INTRODUCTION

近年、公園の維持管理を民間に委託し、再開発をすることで公園を活性化 / 収益化するPark-PFI(Park-Private Finance Initiative)制度が注目されています。

名古屋市の久屋大通公園は日本最大級のPark-PFIプロジェクトによって大幅なリニューアルを実施。Hisaya-odori Parkと名称を改め、市民の憩いの場として多くの人々から愛されています。

博展はHisaya-odori Park Design Centerと協業し、リニューアル後のHisaya-odori Parkで水盤を光で彩るインスタレーション『アカリバ久屋』を実施。

新型コロナウイルスの流行によって、多くの楽しみや喜びの場が失われた2020年。

そんな1年の終わりに、来年に向けて少しでもポジティブな気持ちを持ってほしいという想いを込めて、名古屋に灯りをともしました。

「ネガティブな空気が蔓延する今だからこそ、来年に向けた希望やポジティブな想いを灯りに宿し、名古屋を明るく照らす場所をつくりたかった。」

今回は担当した博展 中部営業所 所長の河田とプランナーの矢島が、アカリバという場所に込められた想いを語ります。

OUTLINE

市民を明るい光で灯す、名古屋市のシンボルHisaya-odori Park

河田:

Hisaya-odori Parkは公園や市民同士の心理的なつながりを結び直すきっかけ作りを目指し、2020年9月にリニューアルオープン。

今回はHisaya-odori Parkで行われる最初の公園主催での自主イベントとして、水盤を光で彩るインスタレーション『アカリバ久屋』を実施しました。

コロナウイルスの大流行によって苦しんだ1年だったからこそ、仲間や大切な人への感謝の気持ちを振り返り、来年に向けてポジティブな想いが生まれる場所を創りたいと考えていました。

灯篭流しからインスピレーションを得て、長さ80mにわたるミズベヒロバの一部を空間プロデュースしています。

両サイドからミストが出ている公園の設備を活かして、レーザーや照明によって光の演出を行いましたね。

また、カキツバタの花をモチーフにした光るモジュールを水盤に数十個設置し、幻想的な空間を演出しました。

河田:

久屋大通公園の再生を通じて、生活基盤の再編や原風景を刷新を行い、名古屋のグリーンインフラを整備し、公園や市民同士の心理的なつながりを結び直すきっかけ作りを目指していた本プロジェクト。

2018年に中部営業所を開設したときから「名古屋に根付いた仕事がしたい!」と強く願っており、今回Hisaya-odori Parkリニューアルのお話を聞いた際、ぜひ参加したいと決意を固めました。

名古屋市に掛け合ったところ、公園のブランド管理を担当するクリエイティブディレクターの方と繋いでいただき、協業をスタート。

Park-PFI事業は日本全体で力を入れているプロジェクトなので、今回中部営業所として担当できたことは非常に誇らしく感じています。

<左:プランナー 矢島 / 右:中部営業所 所長 河田 >

PLANNING

ポジティブな気持ちを醸成する、名古屋市民の想いが集う“光のプラットホーム”

矢島:

アカリバには「コロナ禍を受けて沈んだ世の中に対して、少しでもポジティブな想いが生まれるような場所にしたい」という強い思いが込められています。

名古屋の新しいスポットとして生まれ変わったHisaya-odori Parkを訪れた人々が笑顔になる場所をつくり、名古屋を盛り上げることができないかと工夫を凝らしています。

<左:矢島 / 右:河田 >

「Hisaya-odori Parkはこの土地の歴史を継承し、地域に根付いた公園だからこそ、名古屋に住む人々の心のよりどころにしたい」ということが、Hisaya-odori Park Design Centerの皆様と我々共通の願いでした。

今回の「アカリバ」という名前には3つの意味を持たせています。

「あかり」+リバー(川)「あかり」+バ(場所)「あかり」+リバイブ(復興)

各地に残る灯籠流しの様に、人々の想いが集まる光のプラットフォームとして、名古屋文化に根付いてくれたら嬉しいです。

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<カキツバタの什器が浮かんでいる様子>

今回作成したこの花のモジュールは、愛知県の県花である“カキツバタ”をモチーフにしています。

カキツバタの花言葉は「幸せは必ずくる」。

今回のコンセプトにぴったりでしたね。

KEY FACTOR

魅力的だけれど人が集まりすぎない場づくり

河田:

コロナ禍での企画ということもあり、社会情勢に合わせた実施時期や予算の変動が非常に多く、いつ実施できるかも決まらない状況下で企画を考えていくことはなかなか難しかったです。

このご時世がらスポンサー獲得が困難を極めたり、コロナウイルスの感染状況を考慮し、実施の有無を長期間協議し続けたり、“魅力的だけれど人が集まりすぎないような場づくり”という普段とは違う課題に頭を悩ませました。

また、公園のリニューアルと同時進行で企画を考える必要があったので、実際の場所を見ながらプランニングできなかったのも難しかったですね。

「果たして4㎝しかない水板にカキツバタは浮くのか?」「レーザーの光が反射して近隣店舗に迷惑をかけてしまわないか。」など、不安は尽きなくて。

東京の辰巳にある弊社スタジオにプールを作って検証を行ったり、仮組みを作ったり、制作メンバーには多大なる協力をいただき感謝しています。

<検証の様子>
<実際の様子>

河田:

今まではクライアントワークが中心だったのですが、今回は市民の方々にむけたパブリックなイベントだったので、自分が担当したイベントにはじめて家族を連れて行くことができたんです。

子供が喜び、笑顔になっている姿を見て「本当にやってよかった」と強く感じました。

会期中は現場に何度も足を運んだのですが、いたるところで多くの人々が写真を撮っている様子が印象的で。

「なにこれ、すごい!」という素直な感想を耳にしたことも非常にうれしかったですね。

矢島:

僕も今回初めて家族と一緒に自分の担当現場に足を運んで。

「ちゃんと仕事してたんだね」と長女にコメントをもらいました(笑)

プランナーは目に見える形として成果物を出しにくいので、娘に体験してもらえたのはいい経験になりましたね。

アカリバという空間に込めた想いや、名前の由来を説明したパネルを設置していたのですが、これがかなり多くの人に読んでもらえました。想いに共感してもらえたと感じるSNSの投稿も多く見られ、外見の美しさだけではなく中身のメッセージも伝えることができて非常にうれしかったですね。

NEXT TRY

名古屋市民のシビックプライドを育成し、中部地方を盛り上げたい

河田:

「中部をもっと面白いエリアにしていくこと」が私たちの目標です。

我々としても、今回は公園というパブリックな場所と関わり、名古屋を盛り上げる一助になれたことをとてもうれしく思います。

中部営業所にとって非常に意義のあることでした。

矢島:

中部は東京に比べて社会性 / メッセージ性のある、パブリックなイベントがまだ少ないように感じます。

最後まで公共性やアカリバに込めた想いを軸に実現できたことは、私たちにとって強い自信につながると感じています。単に煌びやかなイルミネーションを行うのではなく、社会性を重視し、その背景を汲み取ったアウトプットを中部の地でできたことは非常に感慨深いです。

そして、今回の案件で地域の人々や企業とたくさん繋がることができました。

今回生み出すことができたつながりを今後も大切にし、もっと名古屋を盛り上げていきたいですね。

河田:

可能であれば、アカリバは今後も継続して開催したいイベントです。

次回はもう一段踏み込み、体験性やメッセージ性を強化したいですね。もうすでにやってみたいコンテンツはたくさん頭の中に浮かんでいるんです。

この企画は進行しつつ、ここで得たつながり / ネットワークを大切にし、これからもっと面白い仕事を仕掛けていきたいですね。

ここからさらに、中部という地域を盛り上げていけるように頑張ります!

<左:矢島 / 右:河田>

矢島:

今回名古屋という地域に向けた仕事ができたこと、地域の人々とつながりを持てたことは本当に良い経験になりました。名古屋市民のシビックプライドをどうやって育てていけるかを今後も博展として追求していきたいです。

それができたら、博展としてまた新しいステージへとステップアップできるのではないか、そんな期待を持てたのも今回の案件のおかげです。

中部エリアに根付いている営業所としては、やはり今後もビジネスの場面のみならず、よりパブリックな場面でのコミュニケーションデザインを積極的に行い、中部地方をもっと盛り上げていこうと思います。

CREDIT

プロデューサー 河田 友輔
プランナー 矢島 大