たゆまず成長する植物の生命力を象徴する文様として、古来より洋の東西を行き来しながら発展してきた唐草。
資生堂初代社長の福原信三氏は、唐草のたおやかな存在感は女性の姿にも似て、化粧品のイメージにふさわしいと考えました。以来、唐草は資生堂の美の遺伝子となって、時代の精神を反映しながら今日まで受け継がれています。
今回のプロジェクトでは、資生堂の唐草に対し、これまでの歴史を振り返るとともに、未来に向かう成長のシンボルとして再解釈しました。
ウィンドウでは、資生堂のイラストレーター・デザイナーとして活躍し、資生堂デザインの基礎を築き上げた1人である山名文夫氏(1897〜1980年)のイラストをモチーフとして、その筆跡をなぞるかのように、リボンの動きで唐草の美しい曲線を表現。それぞれリズムが異なる3本は決して同じ動きはせず、重なり合った瞬間の美しさを伝え、無限に続く新しい唐草を描いているかのような印象を与えています。
エントランスでは、床に象嵌で施されていた唐草の模様をモチーフとして、それが空間に立ち上がったかのような什器をデザイン。まるで唐草模様の中に入り込んだような空間体験ができます。コンテンツとしては、唐草模様が施された歴史あるオリジナルのパッケージや来場者が唐草模様を作ることができるパズルなどを展示しています。
ウィンドウとエントランスの両方で、唐草の美しい曲線や大胆な直線が奏でるリズムを体感できる構成となっています。
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