歯科医療機器の販売から開業・経営コンサルティング、医療情報提供まで行う、歯科専門商社 株式会社モリタ(以下:モリタ)は、第9回 ワールドデンタルショー2023に出展しました。
ワールドデンタルショーは、4年に1度開催されており、国内外の歯科医学に携わる人々へ最新の医療機器や材料・薬品等が一堂に集まる国内最大級の展示会です。博展は本出展において、企画・デザイン・施工のトータルサポートを担当しております。

例年のワールドデンタルショーとは出展目的が異なり、ブランディングのための場として空間設計を行った本出展。「見えないを魅せる」をコンセプトに、多くのモリタのこだわりを魅せつつ、企業ミュージアムのような体験型空間にしました。

そんな本プロジェクトについて、今回は、販売のモリタ 川久保さん、製品開発・製造のモリタ製作所 亀田さん、モリタ東京製作所 名田さんとともに、博展 プロデューサーの佐藤さん、西原さん、デザイナー丸山さん、稲原さんが本プロジェクトの背景を語ります。

左から博展 稲原さん、西原さん、丸山さん、佐藤さん、モリタ 川久保さん、モリタ製作所 亀田さん、モリタ東京製作所 名田さん

Index

体験を軸にした企業ブランディングの場にしたかったんです。

川久保:これまでワールドデンタルショーには販売促進、リード獲得、新商品発表等を目的に出展していましたが、出展製品の選定やブースデザインの形も決まっていたので、新しい表現をしたいと感じていました。
なので、今回のワールドデンタルショーでは体験を軸にした企業ブランディングの場へと目的も大きく変えたことで、来場者にも「モリタはどんなことをやるんだろう」と楽しみに来てもらいたいなと。 

左から、モリタ 川久保さん、モリタ製作所 亀田さん、モリタ東京製作所 名田さん

毎年開催されている地方でのデンタルショーも依頼していて、かつ「体験」に強い博展さんに、今回のワールドデンタルショーもお願いしました。

モリタさんの見えないこだわりを“魅せる”

佐藤:モリタさんとは長いお付き合いになりますが、改めてモリタさんの企業・製品、こだわりについて深く理解するために、2つの製作所を見学させていただきました。

丸山:各製作所に加え九州でのデンタルショーの出展の様子も見せていただき、モリタさんが製品をつくる過程に、多くの”こだわり”があること、またこだわりの多くを伝えられていないことを知ったんです。製作所で働く方にとっては当たり前のことかもしれませんが、使い手を一番に考えられた工夫が沢山ありました。それらの細かなこだわりを社外だけでなく営業をはじめとした社内の方にも知っていただきたい、より多くの方に伝えたい、そんな想いで「見えないを魅せる」をコンセプトとしました。

第9回 ワールドデンタルショー2023 モリタ コンセプト

亀田:これまでは製品の機能説明が多かったので、こだわりをアピールする機会はありませんでした。ですから、私たちも熱量を持って製作所を案内させていただきました。

川久保:製作所だけでなく、営業にもこだわりを理解してもらいたい想いがありました。製品をお客様に届ける営業も作り手のこだわりを話せるようになってほしいと思ったので、インナーブランディングのためにもこのコンセプトにしました。

丸山:今回、インナーブランディングとして、出展までのドキュメンタリー動画も社内向けに映像制作しています。

第9回 ワールドデンタルショー2023 モリタ ドキュメンタリー映像

「これは来場者に知ってもらわないともったいない。」という点をまとめました。



稲原:モリタさんの素晴らしい技術やこだわりを全て並べ、特に「これは来場者に知ってもらわないともったいない。」という点をまとめました。そのどれもが、歯科医師や患者さんなど使い手の負担を軽減するために考えられているんです。

例えば、ここでは歯科医の腕が疲れないように形状記憶されたケーブルの軽さを風船で浮かせているような展示で表現しています。

亀田:モリタは歯科医師だけでなく、患者さまの負担を軽減するこだわりも多くあります。患者さまが座るシートの調節には、モリタのほとんどのチェアが油圧式を採用しています。モリタではその油圧式の制御方法にこだわっており、わずかな振動も減らし、患者さんの快適性を追求しています。

稲原:これは外からではわかりにくい油圧式の揺れを軽減する仕組みを、モニターを使って透過しているように表現しました。

また、このシートも色や固さなどを自由度高くカスタマイズできることを伝えるために製品をプラモデルのように並べ、手で触って感触を確かめていただける展示スペースも設けました。

川久保:写真映えを狙ったわけではなかったのですが、予想以上に来場者に写真を撮っていただけて驚きましたね。私達は最初から「目に見えないモリタのこだわりを伝える」というコンセプトに絞っていたので、それが結果的に、写真に収めたくなる展示になったのだと思っています。

左から、博展 デザイナー 丸山さん、稲原さん、モリタ 川久保さん

モリタさんのやりたいことのイメージを一緒にすり合わせていきました。

佐藤:当初から「これまでとは違う空間にしたい」とご相談いただいていたので、様々な展示会や企業ミュージアムなどを一緒に見学して、まずモリタさんのやりたいことのイメージを一緒にすり合わせていきました。

川久保:一緒に色々な展示を見る中で、デジタルだけではなく、フィジカルも組み合わせた体験がいいと意見がまとまりましたね。デジタルを使った体験型もいいとは思いますが、私の経験上、フィジカルの方がより記憶に残るなと。なので、ただ見せるだけの展示ではなく、体感できる展示にしてほしいと要望しました。

西原:そこで最終的に、「見えないを魅せる」をコンセプトとした実際に触って体験できる企業ミュージアムのような空間を目指したんです。

ただ、このコンセプトはこれまでとは異なるので経営層や製作所の方にも「これならやりたい」と思ってもらうため、具体的な製品の見せ方の資料を作成し、社内での仲間を増やしていきました。

左から、博展 西原さん、佐藤さん

稲原:そのコンセプトを軸に見せる製品、技術、こだわりを何度も相談しながら一緒につくっていきました。展示製品のテキストも博展側で考えてチェックしてもらう流れでしたね。

川久保:専門的な技術のテキストは、通常モリタから支給するんですが、今回は博展さんならではの視点を取り入れてもらいたかったので原稿も博展さんにすべて書いてもらいました。なので、製作所にもその視点を損なわないように「こうしてほしい」というような指示ではなく、事実として合っているかだけ確認してほしい、とお願いしましたね。

亀田:実はほとんど間違っているところがなく、出し戻しがなかったんですよ。グラフィックも担当した稲原さんがモリタの製品をすごく勉強していて、専門的なところまで熟知していたことに驚きましたね。

丸山:今回、製作所を見学させていただいた際に見つけた廃材や部品をそのまま展示している箇所もあるんです。
例えば、ブースの壁面には工場で製品を切り抜いた際に出てしまう端材をそのまま使用しています。この端材を使うことでブースの中が少し見えるようになり、「見えないを魅せる」というコンセプトにも合致してました。
また、この板金の端材は、リサイクルできるように接着剤を使用せずビスだけで取り付けており、撤去後はマテリアルリサイクルをしています。

名田:この端材も普段はただの廃棄物ですが、かっこいい壁面に生まれ変わって驚きました。社員だけでは気づかない視点だったので、博展さんに製作所を見学いただけてよかったです。

製品展示で表現していただいたモリタのこだわりは、これまで「当たり前」だと思っていたことでしたが、改めてそれを博展さんの視点で見つけていただいたので私たちにとっても多くの気づきがありました。

「モリタさんは存在感があるね」と多くの来場者の方に言ってもらえました。

川久保:会期中も「モリタさんは存在感があるね」と多くの来場者の方に言ってもらえました。製品だけでなく企業活動も含めて業界を牽引し変えていってくれる、と期待をされているんだなと改めて感じましたね。

亀田:既存顧客にとってもロイヤリティが上がったブースでしたし、製作所の社員も全員が声を揃えて「モリタのブースが一番よかった」と言っていたので、インナーブランディングとしても成功したと思います。
製作所からすると、ここまでやっていただけたのはとても名誉なことで、本当にありがたいなと思っています。また、今回のような展示手法を経験し、説明せずに伝えることの大切さも学びましたね。

名田:当日までは図面やパースでしか見ていなかったので、この通りできあがるのかと思っていたんですが、本当にパース通りに出来上がっていて驚きましたね。完成度がとても高かったです。

川久保:他にも、「どこに依頼しているの?」とか「紹介してほしい」という声もありましたよ。他の出展者さんもたくさんいらっしゃっていましたし、反響がある展示になったと思います。

博展さんとは長いお付き合いですが、高いレベルのお願いでもいつもなんとか実現しようと動いてくれるので助かります。それから、我々と1つのチームとしてプロジェクトを進めてくれるので、一緒にやっていて楽しいですね

亀田:博展さんは企業を理解する力が本当に高いと思いました。技術に関しても、一つひとつの細かい工程まですべて理解してくれているんだなと。
今後も1つのチームとして一緒にプロジェクトを進めていけるようよろしくお願いします。

OVERVIEW

CLIENT株式会社モリタ
PROJECT第9回 ワールドデンタルショー2023

歯科専門商社 株式会社モリタは、第9回 ワールドデンタルショー2023に出展。
本出展では、「見えないを魅せる」をコンセプトに、多くのモリタのこだわりを魅せつつ、企業ミュージアムのような体験型空間にしました。
博展は本出展において、企画・デザイン・施工のトータルサポートを担当しております。