オフィスをはじめ、商業施設、物流センターなど、さまざまなシーンにおいて、質の高い製品とサービスを提供する株式会社オカムラ(以下:オカムラ)は、スーパーマーケットを中心とする食品流通業界に最新情報を発信する商談展示会 スーパーマーケット・トレードショー 2023(以下:SMTS)に出展。
博展は、展示会出展においてコンセプトやキービジュアルからデザインし、キャッチコピー・駅前広告ムービー・ブースデザイン・施工に至るまでトータルサポートしました。
このSTORYでは株式会社オカムラ 一場さん 田所さんとともに、本案件に関わった博展 プロデューサー 圷さん、プランナー 長田さん、デザイナー 福地さんが展示会で打ち出したかった想いとその背景を語ります。
Index
- ブースの企画を変化させながら魅せ方を変えていきたい。
- 「イマ」から「サキ」をワンウェイで体験してもらいたかった。
- 長い目で見たとき、再利用しながらサステナビリティに貢献できる方法にしました。
- 来場者数も前年比190%だったので大変満足しています。
- 博展さんにはチームでひとつのものを作り上げる力がありましたね。
ブースの企画を変化させながら魅せ方を変えていきたい。
– 今年のSMTSでは、これまでとは違う新しい見せ方で出展したとお聞きしました。
一場:はい。昨年度までは、スーパーマーケットの売り場を模したブースでしたが、今年からソリューションを見せる展示に大きく変えたんです。例えば、省エネ、サステナビリティ等の目的別に展示する方法ですね。本来の展示会に近いアプローチに振り切ってみようと、社内で決めていました。
また、コンセプトを軸に多くの製品をひとつの空間にまとめるには展示会に精通した企業にお願いしたかったので、博展さんに依頼したんです。
実際にお話を聞いて、展示会への想いが人一倍強く、面白いことを一緒にやってくれそうだなと感じましたね。
– どのように分析・企画していったのでしょうか。
長田:今回はソリューションを軸に、競合には無いオカムラの強みを押し出していきたかったので、「ヒトハコミライ」という事業メッセージを念頭に分析・企画しました。
今回の出展目的やそこへの想いをヒアリングしてく中で、現在と未来とでは提案するソリューションが異なるとお聞きしたので、それを2ステップとして捉え、コンセプトにも盛り込もうと考えたんです。
そこからSMTSのキャッチコピーをいくつかご提案し、その中から「イマに、こたえる。サキを、かなえる。」に決まりました。
田所:以前はコンセプトも社内で作成していたんですが、社内だけだとどうしても視点が限られてしまうんですよね。なので、今回は博展さんにキャッチコピーを含めたコンセプト設計もすべてお願いすることにしたんですよ。
外からの新しい視点が取り入れられて良かったなと。
いくつかご提案いただいたんですが、自然とみんなが「キャッチコピーはこれがいいね」とまとまったので、そこからキービジュアルも作成いただきましたね。
長田:はい。キービジュアルは、招待状から駅前の動画広告、ブース内のバナーなどすべてのグラフィックに反映させました。
イマとサキを表すふたつのグラフィックをそれぞれ同じ角度で作成し、掛け合わせると空間が出来上がるように、未来がどんどん広がっていくイメージです。
圷:キャッチコピーやキービジュアルを展示会でここまで作り込むお客様って多くはないんですよ。ですが、このやり方が本来の空間づくりのプロセスとして理にかなっているなと思いますね。
一場:この業界は新製品が出ない限り、例年と大きく変わったブースにはしづらいんですよね。ですから、ブースの企画を変化させながら魅せ方を変えていきたいなと。
コンセプトが決まると、それを軸にレイアウトや展示方法が決められるので会期まではとてもスムーズに進みましたね。
「イマ」から「サキ」をワンウェイで体験してもらいたかった。
– コンセプトをどのようにブースへと反映させたのでしょうか。
長田:今回は100小間で幅が61mもあったので、「イマ」と「サキ」の2エリアに分けつつ、一方通行にすることでわかりやすい体験のストーリーを設計しました。
福地:ブースを一方通行にしたのは「イマ」から「サキ」をワンウェイで体験してもらいたかったからなんです。滞りなくスムーズにこの動線をつくるために、横長のLEDモニターも活用し、来場者の動きを促すムービーも作成しました。
また、今回のキービジュアルでもあるんですが、外観は真っ白、内観をバイカラーにしているんですよ。なので外からは中が見えづらいんですが、外壁の一部にファブリックを取り入れることで中が少し見えるようになっていて、よりブース内への期待を醸成させる設計にしています。
長い目で見たとき、再利用しながらサステナビリティに貢献できる方法にしました。
– 今回は環境負荷にも配慮したブース出展と伺いましたが、どのようなことに取り組んだのでしょうか?
一場:社内だけでなく、私たちのお客様である小売業の方々もサステナビリティへの意識が年々高まっているので、業界のリーディングカンパニーとして、社外にも取り組みを発信していきたい想いは以前からありました。
展示会での具体的な取り組み方に悩んでいたときに、博展さんのサステナビリティショールーム「T-CELL」にお邪魔して、イベントのサステナビリティについての取り組みをご紹介いただいたんです。とても注力されている点に魅力を感じていたので、今回の出展でもなるべく環境負荷を減せる方法はないかと博展さんに相談しました。
福地:そうですね。運搬も考慮し、ブースのファサードには環境負荷をより低減できるファブリックを採用して、使用する木材の量を減らしました。
圷:他にも照明もすべてLEDに切り替えて消費電力を削減したり、コーナーサインも木工造作からファブリックに切り替えてマテリアルリサイクルに繋げたりと、細かいことですができるところから切り替えていきましたね。
また、OSB合板で作られた什器は、オカムラさんのショールームで再利用しているんです。
※OSB合板:木材の小片を接着剤と混ぜて熱圧成型した木質ボード
さらに、私たちとしても初めての取り組みなのですが、展示会で使用したバナーをエコバッグにしたんです。
圷:博展側が準備した造作物だけでなく、オカムラさんで準備された展示物もほとんどが再利用でしたよね。運搬に使用した段ボールまで。
一場:そうですね。昔は冷蔵ケースに生鮮食品を冷やして展示していましたが、最近はほぼ全てを食品サンプルに切り替えました。冷却機能はデータでお見せすれば伝わりますから。短期的にはコストがかかりますが、長い目で見たとき、再利用しながらサステナビリティに貢献できる方法にしました。
圷:そうですね。それから今回、博展のサステナビリティ推進室とも連携し、出展におけるリユース率、リサイクル率などを算出しました。
一場:昨年まではこのような計測はおこなっていなかったので、こうして算出してくれるのも博展さんの強みですね。この結果を第一歩として、今後の基準にもなりそうです。
また、これらの活動を率先して発信することで、業界全体で環境負荷低減に貢献できるようなムーブメントにしたいですね。
来場者数も前年比190%だったので大変満足しています。
– ご出展の反響はいかがでしたか。
一場:来場者アンケートでは、「イマ」と「サキ」で分けているのもわかりやすかったという声もありました。
来場者数も前年比190%という結果で、大変満足しています。
また、大きなトラブルもなかったのが良かったですね。当日の施工はタイトなスケジュールで無理を言ってしまいましたが、そこも時間内にきちんと納めてくれて助かりました。
今回は直前で造作物を追加してしまったんですが、それも会期前に博展さんの共創スタジオで検証もできました。
都内にスタジオを持っているので、会期前に検証ができるのは非常にありがたいですね。
圷:オカムラさんと博展は「クリエイティブなことが好き」というところが共通点なのかなと感じています。感覚が似ていることもあって、デザイン面もスムーズに決まっていきましたから。
ただ、グラフィックの量が多かったので、田所さんはきっと大変だったろうなと思います。
田所:そうですね(笑)やっぱり100コマでの出展となるとかなりの量になるので、そこは大変でした。
博展さんにはチームでひとつのものを作り上げる力がありましたね。
– 最後に、博展のどのような点に価値を感じていただけているのでしょうか。
一場:最初は正直、「デザインもできる展示会の施工会社」というイメージがあったんです。でも、実際はキービジュアルやキャッチコピーなどのクリエイティブの部分も含め、各部門のプロフェッショナルが熱量を持って進行してくれたので大変心強かったですね。滞りなく一気通貫でやってくれたので感謝しています。
また、展示会事業でここまでサステナビリティへの取り組みのノウハウを持ち、それを発信している企業は素晴らしいですね。
田所:それから、近年になく展示ブースのデザインが素晴らしいですね。きちんと企業の価値を魅せられたデザインだったので、来場者の心にも刺さったんだと思います。
一場:はじめにコンセプトを決めてから会期まで、特に大きな変更もなく円滑に進行できたのも良かったですね。
自分のポジションを他のメンバーに引き継ぐときが来たとしても、問題なくやってくれそうだなと感じていますし、期待以上にチームでひとつのものを作り上げる力があると感じています。
私たちもまだまだ課題が多いので、情報交換しながら、今後も展示会だけでなく長いお付き合いができればと思っています。
圷:ありがとうございます。
今回のSMTSを通して、コンセプトを決めてからレイアウト、造作をデザインするという工程が、本来の展示会のデザインプロセスとして理にかなっていると、再認識しました。
オカムラさんとご一緒したからこそ勉強できた部分もたくさんあります。進化し続ける博展を今後もお見せできればと思っています。
福地:デザイナーとしても、いい空間だったな、と自信を持って言えるほど楽しいプロジェクトでした。今回を超えていけるデザインや体験設計ができるように頑張りたいです。
長田:このプロジェクトは、オカムラさんと“一緒につくる”という感覚で臨まさせていただけたので、博展側もやりがいを感じましたし、このようなプロジェクトがもっと増えたらいいですね。
今後もよろしくお願いします。
OVERVIEW
CLIENT | 株式会社オカムラ |
---|---|
PROJECT | スーパーマーケット・トレードショー 2023 |
VENUE | 幕張メッセ |
オフィスをはじめ、商業施設、物流センターなど、さまざまなシーンにおいて、質の高い製品とサービスを提供する株式会社オカムラは、スーパーマーケットを中心とする食品流通業界に最新情報を発信する商談展示会 スーパーマーケット・トレードショー 2023に出展。 |