INTRODUCTION

ブルーボトルコーヒージャパン合同会社は、2021年12月1日(水)から渋谷スクランブルスクエア2階 Space2にて「ブルーボトルコーヒー ポップアップストア 渋谷スクランブルスクエア」を期間限定でオープン。

『This Winter, Invite Warmth In – この冬、温もりを迎え入れよう。』をテーマに、アーティスト コーディ・ハドソン氏がデザインしたジオメトリック柄とコーヒー豆やドリッパーなどのコーヒーの要素を組み合わせ、テクスチャーと温もりを感じる柄が目を引くアイテムやセットを販売。

博展は提案から企画プランニング、アートディレクション、什器制作まで担当いたしました。

木挽 夏実
新卒で2020年に博展へ入社。toC企業やディベロッパー等を中心に新規営業活動及び、プロジェクトマネジメントを担当。BBC様とご一緒してコーヒーを更に好きになり、研究中。

川岸 未有
2017年の新卒入社。展示会や大型主催イベント、プロモーションイベントなどのプロデューサー兼新規営業担当。一日のスタートはコーヒーを飲むことから、がマイルール。

堀田 純希
チーフデザイナー / アートディレクターとして、店舗、オフィス、インスタレーションなどさまざまなプロジェクトを担当。「Frame Awards」「iF Design Award」「Design for Asia Awards」「日本空間デザイン賞」など国内外の空間デザイン賞受賞実績多数。BBCのおすすめのコーヒー豆は、スリー・アフリカズ。

松木 和哉
2018年入社。前職のディスプレイ施工会社を経て博展へ。2020年よりtoC案件を中心に制作マネジメントを担当している。
コーヒーの淹れ方を研究中。

OUTLINE

川岸:今回私たちがお手伝いさせていただいたのは、Blue Bottle Coffee Japan(以下:BBCJ)様の「BLUE BOTTLE COFFEE Pop Up Cafe – Shibuya -」です。こちらは渋谷スクランブルスクエア2Fにておこなわれた期間限定のポップアップショップで、博展は企画プランニングから空間デザイン、什器制作まで担当させていただきました。

堀田:『This Winter, Invite Warmth In – この冬、温もりを迎え入れよう。』をテーマとしたホリデープロダクトや限定コーヒーが発売される中で、あたたかみのある空間が一つの要素でした。

木挽:また、今回のポップアップショップのサブテーマは「サステナビリティ」です。

企画段階では無かったテーマでしたが、BBCJ様は以前よりサステナブルな取り組みをされており、ブランドイメージにもマッチしたサブテーマだと思ったので、様々な参考写真を持ち込み、提案させていただきました。

PLANNING

“まず何かを創る前にムダの削減を”
サステナブルな素材を用い、イベントの前後まで考慮した空間づくり

木挽:これまでのポップアップではプラスチック製の什器を使用されていたので、博展ならではのアップデートができないかと考え、什器をサステナブルな要素も取り入れた組み立て式に一新しました。

木挽:今回は「まず何かを創る前に減らせるものがないか」を考えたんです。

例えば、運搬による環境負荷や設営にかかる工数など、何かをつくる工程で生まれてしまうものをできるだけ減らせないかとか。

そこで、積載に必要なスペースを削減し、運搬を効率化するために、什器を折りたたみ式にしました。

堀田:また、この什器の大きな特徴のひとつに、誰でも組み立てられるというメリットがあります。

スペースの真ん中に位置するこの什器は、チップボールグレーという素材を使用していて、素材が紙なのでとても軽いんです。

さらに、9枚のボードで簡単に組み立てられるため、今回のように施工業者に依頼しなくても自分たちで完成させることができるんです。つまり、地方でポップアップをする際も簡単に什器を運搬、組み立てが可能になるというわけです。

本当は毎回博展にご依頼いただいて、都度新しい什器を制作した方が僕らの仕事にはなるんですけど、お客様の負担と環境負荷低減の観点から簡単に運搬、設置ができるような設計にしました。
この什器の強度や素材の選定などは松木さんと一緒に検証しながら考えていきましたね。

松木:そうですね。今回は、「誰でも組み立てられる」を軸にマテリアル選定をおこないました。
制作も社内メンバーでおこなったので、実際に担当者様に博展の製作スタジオに来ていただき、組み立て方を一緒に検証することもありました。

また、この什器は素材のサイズをそのまま使うことで、製作過程での廃棄物がほとんど出ないような設計にもなっています。800mm角のボードに切れ込みを入れ、それに合わせて組み合わせると什器が完成する仕様になっているので、その点でも環境への負荷は低減できましたね。

他にもこの写真にある什器も制作しました。こちらは、今回のテーマのあたたかみを感じられるプレーンな素材がいいと考え、コルクを選びました。このコルクは、ワインボトルの栓に使用されているコルク栓を再資源化したリサイクルコルクを使った什器です。
もちろん、先程の組み立て式の什器の素材もサステナビリティを考えた厚紙素材なので、廃棄時にはリサイクル処理できます。

サステナブルの観点は常に意識していますし、もしコンセプトやテーマに選ばれなかったとしても、これからのイベントにおいてはマテリアル選定の基準にいつもサステナビリティがあればいいなと思っていますね。

堀田:本当にそうですよね。
ブルーボトルのデザインフィロソフィーを担保しつつ、リサイクルコルクを使った素材を選ぶことで、サステナブルに寄与できる空間が実現できたと思っています。

KEY FACTOR

空間の魅せ方は変えず、要素をコントロールすることに注力

ー 一方で、プロデュース側はどういう部分を意識してましたか?

木挽:そうですね、やはりプロデューサーとしては、進行するにあたってコストコントロールも外せないポイントでした。
予算が決まっているなかで、“holiday”という方向性の空間を維持しながら素材という要素の部分の調整を心がけました。
その点に関しては、PMの松木さんとも話し合いを重ねました。

松木:目に見えるデザインは変えないように、要素が限られているなかで足し算と引き算を繰り返しおこないました。

川岸:博展は展示会のブースをルーツに持った仮設に強い会社なので、今回は特に仮設という条件において博展の価値を最大限に発揮することに注力しました。木挽の言っていたコストコントロールにも繋がる大きなポイントだと思っています。

木挽:今回、組み立て式什器を制作したことで地方でも使い回せるという話がありましたが、そのようなノウハウの提供も博展の価値だと思っていますし、製作チームの知見もあり、博展チームで最後までやりきれたと実感しています。

これからもっと地方展開をおこなっていくBBCJ様とのコミュニケーションの最初の入り口としては、今回とても評価していただいたので、今後もサステナブルにも寄与しながらブランドの世界観を最大限発揮できる空間設計をできるよう、我々も様々な知見を増やしていきたいです。

OVERVIEW

CLIENTブルーボトルコーヒージャパン合同会社
PROJECTブルーボトルコーヒー ポップアップストア
VENUE渋谷スクランブルスクエア2階

CREDIT

プロデューサー 木挽 夏実、川岸 未有
デザイナー 堀田 純希
プロダクトマネジメント 松木 和哉