ガラス、電子、化学品を主力とする世界最大級の素材メーカーAGC株式会社(以下:AGC)は、2023年4月3日~12月20日(予定)の期間、AGC横浜テクニカルセンター内の協創空間「AO(アオ/AGC OPEN SQUARE)」にて、フッ素化学品の特別企画展を実施。
博展は、本展示においてコンセプト設計、プランニング、デザイン、施工に至るまでトータルサポートしました。
このSTORYではAGC 北野さん、机元さん、中川さんとともに、本案件に関わった博展 プロデューサー 田口さん、プランナー 茂澤さん、阿部さんが展示で打ち出したかった想いとその背景を語ります。
Index
- 50周年の歴史を振り返るとともに、フッ素の有用性を伝えていきたいという想いを込めて開催しました。
- 自然と足を踏みいれ、コミュニケーションが生まれる場にしたかったんです。
- イノベーションを起こす中心となる場所、そして人々が集まる場所に。
- 「おもしろそう」と思うきっかけを作ってくれるのが博展さんだと思います。
50周年の歴史を振り返るとともに、フッ素の有用性を伝えていきたいという想いを込めて開催しました。
– 化学品カンパニープライベート展とは、どのような展覧会なのでしょうか。
北野:AGCといえばガラスのイメージが強いと思うのですが、それに限らず今では化学品事業が拡大しているんです。そのなかでもFluon®と呼ばれるフッ素樹脂製品が2022年、50周年を迎える記念の節目でした。そこで、歴史を振り返るとともに、フッ素の有用性を伝えていきたいという想いを込めて、日頃お付き合いのあるお客様、パートナー、などAOにご来場いただく方々に向けてプライベート展を開催することにしたんです。
中川:私たちは今回、フッ素が持つ素材としての可能性を表現したかったんです。しかし、カタチがないものを表現するのはなかなか難しく、その点を一番理解し表現してくれる博展さんにご相談しようと決めました。博展さんには弊社の表現したい思いを何度も粘り強く確認頂き、その思いに寄り添っていただけたと感じています。
自然と足を踏みいれ、コミュニケーションが生まれる場にしたかったんです。
茂澤:普段担当することの多い展示会だと来場者の特性がわかったうえで企画できますが、今回は自社ショールーム内に展示するプライベート展だったので、当初はターゲットがあまりイメージできていませんでした。ですから、社員の方々の雰囲気や動線を実際に見て観察することにしたんです。そうして観察したのち、社員の方の交流の場としても相応しい2Fのスペースを展示場所に決めました。
田口:AGC横浜テクニカルセンターはガラス関係の方々がメインで働いている場所なので、同じ会社でも化学品カンパニーがどのような取り組みをしているかをご存知でない方々がほとんどなんです。ですから、AGC横浜テクニカルセンターで働く社員さんや、AOにいらっしゃるお客様にも知ってもらいたいという想いは強かったですね。
「AGCってこんなこともやってるんだ」と、自然と足を踏みいれたくなり、社員の方々同士やお客様との間で新たなコミュニケーションが生まれる場にしたいと思っていました。
阿部:フッ素という言葉はよく聞きますけれど、実際に普段の生活のなかでどんなところに使われているかという知識が無かったので、まずは製品について勉強しました。そこから、フッ素の性質をわかりやすく伝えるにはどう表現するべきか、考えていきましたね。
イノベーションを起こす中心となる場所、そして人々が集まる場所に。
阿部:今回のプロジェクトは、自社ショールームにお客様をお招きし、AGCの技術や取り組みを伝え、そのうえで「一緒に考えていこう」という主旨で開催している展覧会です。そこで、イノベーションを起こす中心となる場所、そして人々が集まる場所にしたいという想いから「イノベーションサークル」というコンセプトを提案させていただきました。
阿部:ひとが集まるサークル、円形造作のサークル、また、循環のサークルをかけ合わせています。
北野:AGCには化学品の事業があるのは知ってるけれど、その中身を知らない社員が多くいます。ですから、社員が必ず一日に一度は通る場所でフッ素の展示ができるというのは、社内のイノベーションを加速させられると思いましたね。
また、Fluon®は2022年で50周年になりますが、さらにこの先の50年を考えたときに、サーキュラーエコノミーはすごく大事になってきます。この2つの意味が込められた「イノベーションサークル」というコンセプトはこの場所にぴったりでしたね。
茂澤:デザインに関しては、AGC社内でもガラス事業のほうが認知も高く、まだFluon®の認知が浸透していない状況だったので、AGC社員のみなさんにも伝わるようなデザインを心がけました。
茂澤:ガラスと比べて「軽そう」「柔らかそう」というフッ素の特性のイメージを、なるべく文字ではなく感覚的に伝えられるデザインを意識しました。具体的には中央のフッ素を使ったモニュメントで表現されているような、吊り構造による軽さや曲線のフォルムによる柔らかな印象による表現です。フッ素フイルムの持つ性質である、強さやその他の特徴を素材専門の部署の方にヒアリングし、実現可能な表現方法をフッ素の特徴をまとめた展示コーナーへ、探りながらカタチにしていきましたね。
田口:また、フッ素という、専門外の方にとってはイメージがぼんやりしているものをよりわかりやすく伝えるために動線も考慮した設計にしていますね。
机元:コンセプトを表現した近未来を感じさせるデザインが気に入ってますね。私たちは製品の知識はあっても、それらの魅せ方に関しては弱い部分があるので、「こういうデザインでこういう展示をすれば来場者にもわかりやすく伝えられますよ」という提案をいただけるのはありがたかったです。
「おもしろそう」と思うきっかけを作ってくれるのが博展さんだと思います。
北野:最初にご提案いただいたときはワクワクしましたね。結局その気持ちが一番大事なんだと思っています。ただの作業になってしまうプロジェクトはやっていて面白くないですし、今回のように想いの乗ったコンセプトは、自分もやっていて感情が動かされました。
どんなに物性が優れていて素晴らしいモノでも、感情が乗らないと人は動かないので。「おもしろそう」と思うきっかけを作ってくれるのが博展さんだと思います。
それから、過去にAOのVR動画をお願いしたときも感じたことですが、私たちの実現したいことに対して本当に真摯に向き合ってくれるんですよね。その姿に影響されてこちらも一生懸命になれるので、良い相乗効果になり、最終的にいい作品、いい場がつくれるのかなと。そこは博展さんの社員の魅力ですね。
中川:私たちの意向を汲み取って寄り添ってくれるところは博展さんの魅力ですね。また、今回かなり短納期だったにも関わらず、スケジュール通りに納品してくれて大変助かりました。
机元:こちらからの一方的な指示ではなく、お互いが意見を出し合い、ひとつのチームになって一緒につくりあげられたのはとてもいいことでしたね。
北野:私たちAGCはいい素材を作れる会社ですが、それをしっかり表現して伝える力はまだまだ足りない部分があります。そこを理解し、高いクリエイティビティで実現してくれるのが博展さんだなと。Fluon®などのブランド、そしてAGCの企業の魅力をどう表現して価値を伝えていけばいいか、今後も博展さんと一緒に考えていきたいですね。
茂澤:AGCさんは楽しみながら新しいことに挑戦し続ける方が集まっていますし、プロジェクトを一緒に進行しながら双方的に意見を出し合える関係性が良かったですね。今後もお互いにいい刺激を与え合える存在でいたいですね。
阿部:今後も「おもしろそう」と思えるきっかけづくりができるプランニングをしていきたいです!
田口:AGCさんは本当に素敵な方ばかりで、この人たちのために頑張ろう、期待に応えたいと心から思わせてくれる存在です。私たち自身は素材や製品をつくることはできませんが、その魅せ方のお手伝いはできるので今後もお力になれたら嬉しいです。
AGCさんのブランドステートメントである「Your Dreams, Our Challenge」を私たちも体現していきたいです!
OVERVIEW
CLIENT | AGC株式会社 |
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VENUE | AGC横浜テクニカルセンター |
ガラス、電子、化学品を主力とする世界最大級の素材メーカー AGC株式会社は、2023年4月3日~12月20日(予定)の期間、AGC横浜テクニカルセンター内の協創空間「AO(アオ/AGC OPEN SQUARE)」にて、フッ素化学品の特別企画展を実施しました。 |
CREDIT
プロデューサー | 田口幸平 |
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プランナー | 茂澤琢人、阿部一美 |
プロダクトマネジメント | 武井俊樹、川島滉市 |
グラフィックデザイナー | 倉科充 |
制作 | 宮嶋聡、竹下昇希、山道翔太 |