展示会で成功を収めるために、招待状や案内メールの書き方はとても重要です。数多くの出展ブースの中から自社を選んで来場してもらうためには、単なる開催告知ではなく、相手の関心を引く魅力的な内容にする必要があります。

本記事では、展示会の招待状と案内メールの効果的な書き方を、具体的な例文とともに詳しく解説します。ビジネスマナーを守りながらも集客効果を最大化する方法を、実践的なテンプレートとあわせて紹介していきます。

展示会の成功は、事前の案内状作成から始まります。来場者の心を掴む招待状・案内メールの作り方をマスターして、展示会での成果を最大限に引き出しましょう。

Index

■来場につながる展示会招待状・メールのポイント
■来場意欲を高めるためのテクニック
■ビジュアルで魅せる!効果的な紙の招待状とは
■個別化がキモ!効果的な招待メールとは
■来場を促す効果的な招待状の送り方
■まとめ

■来場につながる展示会招待状・メールのポイント

効果的な展示会の招待状を作成するためには、まず基本的な構成要素を理解することが重要です。来場者が迷うことなくブースを訪問できるよう、必要な情報を漏れなく盛り込む必要があります。

招待状の構成は、相手との関係性や送付方法によって多少異なりますが、核となる情報は共通しています。ここからは、どのような形式でも必須となる記載事項について詳しく説明していきます。

招待状に含めるべき必須情報一覧

招待状には、来場者がスムーズに展示会に来場できるよう、以下の基本情報を必ず記載しましょう。

記載項目詳細内容記載例
展示会名正式名称を明記「 ○○産業技術展2025」
開催日時曜日含む詳細な日程「2025年10月15日(水)〜17日(金) 10:00-18:00」
会場情報住所・最寄駅・アクセス方法「東京ビッグサイト 東京都江東区有明3-11-1 ゆりかもめ 東京ビッグサイト駅徒歩3分」
自社ブース番号会場マップ付きで案内「東4ホール ブース番号:E4-25-12」
展示内容主要な製品・サービス概要「最新AI搭載システム『TechSolution』のデモンストレーション」
来場特典限定特典・ノベルティ情報「ご来場者様限定:製品カタログ+オリジナルUSBメモリ進呈」
「通常価格10万円相当のコンサルティングを無料で実施」
申込方法事前登録の方法「事前登録URL:https://example.com/entry または当日受付でも来場可能」
問い合わせ先担当者・電話番号・メールアドレス「担当:田中(TEL: 03-1234-5678 Email: tanaka@example.com)」

この基本情報を押さえることで、来場者は迷うことなく展示会に来場することができます。特に、自社ブース番号と展示内容については、来場の判断材料となる重要な情報ですので、分かりやすく記載することが大切です。

紙の招待状とメールの書き方の違い

紙の招待状とメールでは、それぞれ適した書き方や構成があります。相手との関係性や緊急性に応じて、最適な方法を選択しましょう。

紙の招待状は、特に力を入れてアピールしたい場合に非常に効果的です。たとえば、新製品を初めてお披露目するイベントでは、メールでは伝えきれない製品の魅力的なビジュアルや詳細な機能などを、デザイン性の高いレイアウトで分かりやすく表現できます。

また、特に重要な顧客には、営業担当者が直接持参し手渡しすることで、相手に特別な印象を与え、イベントへの期待感をより一層高めることができます。

  • 紙の招待状:伝えたい情報量が多い場合や、デザインで世界観を表現したい場合に最適
  • メール:多くの相手に迅速かつ効率的に案内したい場合に適しており、簡潔で分かりやすい件名と、読みやすい段落構成を心がける
  • 共通点:相手の立場に立った価値提案と、具体的な行動を促す特典のご案内

■来場意欲を高めるためのテクニック

単なる開催告知で終わらせず、受け手に「ぜひ行ってみたい」と思わせるテクニックが、展示会の成功を左右します。効果的な招待状は、相手の課題解決につながる価値提案と、限定感を演出する要素、ビジュアルなどを巧みに組み合わせ来場動機を高めるように作られています。ここからは、来場意欲を最大化するための具体的なテクニックをご紹介します。

価値提案を盛り込む:何を得ることができるか?顧客目線での訴求

単なる製品紹介ではなく、来場することで得られる具体的なメリットを顧客目線で表現することが重要です。

「何を展示するか」よりも「来場者が何を得られるか」に焦点を当てた文章にすることで、相手の関心を引くことができます。特に、業務効率化やコスト削減などの具体的な効果を示すことで、説得力が増します。

アプローチ方法効果的な表現例一般的な表現
課題解決型「人手不足でお悩みの製造現場を、AIが解決します」「AI技術を展示します」
数値効果型「従来比50%のコスト削減を実現する新システム」「コスト削減システムを紹介」
体験価値型「実際に触って体感いただける無料デモンストレーション」「製品のデモを実施します」
限定特典型「会期中のご来場者様限定で導入支援サービスを無料提供」「サービスについてご説明します」

これらの表現を用いることで、来場者にとっての価値を明確に示し、展示会への来場意欲を高めることができます。

ビジュアルを活用する:ブースの場所と外観を分かりやすく提示

文章だけでなく、視覚的な情報を加えることも来場意欲の向上に効果的です。特に多くの企業が出展する合同展示会では、来場者が広い会場内で自社ブースをスムーズに見つけられるかどうかが重要になります。

招待状には以下の2つのビジュアルを盛り込み、来場者が迷うことなくブースにたどり着けるよう配慮しましょう。

  • ブースの位置を示した会場MAP:会場全体のどこに位置するのかを視覚的に伝えます。
  • ブースのイメージパース: ブースの外観を事前に見せることで、来場者が目印として探しやすくなります。

特典を提示する:「ここでしか」「今だけ」を強調し来場を促進

来場特典やブース内イベントの告知は、展示会への来場を促す重要な要素です。単に特典があることを伝えるだけでなく、その価値や限定性を強調することで、来場への動機を強化できます。

特典の告知では、「なぜその特典が価値があるのか」「いつまでの限定なのか」を明確に示すことが効果的です。また、デモンストレーションや相談会などのイベントでは、来場することで得られる具体的な成果を示しましょう。

  • 限定感の演出:「先着50名様限定」「会期中のみの特別価格」などの表現で緊急性を創出
  • 価値の明確化:「通常価格10万円相当のコンサルティングを無料で実施」など具体的な価値を提示
  • 体験価値の強調:「実際の導入事例をもとに、貴社での活用シーンをシミュレーション」など個別対応をアピール

■ビジュアルで魅せる!効果的な紙の招待状とは

紙の招待状は、メールでは流れてしまいがちな情報を、手元に残る「特別な案内」として届けられる強力なツールです。特にBtoBの展示会においては、単なる開催告知にとどまらず、企業のブランドイメージを強く印象づけ、今回紹介する製品やサービスへの関心を高める場として大きな役割を果たします。

また、A4三つ折りや両面印刷といった形式を活用することで、情報を整理しつつ視覚的に訴求することも可能です。ここでは、受け取った相手が「ぜひ行ってみたい」と思えるような、効果的な招待状の構成案をご紹介します。

A4三つ折り招待状のデザイン構成案

特に一般的なA4三つ折りの招待状を例に説明していきます。三つ折りかつ両面印刷の招待状は、「開く前(表面)」と「開いた後(中面)」で内容を明確に分けるのがおすすめです。

【表面】まずは興味を惹きつけることが最重要

三つ折りの状態で最初に目に入る表面は、イベントの最も魅力的なポイントを凝縮し、詳細を見たいと思わせるための「顔」となる部分です。

  • イベントタイトル&キャッチコピー:イベントのテーマが一目で伝わる、インパクトのある言葉を選びます。
  • キービジュアル:今回最もアピールしたい新製品の写真や、ブースのイメージパースなどを大きく配置し、視覚に訴えかけます。
  • 最大のメリットや来場特典:「新製品を国内初公開」「限定ノベルティプレゼント」など、来場することで得られる特別な価値(ベネフィット)を分かりやすく記載します。

【中面・裏面】詳細情報で来場意欲を確実なものに

表面で興味を持った人が、次に開くのが中面・裏面です。ここでは、イベントの具体的な内容や来場に必要な情報を分かりやすく整理して伝えます。

  • ご挨拶と出展の主旨:出展に関するご挨拶や、どのような課題を解決できるかを簡潔に
  • 展示製品・サービスの一覧:実際にご覧いただける製品や技術を具体的に紹介
  • 開催日時・会場アクセス:日時、場所、会場MAP、最寄り駅からのアクセス方法など、来場方法を丁寧に記載
  • ブース番号や問い合わせ先: 広い会場でも迷わないよう、ブース番号はMAPと合わせて目立つように記載

■個別化がキモ!効果的な招待メールとは

メールによる招待状は、取引先はもちろん多くの見込み客に効率的にアプローチできる手法です。ただし、紙と違って埋もれやすいため、件名や本文の工夫が不可欠です。

特に効果を左右するのが「個別化」です。宛名を差し込むだけでなく、業種や役職ごとに関心の高いテーマをタイトルに反映したり、本文でその企業の課題に直結するセッションや展示内容を強調したりすることで、“自分ごと”として受け止めてもらえます。

開封率や来場率を高めるには、このようなターゲット別のメッセージ設計に加え、行動を促す特典やメリットの提示が重要です。ここからは、実際の配信で成果を上げているメール例文をもとに、効果的な書き方を解説します。

開封率を高める件名の作り方

メールの件名は、開封率を決定づける最重要要素です。誰からの何についての案内なのかが一目で分かり、かつ相手の関心を引く内容にする必要があります。

効果的な件名は、会社名、展示会名、特典の有無を含めて30文字以内で構成するのが理想的です。また、緊急性や限定性を示すキーワードを含めることで、開封への動機を高めることができます。

件名のパターン効果的な例文ポイント
基本パターン【株式会社ABC】○○展2025 出展ご案内会社名と展示会名を明確に表示
特典強調パターン【限定特典あり】○○展2025 ご招待のご案内特典の存在を前面に出して関心を引く
緊急性パターン【開催まであと3日】○○展ご来場で○○を特別価格でご提供!期限を示して行動を促進
個別対応パターン田中様限定ご招待:新製品デモ機会のご案内【○○展2025】個人名を入れてパーソナライズ

件名は受信ボックスで最初に目に入る情報なので、相手の業界や関心に合わせてカスタマイズすることが重要です。

さらに効果を高めるために:ターゲット別のパーソナライズ手法

来場者の属性や関心度に応じて、訴求ポイントを変えることで、より効果的なアプローチが可能になります。

既存顧客、見込み客、初回接触の相手では、それぞれ異なる訴求が必要です。関係性の深さや業界特性を考慮したパーソナライズされた内容にすることで、開封率と来場率の向上が期待できます。

ターゲット層訴求ポイント具体的な文言例
既存顧客(高関心)最新情報・アップデート「いつもご愛顧いただいている○○システムの最新バージョンを先行公開」
見込み客(中関心)課題解決・導入メリット「貴社でご検討中の△△課題について、最適なソリューションをご提案」
新規層(低関心)気軽さ・特典重視「お気軽にお立ち寄りください。コーヒーブレイクも兼ねて情報収集を」
役員・決裁者層戦略的価値・ROI「デジタル変革による競争優位性確保のための戦略的ソリューション」

見込み客向けメール招待状の完全テンプレート

見込み客への招待メールでは、相手の課題解決につながる価値提案と、具体的な行動を促す特典を明確に示すことが重要です。また、読みやすさを重視した段落構成と、重要な情報を見逃させない工夫が必要になります。

以下のテンプレートは、BtoB企業で実際に高い成果を上げている構成をもとに作成されています。自社の商材や展示内容に合わせて調整してご利用ください。

件名:【株式会社○○】○○産業技術展2025 出展ご案内【無料特典あり】

株式会社△△
営業部 部長 山田様

いつもお世話になっております。
株式会社○○の佐藤と申します。

この度、10月15日(水)から17日(金)まで東京ビッグサイトで開催される「○○産業技術展2025」に出展することとなりました。

■今回の展示内容
・AIを活用した生産管理システム「SmartFactory Pro」
・導入事例紹介(製造コスト30%削減を実現した A社様事例など)
・実機デモンストレーション(実際の操作を体験可能)

■ご来場いただいた皆様への特典
・システム導入無料コンサルティング(通常20万円相当)
・カスタマイズ支援サービス 50%割引
・オリジナル分析レポート進呈

製造現場の効率化でお悩みの山田様には、きっとお役に立てる情報をお伝えできると思います。

【開催概要】
日時:2025年10月15日(水)〜17日(金) 10:00-18:00
会場:東京ビッグサイト 東〇ホール
弊社ブース:E-25-12(東〇ホール入ってすぐの場所です)
事前登録:https://example.com/entry(事前登録で入場料無料)

ご多忙とは存じますが、ぜひお立ち寄りください。
お会いできることを楽しみにしております。

ご質問等ございましたら、お気軽にご連絡ください。

リマインドメールの効果的な活用法

初回の招待メール送付後、開催直前にリマインドメールを送ることで、来場率を大幅に向上させることができます。

リマインドメールでは、新しい情報の追加や特典の強調、具体的な来場方法の案内などを含めることで、単なる再送信以上の価値を提供できます。また、開催日程が近づくことで生まれる緊急性を活用した訴求も効果的です。

  • 内容の工夫:初回メールにはない新情報や追加特典を含める
  • 行動促進:「明日開催」「残り○日」など緊急性を強調
  • 個別対応:可能であれば担当営業からの一言メッセージを追加

■来場を促す効果的な招待状・メールの送り方

招待状の内容が充実していても、適切なタイミングで適切な方法で送付しなければ、期待する成果を得ることはできません。来場率を最大化するためには、戦略的な送付計画と継続的なフォローアップが不可欠です。

成功している展示会出展企業は、単発の招待状送付で終わらせず、複数回のタッチポイントを設けて継続的にアプローチしています。ここからは、来場率向上のための具体的な戦略をご紹介します。

最適な送付タイミングとスケジュール設計

招待状の送付タイミングは、ターゲットの属性や関係性の深さによって調整する必要があります。画一的なスケジュールではなく、相手に応じたきめ細かな計画を立てることが重要です。

一般的には開催の2〜3週間前が最適とされていますが、役職者など多忙な相手には1ヶ月前、新規開拓先には複数回に分けた段階的アプローチが効果的です。

ターゲット層初回送付リマインド1回目リマインド2回目特記事項
重要顧客・役員層開催1ヶ月前開催1週間前開催前日紙の招待状+メールの併用
既存顧客開催3週間前開催1週間前開催2日前担当営業からの個別メッセージ付き
見込み客開催3週間前開催10日前開催3日前セグメント別に内容をカスタマイズ
新規開拓先開催1ヶ月前開催2週間前開催1週間前認知度向上を重視した内容構成

送付後フォローアップの具体的手法

招待状送付後の適切なフォローアップが、実際の来場につながる最後の決定要因となります。単に招待状・メールを送りっぱなしにするのではなく、戦略的なフォローアップを実施しましょう。

フォローアップでは、招待状が確実に届いているかの確認から始まり、相手の関心度や来場意向を把握し、最終的な来場につなげるアプローチまでを体系的に行います。

フォローアップ段階実施内容タイミング期待効果
到達確認メール開封確認、電話での受領確認送付から2-3日後確実な情報伝達
関心度調査来場意向の確認、興味のある展示内容のヒアリング送付から1週間後個別対応の準備
追加価値提供個別デモの提案、専用資料の提供開催2週間前来場動機の強化
最終プッシュ当日の具体的な来場時間の調整、アポイントの設定開催直前確実な来場の獲得

上記はあくまで例ですが、相手との関係性に合わせ必要なタイミングでおこなうことが重要です。また押し付けがましい印象を与えないよう、価値提供を中心とした内容にすることもポイントです。

■まとめ

展示会の招待状やメールは、単なる開催告知にとどまりません。来場意欲を高めるためには、基本構成を理解したうえで、ターゲットに合わせたメッセージ設計やコンテンツのパーソナライズが求められます。さらに、送付のタイミングやフォローアップの戦略を組み合わせることで、初めて高い効果を発揮します。

言い換えれば、効果的な招待状づくりは「伝える」だけでなく「動かす」ための仕組みづくりです。こうした視点を持つことで、展示会全体の成果を大きく左右する重要な起点となります。

本記事でご紹介した例文やテンプレートを参考に、自社の展示内容や顧客特性に合わせて魅力的な招待状を作成し、展示会出展機会の最大化を目指してください。