みなさんこんにちは!
博展 プランナーの川津と渡邉です。

【Quest ! 】は、都内を中心に新しい店舗体験やイベントについて私たちが実際に体験し、月1回更新でレポートしていくコンテンツです。

  目次

1.今回の体験スポット「8.2秒展」とは?

2.AGC studioについて

3.「協創」の空間でガラスの魅力を体験!

4.オンラインギャラリー

5.終わりに

今回の体験スポット 「8.2秒展」とは?

第6回は、現在AGC Studioで開催中の「8.2秒展」での体験の様子をお届けします!

自動車業界のクリエイター×AGC

8.2秒展は、国内の自動車メーカー8社のカラーデザイナー / インテリアデザイナーが立ち上げたJAID(Japan Automotive Interior Design)とAGCの協創展示です。

複数のチームに分かれ、約1年間かけて作品制作が行われました。

開催期間:

2021年3月22日(月)~6月19日(土)10:00-18:00

アクセス:都営浅草線宝町駅より徒歩3分

有楽町線銀座一丁目駅より徒歩4分 ※AGC Studio:Google map

自動車業界のクリエイター×AGC

8.2秒展は、国内の自動車メーカー8社のカラーデザイナー / インテリアデザイナーが立ち上げたJAID(Japan Automotive Interior Design)とAGCの協創展示です。

複数のチームに分かれ、約1年間かけて作品制作が行われました。

人の心が動くまでの時間「8.2秒」

タイトルにもなっている「8.2秒」とは、初めて対面したものに人の心が動く・好きになるまでにかかる時間で、「8.2秒の法則」とも言われています。

今回の展示では、「JAIDが持つクリエイティビティ」と「AGCが持つ最新の技術や素材」を掛け合わせ、8.2秒間にそれぞれのストーリーを表現した様々な作品が制作 / 展示されています。

キーワードは「協創」

AGC Studioとは、2010年に建築用ガラスのショールームとしてオープンし、2017年からは社外とのコラボレーションやブランド発信の場としてリニューアルしました。

1F 「Solution Cafe」はブランド発信を目的としたカフェ機能も備えるエリアで、2F 「Material Lab」は素材に直接触れ、体感することでビジネスコミュニケーションを生み出すスペースとなっています。

AGC Studioでは「8.2秒展」のほかに、東京メトロや漫画「Dr.STONE(ドクターストーン)」とのコラボレーション企画展や、AGC Studio周辺にあるガラスを用いた建築について解説しながらフィールドワークを行う建築ツアーなど、様々な切り口でガラスを紐解いてきました。

また、AGCとしてミラノデザインウィーク(ミラノサローネ)にも2015年から出展しており、そのアーカイブ企画展もAGC Studioで行われてきました。素材の持つ特性を活かして、その「現象」に注目したり、成形技術を用いて「かたち」に注目したりと、素材の可能性を多面的に追求し、作品という形で表現してきました。

「素材の会社 AGC」というキャッチフレーズはCMなどでよく耳にしますが、実用性と可能性のどちらも広げる取り組みが行われてきたことが、AGC Studioの企画展ラインナップからも読み取れます。

出会いはミラノ

JAIDとAGCの出会いは、2018年のミラノデザインウィークでの展示作品に対してJAIDに所属しているダイハツのクリエイターが興味を持ったことにより、JAIDとAGCの関係がはじまりました。

そして今回は、展示発表などを通して自動車メーカー6社がクリエイティブを高めているところに、「協創」を掲げているAGC Studioが掛け合わさることで、「自動車メーカー各社の強さ」×「自動車競合メーカー同士の交流」×「素材の会社 AGC」と、3つの関係 / マインドが掛け合わされています。

「協創」の空間でガラスの魅力を体験!

1F<入り口>

メインビジュアルにも使用されている砂時計が入り口に展示されています。

8.2秒で落ちる砂時計を支えているのは、JAIDメンバーを3Dプリンターで出力したフィギュアです。

支え方の違いで8.2秒の捉え方の個性が表現されているそうですが、撮影の様子を想像するとよりシャーレに展示されているフィギュアがコミカルに見えてきますね。

※左写真:AGC Studio 公式Twitterより

1F<作品展示エリア>

1フロアは広い空間ではありませんが、会場が太陽光の入るスペースと暗室に分けられており、7点の作品が展示されていました。

①Footbath – Colorless Color(TOYOTA)
②Glass Voyage-自然と共生するガラス(DAIHATSU)
③#イイね!2(SUZUKI)
④CROSSING(NISSAN)
⑤ガラスの花-8.2秒 ガラスの変化に心惹かれる(ISUZU)
⑥Glass Camp-ガラスの焚き火(TOYOTA)
⑦Mood Changer-空気清浄木(HONDA)

2F<試行錯誤の部屋>

2Fに上がると床面に大量のパネルが展示されていました。

「試行錯誤の部屋」と名付けられており、初期のアイデアスケッチを見ることができます。

クリエイターそれぞれがガラスに対しての着眼点が異なる中で、個人的に気になったポイントや、素直な「あったらいいな」の想いをそのままアウトプットしたようなアイデアが一面に並んでいました。

「#イイね!2」

大量のアイデアスケッチを抜けると、1Fに展示されている7作品の解説ブースがあります。

各作品ブースにはコンセプトボードだけでなく、スケッチや検証過程での模型なども展示されており、一般的な解説よりも試行錯誤の過程を感じさせる温度がありました。

「解説」であり、「種明かし」であり、「裏話」のような印象を受けました。

一通り展示品を見るような一方通行ではなく、1F / 2Fの展示を行き来して、理解度が深まっていくことで展示への興味がどんどん増していくという部分が、訪れてみてわかった意外な印象でした。

試行錯誤の様子も含んだ作品解説だからこそ、改めて1Fの作品を見たときにディテールや選択した部分などに自然と目がいくことで、最初見たときとは違った視点で作品が楽めることが魅力的なポイントだと感じました!

なので、実際に訪れる際は「1F→2F→1F」という順序で見るのがオススメです!

作品名:「ガラスの花-8.2秒 ガラスの変化に心惹かれる」
参加企業:ISUZU

蕾から開花する花をモチーフにした透明なガラスをハーフミラーを使った合わせ鏡に置くと、まるで花が咲いているかのようなシルエットが浮かび上がる作品です。

この作品の魅力は”変化を楽しめる”ことです。

人が心を惹かれるポイントを“自分のアクションでガラスの表情が変化する”というところに設定していて、1つのガラスで、ガラスの無機質な冷たい印象から柔らかく暖かい雰囲気まで幅広い表情を感じることができます。

最小限の演出で素材の魅力が最大限に伝わるところが、この展示会の”新たなガラスの魅力と可能性の体感”という目的にとても合っているなと感じました!

作品名:「Glass Voyage-自然と共生するガラス」
参加起業:DAIHATSU

8.2秒に1台自動車は廃棄されている現状から、製品に使用されたガラスが、工業製品のゴミではなく自然一部として共存し、地球の循環の中に入ることへの可能性について考えた作品です。

「自動車用ガラスは、安全上一定の大きさで割れるように設計されていること」
「自動車のリアガラスに含まれる“銀”には殺菌効果があり、水をきれいにする」

という元々持つ特性から着想され、

「自動車ガラス自体に養分を混ぜれば廃棄ガラスが土の仲間として共存できる」や、
「細かく割れたガラスを固めると表面張力を利用した保水性のあるガラスプランターが製作できる」

などの可能性について展示がされていました。

既存の使い方とは違う方向に技術を用いて新製品を作るだけでなく、既存の製品のその後・第二の人生を考えることで、大元の製品に影響を与える可能性を示したこと、生み出すだけでなく考え方の循環が生まれそうなことが気になったポイントです。

オンラインギャラリー

8.2秒展ではオンラインギャラリーも開催されています。

作品と2Fの解説ボードを撮影した映像が3分程度の1つの映像に収まっており、音声解説もついています。現地に行けない方もぜひオンラインでお楽しみください!

オンラインギャラリーはコチラから!

終わりに

展示としてはコンパクトでしたが、全体を通して驚きと納得がセットになっていたことで、「インスタレーションが好きな人」「素材やギミックへの知識がある人」など、AGCの扱う素材や技術への知識の有無に関わらず楽しめる展示だと思います。

CMでは、「素材の会社 AGC」というフレーズと共に素材の使用例(スマホの画面など)が紹介されていますが、素材の可能性について伝えられるのは「協創」がテーマのAGC Studioならではだと感じました。企業ミュージアムとも違う印象を受けたのは「協創」という部分がやはり鍵になっていて、AGCがホストでありながらも挑戦者のような印象があったからだと思います。

そして、別分野のプロフェッショナルがそれぞれの視点でAGCの素材を見つめ直し、また違った輝きを放つ作品に昇華させる。それはAGC Studioのような外と繋がる場所にふさわしい展示だったのではないでしょうか。