつつある現在。
技術を効率化 / 省人化のために使うのではなく、あえて人を介することによって、その人が持つキャラクターや温かさといった魅力を引き出すためにロボットを活用しているのが印象的でした。
ここまで純粋に店員さんとの会話を楽しむ体験は、なかなかできないと思います。
すごく楽しかったので、ぜひ友人や職場の上司にオススメしたいです。
~分身ロボットカフェ DAWN訪問後のお話~
大村:
簡単な表現になってしまいますが、今回は『自分らしく働く』ということを深く考えさせられたというか…
納富:
ほんとそうですね。
「障がいがあってもできる簡単な仕事」をこなすことって”自分らしさ”から一番遠いというか、個性を活かした働き方とは言えないじゃないですか。
でもDAWNではコミュニケーション能力を強みにした働き方ができていて。
Orihimeの役割って単純作業を遠隔で簡単にできるようにします。ではなくて、個性を活かすためのサポートをしているんだなと感じました。
大村:
私も、パイロットのために新しい仕事を用意するのではなく、今すでにある仕事をするためにOriHimeが存在していることが印象的で。
現代の障がい者雇用って、その人のために何か新しい仕事 / 働ける環境を企業が一方的に用意する形式が多いような印象を持っていて。自分のキャラクターや強みを活かせる、さらにやりたいことに挑戦できるDAWNでの働き方はすてきだなと感じました。
納富:
確かに。人の特技を仕事に変えるために技術を活用するという発想は、この先のスタンダードになっていくのではないでしょうか?
コミュニケーション能力を活かして仕事するために、飲み物を運ぶ手足や会話をするためのマイクやカメラを提供しているOriHimeはまさにその一例です。
大村:
DAWNで働く皆さんは1人ひとりのコミュニケーションスキルや人柄が、最大の価値ポイントだったと思います。その人にしかできない接客を提供していましたよね。
なんだか、機械的という言葉の正反対にあるロボットカフェだったように感じます。(笑)
納富:
CEOの吉藤氏が「テレワークが進行する今、ネット上であれば誰もが働けるだろうという意見もあるが、本当にそうだろうか。働く第一歩をこのカフェでスタートさせてほしい。」と話していたのが印象的で。
大村:
社会への参加の第一歩としてDAWNで働く人がいる。その人たちがどこか別の場所で、OriHimeと一緒に働く未来がある。そういった文脈で「実験カフェ」という言葉はしっくりきますね。
納富:
これもDAWNのHPで語られていることですが、人間誰しもが寝たきりの生活になってしまう可能性を持っています。
DAWNで実践していることが、未来の自分が生きる社会だと思うと、ここでの体験は将来への安心、大げさに言えば希望を感じられるものだったと思います。人が人らしく生きるとは何か、その答えの最前線を体験できる場所でした。
OriHimeがカフェだけではなく様々なところで活用されていく未来が楽しみです!