「自社の認知度を高めたいが、どんなイベントを企画すれば効果的なのか分からない」
「イベントを開催しても期待したほどの反響が得られない」

こうした悩みを抱える企画・マーケティング担当者は多いのではないでしょうか。
デジタル広告が主流の現代でも、イベントは参加者が直接体験できるため記憶に残りやすく、企業の認知度向上に非常に効果的です。

本記事では、認知度や知名度を効果的に高めるイベント企画の秘訣を、具体的な設計ステップや事例とともに解説します。

Index

■認知度・知名度向上におけるイベントの重要性
■認知度が向上するイベント企画のポイント
■認知度向上を狙ったイベントの企画設計ステップ
■イベント企画でよくある課題
■まとめ

■認知度・知名度向上におけるイベントの重要性

認知度や知名度を高めたいと考えたとき、多くの企業が最初に取り組むのはSNSやWeb広告などのデジタル施策です。しかし近年、「イベント」というリアルな場があらためて注目を集めています。

理由はシンプルです。
イベントは、“情報を届ける”施策ではなく、参加者に“体験として残る記憶”をつくれる施策だからです。

ブランドの世界観に触れ、製品を試し、担当者と対話する――こうした体験は、スクロールして流れていく広告とは異なり、参加者の心に強い印象を残します。

ここからは、イベントが認知度向上にどう寄与するのか、その価値と具体的な理由を深掘りしていきます。

広告以上の印象を残すことができる

デジタル広告は短期間で多くの人にリーチできる一方、接触時間が短く、記憶に残りにくいという課題があります。さらに、日常的に膨大な広告に触れる現代では「広告疲れ」が起こり、意識的に情報を遮断してしまうことも少なくありません。

対してイベントは、参加者が時間を割いて能動的に参加するため、企業やブランドに対する関心が高い状態で接触できます。

イベントは単なる情報伝達ではなく、参加者の記憶に深く刻まれる体験を創出することで、高い認知度向上効果を実現します。自ら参加し、企業やブランドとじっくり向き合う時間を持つことで、その存在を“知っている”から“一歩踏み込んで理解している”という段階へ引き上げられる点が、大きな価値と言えます。

五感を通じてブランド理解を深める

イベントの大きな強みは、五感を使ったコミュニケーションができることです。
製品に触れる、香りを感じる、試食する、空間演出に没入する――
こうした体験は、画像やコピーでは伝えきれない価値を、直感的に理解してもらうことにつながります。

この多感覚的な体験は、ブランドの世界観や製品の差別化要素を強く印象づける役割を果たし、記憶に残る認知へと変換します。

リアルな交流で顧客との信頼関係を築ける

イベントは企業と参加者が直接コミュニケーションできる点も特徴です。顔を合わせたコミュニケーションは、デジタル上のやり取りでは得られない親近感や信頼感を生み出します。

特にBtoB領域では、イベント会場での名刺交換や商談が、その後の長期的なビジネス関係の起点となるケースがも多く、認知から信頼、検討フェーズへの移行を促すきっかけになります。

体験を通じて競合他社と明確に差別化できる

市場に似た商品やサービスが溢れる中、言葉や数値だけで差別化を図ることは容易ではありません。しかしイベントでは、独自性のある体験コンテンツを通じて、競合との違いを印象的に伝えることができます。

例えば、環境配慮型の素材を使った製品であれば、実際にその素材の肌触りや質感を体験してもらうことで、カタログスペック以上の価値を実感してもらえます。このように、体験を通じた差別化は参加者の記憶に強く残り、認知度だけでなくブランドイメージの向上にも繋がります。

購買意欲を高め、新規顧客獲得に繋がる

認知度向上は最終的に売上や顧客獲得に結びついてこそ意味があります。イベントは、認知獲得から興味喚起、さらには購買行動までを一連の流れで促進できる強力な施策です。

参加者限定のオファーや体験後アンケート、特典設計などを組み合わせることで、購買意欲の醸成からアクション促進まで一貫して行うことが可能になります。

■認知度が向上するイベント企画のポイント

認知度を効果的に高めるイベントには、共通する設計のポイントがあります。ここでは、成功するイベント企画に欠かせない5つの要素を解説します。

自社と競合の違いを明確にする

認知度向上を目指すイベントでは、自社の独自性を明確に打ち出すことが不可欠です。競合との違いが曖昧なまま実施しても、参加者の記憶には残りません。

まずは自社の強みや独自の価値を言葉にし、それをイベントのテーマや体験づくりに自然に落とし込むことが、認知を伸ばす近道です。例えば、テクノロジー企業であれば最先端の技術デモを中心に据える、地域密着型企業であれば地元との繋がりを前面に出すなど、自社らしさを際立たせる工夫が求められます。

短い言葉でブランドの世界観を表現する

競合との違いを明確に定義できたら、次はその強みを直感的に伝わる言葉へと落とし込みましょう。イベント全体を通じて、ブランドの世界観を一貫して表現することが認知度向上に繋がります。そのためには、イベントのテーマやキャッチコピーを、短く分かりやすい言葉で設定することが効果的です。

優れたキャッチコピーは、参加者がイベント後に他者へ話す際の「フック」となり、口コミによる拡散を促進します。また、SNS投稿時のハッシュタグとしても機能し、オンライン上での認知拡大に寄与します。言葉選びは、ターゲット層の価値観や関心事を深く理解した上で行うことが重要です。

参加者の記憶に残る「体験」を盛り込む

情報提供だけのイベントは、参加者の記憶に残りにくいのが現実です。認知度を高めるには、参加者に「楽しかった」「驚いた」「感動した」と感じてもらう体験を提供することが重要です。

体験型コンテンツの例としては、製品を用いたワークショップや、質問に答えるだけで興味関心に合わせた情報や画像が生成されるもの、音・光・映像を使った空間の没入できるものなどが挙げられます。

企業と参加者の双方向の交流機会を設ける

一方的な情報発信ではなく、参加者との対話や交流を重視することで、より深い認知度向上が実現します。質疑応答セッション、個別相談ブース、ワークショップ形式のプログラムなど、双方向コミュニケーションの場を積極的に設けましょう。

特にBtoB領域では、こうした交流機会が商談や長期的なビジネス関係の構築に直結します。参加者の声を直接聞くことで、自社への理解を深めてもらえるだけでなく、今後のマーケティング施策に活かせる貴重なフィードバックも得られます。

大きなテーマや著名人で興味を引く

多くの人が興味を持っている大きなテーマや著名人を起用するのも手法の1つです。例えば、現在ならAI領域への関心が高まっているので、「AI×〇〇」というイベントは集客しやすいでしょう。また、認知度が高い著名人をゲストとして呼んだりすることで、そのゲストに会いたい層を集めることも可能です。

ただし、こういった部分に惹かれて集客されたユーザーは、今すぐ商品を購入したいわけではないことも多いです。そのため、イベント後のフォローアップでナーチャリング(育成)をして、自社の商品や価値を理解してもらうプロセスが大事になります。

■認知度向上を狙ったイベントの企画設計ステップ

認知度向上に効果的なイベントを実現するには、綿密な企画設計プロセスが不可欠です。企画設計の際は、適切なステップを踏むことで、限られたリソースでも最大の成果を引き出せます。ここでは、実践的な4つのステップを解説します。

KGIとKPIを明確にする

イベント企画の第一歩は、達成したいゴール(KGI)と、それを測るための指標(KPI)を明確にすることです。認知度向上という抽象的な目標を、具体的で測定可能な数値に落とし込みます。

KGIとKPIを事前に設定することで、イベントの成功基準が明確になり、企画内容の優先順位付けや効果測定が可能になります。例として、KGIを「企業の認知度向上」と設定した場合、それを達成するための指標としてKPIを「イベント参加者5,000名」「SNS投稿1,000件以上」「メディア露出3社以上」「新規リード獲得3,000件」といった具合で設定しましょう。

KPIは、参加者数だけでなく、参加者満足度、SNSエンゲージメント率、メディア掲載数、アンケート回収数および内容など、多角的に設定することが重要です。イベント後の効果測定により、次回以降の改善ポイントも明確になります。

ターゲットを明確にする

認知度向上を目指す際、誰に認知してもらいたいのかを具体的に定義する必要があります。ターゲット設定が曖昧なまま企画を進めると、誰にも刺さらない中途半端なイベントになってしまいます。

ターゲット設定では、年齢・性別・職業といった基本属性だけでなく、ライフスタイル、価値観、情報収集行動、課題意識など、より深いレベルでのペルソナ設計が求められます。BtoB領域であれば、業種、企業規模、役職、決裁権の有無なども考慮します。こうした精緻なターゲット設計が、イベントの方向性や提供価値をぶらさず、成果につながる体験づくりの基盤となります。

ターゲットが何に困っているかを考える

ターゲットを明確にした後は、その人たちが日常的に抱えている課題やニーズを深く理解することが重要です。イベントを通じて、参加者の課題解決に貢献できる価値を提供することで、単なる認知度向上を超えた信頼獲得が可能になります。

課題把握の方法としては、既存顧客へのヒアリング、アンケート調査、SNSでの声の収集、競合イベントの参加者レビュー分析などが有効です。これらのリサーチを通じて得られた洞察を、イベントの企画内容に反映させます。

例えば、「情報が多すぎて何を選べばいいか分からない」という課題があれば、専門家による比較解説セミナーを企画する、「実物を見てから判断したい」というニーズがあれば、体験型デモンストレーションを充実させるといった具合です。

独自性のある魅力的なコンテンツを作る

最後のステップは、これまでの設計を踏まえて、実際のイベントコンテンツを創り上げることです。競合との差別化を図りつつ、ターゲットの課題を解決し、記憶に残る体験を提供するコンテンツ設計が求められます。

独自性のあるコンテンツとは、自社だけが提供できる価値や体験を指します。例えば、BtoBであれば業界トップの技術力を活かしたライブデモや顧客事例セッション、独自データを基にした調査結果の発表などが有効です。一方でBtoCの場合は、商品を使った体験型ワークショップ、プロによる調理・メイク・使用方法の実演、限定アイテムの先行試食・体験会、ブランドのストーリーを体感できる展示など、生活者が「実際に触れる・試す」ことで価値を感じられるコンテンツが効果的です。

このように、自社の強みを活かしつつ、それぞれの対象に応じて最適な「自社ならではの体験」を設計することが、イベントの独自性につながります。

■イベント企画でよくある課題

イベント企画を進める中で、多くの担当者が共通して直面する課題があります。これらの課題を事前に認識し、適切な対策を講じることで、認知度向上の成果を最大化できます。ここでは、代表的な5つの課題とその対処法を解説します。

アイディアが枯渇し企画がマンネリ化する

定期的にイベントを開催している企業では、アイディアが枯渇し、毎回似たような内容になってしまうという課題がよく見られます。マンネリ化したイベントは参加者の関心を引けず、認知度向上の効果も低下します。

この課題への対処法としては、競合や異業種のイベント事例を定期的にリサーチすること、参加者アンケートから改善点や要望を収集すること、外部の専門家やクリエイターとコラボレーションすることなどが有効です。また、トレンドを取り入れることも重要で、2025年現在であれば、AI技術を活用した体験型コンテンツやSNS拡散を考慮した「映える」コンテンツなどが注目されています。

ターゲット設定が曖昧でニーズとズレる

「できるだけ多くの人に来てほしい」という思いから、ターゲット設定が曖昧になり、結果的に誰のニーズにも応えられないイベントになってしまうケースがあります。これは認知度向上の観点からも非効率です。

前述の通り、ターゲットを明確に絞り込むことで、そのターゲット層に深く刺さる企画が可能になり、口コミやSNS拡散を通じた認知度向上が促進されます。広く浅く認知されるよりも、特定のターゲット層に強く印象づけることが、長期的なブランド構築には効果的です。

効果的な集客ができず参加者が集まらない

優れた企画を立案しても、集客が不十分では認知度向上の機会を逃してしまいます。集客の課題は、告知開始のタイミングが遅い、告知チャネルが限定的、訴求メッセージが弱いといった要因で発生します。

効果的な集客には、複数チャネルを組み合わせた統合的なプロモーション戦略が必要です。自社サイトやメールマガジンだけでなく、SNS広告、プレスリリース、インフルエンサーとの連携、既存顧客への直接案内など、多角的なアプローチを展開します。また、イベント開催の1〜2ヶ月前から段階的に情報を発信し、期待感を高めることも重要です。

・告知開始は最低1ヶ月前、理想は2ヶ月前から
・自社メディア、SNS、広告、PR、インフルエンサーなど多様なチャネルを活用
・参加メリットを明確に訴求する(学べること、得られるもの、体験できること)
・早期申込特典や限定枠など、行動を促す仕掛けを設ける
・リマインドメールやカウントダウン投稿で参加意欲を維持

これらのポイントを押さえることで、集客力を高め、より多くの人に認知機会を提供できます。

イベント内容が参加者の期待値を下回る

集客段階で過度に期待を煽った結果、実際のイベント内容が参加者の期待に応えられず、満足度が低下するケースがあります。これは認知度向上どころか、ネガティブな評判の拡散に繋がりかねません。

この課題を防ぐには、告知段階で提供内容を正確に伝えること(期待値調整)、当日の運営クオリティを徹底的に高めること、参加者とのコミュニケーションを重視することが重要です。また、想定外のトラブルに備えたバックアッププランを用意しておくことも、参加者体験の質を保つために不可欠です。

準備不足や甘い進行管理でトラブルが発生する

イベント当日のトラブルは、企業イメージを損ねる大きなリスクです。会場設営の不備、スタッフ間の連携ミス、機材トラブル、時間配分の失敗など、準備不足や進行管理の甘さが原因で発生します。

トラブルを防ぐには、詳細なタイムテーブルとチェックリストの作成、事前のリハーサル実施、スタッフ間の役割分担と連絡体制の明確化が必要です。また、トラブル発生時の対応マニュアルを用意し、迅速かつ適切に対処できる体制を整えておくことも重要です。

■まとめ

認知度や知名度を向上させるイベント企画には、戦略的なアプローチと細部へのこだわりが不可欠です。

成功の鍵は、明確なKGI・KPI設定、ターゲットの深い理解、独自性のあるコンテンツ設計、そして参加者が自発的にシェアしたくなる仕掛けの実装にあります。

よくある課題を事前に認識し対処することで、限られたリソースでも最大の効果を引き出せます。この記事で紹介した企画設計ステップと実践ポイントを活用して、自社の認知度向上に貢献する魅力的なイベントを実現してください。

もし具体的なイベントの企画や制作でお悩みのことがございましたら、博展に、ぜひお気軽にご相談ください。