クリスマスは、商戦の中でも特に重要な時期であり、各商業施設にとって来場者を呼び込む大きな機会となります。2024年のホリデーシーズンにも、多くの施設が工夫を凝らしたイルミネーションやイベントを展開し、集客力や話題性を競い合いました。
本記事では、博展のメンバーが実際に参加・観察したイベントをもとに、その特徴や成功要因を分析しました。
「光を見る」体験にとどまらず、「滞在・回遊・再訪」へとつなげるための仕掛けに注目し、今後の企画立案やプロモーション施策に役立つ視点をお伝えします。
Index
■クリスマスイベントを成功に導く4つのポイント
■クリスマスイベント事例1:MIDTOWN CHRISTMAS 2024
■クリスマスイベント事例2:東京スカイツリータウン DREAM CHRISTMAS 2024
■クリスマスイベント事例3:Marunouchi Street Park 2024 Winter
■まとめ
■クリスマスイベントを成功に導く4つのポイント
クリスマスイベントの事例をご紹介する前に、私たちイベント企画のプロフェッショナルである博展が、プロジェクトを成功に導くために重視している4つのポイントをお伝えします。これらのポイントは、単なる集客施策にとどまらず、イベント全体の体験価値と来場者の満足度を最大化するための鍵となります。
- 地域性の活用:街の歴史や景観、立地特性をデザインに反映し、「その場所ならでは」の価値を高める。
- SNS拡散の仕掛け:光や音など“変化する演出”やフォトスポットを設け、来場者による写真・動画投稿を促す。
- 回遊施策による目的地化:マーケットやスケートリンクなど複数のコンテンツを組み合わせ、滞在や回遊を自然に促す。
- テナント連携の強化:限定メニューやコラボ企画を通じて、イルミネーション鑑賞を購買行動へとつなげる。
これら4つのポイントを抑えることで、集客を成功させられるだけでなく、来訪者の心をグッと動かすような、体験価値や満足度の高いイベントを作ることができますよ。
■クリスマスイベント事例1:MIDTOWN CHRISTMAS 2024

東京ミッドタウンで毎年開催される「MIDTOWN CHRISTMAS」は、六本木エリアを代表する冬の定番イベントです。
ガーデン全体を彩る光の演出に加え、スケートリンクやマーケットなど多彩なコンテンツを展開し、来場者に幅広い体験を提供しました。
都心を代表する冬の風物詩
特に2024年は、恒例のイルミネーションをベースにしながらも新たな演出を加えることで、訪れるたびに違った魅力を感じられる工夫がなされました。こうした継続的な刷新により、初めて訪れる人はもちろん、リピーターにとっても飽きのこない冬の定番イベントとなっています。
多彩なコンテンツによる長時間滞在の促進
イルミネーションの鑑賞だけにとどまらず、スケートリンクやクリスマスマーケット、ワークショップを同時開催。訪れた人が「光を見る」だけでなく、「体験する・食べる・買う」といった多様な行動を楽しめる仕組みを導入しました。これにより滞在時間が自然に延び、テナント利用や購買にもつながる好循環が生まれました。
SNS拡散を意識した仕掛け
音楽と連動して変化する光の演出や、ARを活用したフォトスポットを展開し、来場者が写真や動画を撮りたくなる瞬間を演出します。InstagramやX(旧Twitter)を中心に多数の投稿が拡散され、イベント自体が自然にプロモーションされました。来場者が発信者となる設計は、新規来場者の獲得にも大きく寄与しました。
地域連携による“目的地化”
ミッドタウン館内や周辺の飲食・物販店舗とも連動し、ショッピングや食事と組み合わせた楽しみ方を提案しました。これにより「イルミネーションを見るためにミッドタウンを訪れる」という動機付けが強化されました。街全体を舞台とした体験設計が、再訪率の向上にもつながっています。
★ポイント★
この事例のポイントは、イルミネーションを単なる装飾ではなく「回遊性を伴う体験」に進化させることの重要性です。
多彩なコンテンツとSNS拡散を意識した仕掛け、さらに地域との連携を組み合わせることで、東京ミッドタウンは冬の集客を成功に導きました。結果として冬の集客拠点としてのブランドを確立しています。
■クリスマスイベント事例2:東京スカイツリータウン DREAM CHRISTMAS 2024

「DREAM CHRISTMAS 2024」は、東京スカイツリータウン全体を舞台に開催された大規模なイルミネーションイベントです。観光地と商業施設が一体となった立地を活かし、気軽に立ち寄れるカジュアルさと多彩な体験型コンテンツで幅広い層の来場を実現しました。
観光と買い物に寄り添う立地特性
東京スカイツリータウンの強みは、タワー観光やショッピングの流れに自然に組み込まれる立地特性にあります。入場無料で誰もが気軽に楽しめることから、幅広い年齢層やファミリー層に支持されました。観光と買い物を補完する形でイベントを体験できる点が、他の都市型イベントにはない特徴といえます。
マーケットやライブイベントで回遊性を強化
施設内外にはクリスマスマーケットが設置され、雑貨や飲食を楽しめるブースが来場者を惹きつけました。さらに週末限定で1日に複数回の音楽ライブを実施。12月には出演アーティストを追加し、再来館のきっかけづくりを行っていました。単なる鑑賞イベントではなく、長時間滞在や再訪を促す体験型コンテンツとして機能しました。
SNS拡散を促す多彩なフォトスポット
敷地内には大小さまざまなフォトスポットを配置。巨大なツリーや期間限定の特設エリアなど、来場者が写真を撮りたくなる仕掛けが満載でした。SNS投稿を通じてイベント情報が拡散し、幅広い層の来場につながっていました。気軽に立ち寄れる導線と「映える」仕掛けの両立は、今年の特徴的なポイントです。
テナントとの連動施策
商業施設内の飲食店ではクリスマス限定メニューを提供し、イルミネーション鑑賞と飲食体験を結びつける施策を実施。買い物や食事とイベント参加が自然に融合することで、施設全体の売上向上にもつながりました。テナントとの連動は「見るだけで終わらない集客」を実現する重要な要素となっています。
★ポイント★
スカイツリータウンの事例は、「気軽に立ち寄れるカジュアルさ」と「多彩な体験」を組み合わせることで、大規模商業施設の強みを最大限に活かせることを示しています。イルミネーションをきっかけに来場し、その後マーケットや飲食へと行動が広がる流れを設計することが、集客と消費の両立に直結しました。観光客・買い物客双方を取り込む仕組みは、他施設にとっても大きな参考となるでしょう。
■クリスマスイベント事例3:Marunouchi Street Park 2024 Winter

「Marunouchi Street Park 2024 Winter」は、丸の内仲通りを中心に街路樹をシャンパンゴールドの光で彩ったイルミネーションイベントです。ビジネス街としての洗練された雰囲気に、冬の華やかさを加えることで、街全体を舞台にした一体感ある景観を生み出しました。
街全体を舞台にしたイルミネーション
丸の内の街路樹を照らす統一感ある演出は、訪れる人に「街そのものを体験する」感覚を提供しました。石畳や歴史的建築と組み合わさった光景は、他の商業エリアにはない独自の価値を創出し、冬の東京を象徴する景観として定着しています。
歴史と景観が醸し出すブランド力
石畳や歴史ある建物と組み合わさったイルミネーションは、他の商業エリアにはない独自の価値を創出しています。長年続く冬の恒例イベントとして、多くの人に「丸の内といえば冬のイルミネーション」という認知を浸透させることに成功しました。この歴史と景観が組み合わさることで、都市型イルミネーションの中でも際立ったブランド力を確立しています。
人気キャラクターとのコラボレーション
2024年は、国内外で人気のキャラクターとコラボレーションした特別施策を実施。通り沿いに設置されたフォトスポットや装飾にキャラクター要素を取り入れることで、ファミリー層や観光客の注目を集めました。これにより、従来のビジネスパーソン中心の来街者層に加え、新しい層の来訪やリピーター化を実現しています。
回遊性と再来動機の強化
丸の内の強みは、複数の通りや施設が連動して回遊を生み出す点にあります。イルミネーションを見ながらショッピングや食事を楽しめる導線を設計し、来街を促しました。さらに、アクセスの良さや「丸の内といえば冬のイルミネーション」という認知の定着が、来場者に「もう一度訪れたい」と思わせる再来動機につながっています。
★ポイント★
この事例は、街並みや歴史といった資産を活かしたイルミネーションが「街全体のブランド価値向上」に直結することを示しています。単なる装飾イベントではなく、地域の特色を前面に打ち出すことで、継続的な集客とファン層の拡大を実現しました。他の都市や商業エリアにとっても、地域資源とイルミネーションを結びつける発想は大きな参考になるでしょう。
■まとめ
2024年のクリスマスイルミネーション事例から見えてきたのは、単なる光の装飾ではなく、「体験型コンテンツ」「SNS拡散」「地域やテナントとの連動」「再来動機の設計」といった新しい集客ルールです。
東京ミッドタウンでは複数のコンテンツを組み合わせて「目的地化」を実現し、スカイツリータウンでは「気軽に寄れるカジュアルさ」とフォトスポットによる拡散が成功要因となりました。丸の内では街並みと歴史を活かしたブランド強化と再訪促進が見られました。
これらの事例に共通するのは、来場者を「見るだけの観客」から「体験し、発信する参加者」へと変える仕掛けを設計している点です。イルミネーションが単なる一過性のイベントではなく、施設や街全体のブランド価値向上や消費促進に結びつく施策へと進化していることが分かります。
今後イルミネーション施策を検討する際には、施設や地域の特性に合わせて「体験価値の拡張」「SNSを意識した演出」「連動施策の強化」「リピーターを生む演出」などを組み合わせることが重要です。単なる美しさを超えた集客設計を行うことで、来場者に選ばれるイベントにすることができるでしょう。
博展は、こうした戦略的なイルミネーション施策をトータルでご支援いたします。施設や街の課題に合わせたコンセプト設計から、体験型演出の企画、効果を可視化する指標設定まで、ワンストップでのご提案が可能です。
ぜひお気軽にご相談ください。
また、クリスマスイルミネーションの事例についてより分かりやすくまとめた資料をご用意しました。今回ご紹介した事例以外も載せていますので、ぜひこちらからダウンロードしてみてください。
