INTRODUCTION

技術進歩によってビジネスのあり方を抜本的に変えてしまう”DX”(デジタルトランスフォーメーション)。

「企業がデータやデジタル技術を活用し、組織やビジネスモデル変革をし続け、価値提供の方法を抜本的に変えること」と定義される”DX”ですが、言葉のみが先行し、具体的にどう行動したらよいかわからないという意見もよく耳にします。

その課題を解決すべく、NTT西日本様はお客様のDXを加速させる共創ラボ“LINKSPARK”を大阪 / 名古屋に引き続き福岡に開設。

博展は初期構想段階からサポートをしてきた大阪・名古屋に続き、福岡も企画からデザインまで包括的にサポートしました。

今回は担当したプランナー中島 / デザイナー中尾の2人が、“LINKSPARK”開設の目的と、そこに込められた想いを紐解きます。

OUTLINE

DXの力で地域産業を盛り上げる象徴的な施設を目指す

中島:
NTT西日本が推奨するDX推進の拠点を作りたいとご相談をいただいたのがきっかけです。

“LINKSPARK”はNTT西日本の技術やソリューションを活用して、地域課題の解決や産業発展に取り組み、新たなビジネスの実現を通して社会貢献していく象徴的な施設と位置付けられています。

博展は、LINKSPARK開設を初期段階からサポート。各拠点でのLINKSPARKの在り方をクライアントと一緒に考え、シンボル化していきました。

今回は大阪、名古屋に続き、3つ目の拠点として”LINKSPARK FUKUOKA”をオープン。九州地方の中枢都市である福岡を拠点に、DXの力によって地域の産業を盛り上げる一手になれるようにプランニングを考えましたね。

PLANNING

地域の特性を活かし、「共創のための空間」を追求

ー「DXの共創空間」と聞くと、デジタルを駆使した近未来的な空間を想像してしまいますが、実際はどのような空間を目指したのでしょうか?

中島:
確かにDXという言葉を聞くと、デジタル技術を活用したサイバー空間や、近未来的な空間のイメージを持つ人もいるかもしれません。

しかし、DXとはそもそも単なるデジタル / ICTの活用ではなく、先進的な技術活用を通して新しい何かを生み出す取り組みそのものを指す言葉です。

ですから、LINKSPARKという場所の在り方を考える際は、技術活用について情報を得たり学んだりすること以上に、NTT西日本と一緒に新しい取り組みを行う共創空間を作ることに重点を置きました。

もちろんNTT西日本独自のソリューションや技術 / サービスを伝えるエリアもありますが、一方的に情報を伝えるのではなく、体験を通じて来場されたお客様に興味を持ってもらえるような仕組み作りをするなど様々な工夫を用意しています。

また、拠点ごとに異なる課題や地域特性に合わせて、LINKSPARKがある意味や位置づけ、目的を明確化して空間に落とし込んでいきました。

ーでは、各拠点の特徴を教えてください。

中島:

  • Meeting field:お客さんと一緒にディスカッションする場所
  • Play field:NTTが持っている技術や顧客体験ができる場所
  • Connecting field :リフレッシュしたり新しい人との交流が生まれる場所
  • Seminar field:勉強会やセミナーを行う場所

この4つの機能を持ち合わせた空間であるということは全拠点で共通させ、その中で拠点ごとに地域の課題を明確化。ターゲットや目的に合わせてチューニングし、プランニングしました。

LINKSPARK OSAKA

フラッグシップということもあり、NTT西日本と一緒に新しいアイデアを開発したり視野を広げたりしていく場所としてLINKSPARKを対外的にPRすることを重視。

ブランコや卓球台の机を置くなど、オフィスとは異なる空間で”NTT西日本と一緒に新たなアイデアを開発する場所”というブランディングを行っています。

LINKSPARK NAGOYA

LINKSPARK NAGOYAは、「NTT西日本と一緒に取り組むことで新たな視点やひらめきを得られる」というイメージの空間になっています。
名古屋には製造業に携わるお客様が多数いらっしゃいます。日本の製造業は、これまでのレガシーを活かしながらも、大きな視点変革や取り組み改革を求められているという業界課題があり、NTT西日本は地域の皆様と一緒に独自のソリューションを用いてその変革のサポートしています。

中尾:
そして、今回新たに開設したLINKSPARK FUKUOKA。

福岡という土地はアジアの玄関口であり、九州地方全体の拠点でもあります。 そして、九州各地とのつながりをとても大切にしています。   

LINKSPARK FUKUOKAは福岡を起点に九州地方全体のつながりを強化 / 活性化させることを意識して空間設計。

NTT西日本と一緒にLINKSPARK FUKUOKAから九州全土を盛り上げることを目指しています。

心地よい対話を促進する空間づくり

ー“地域とのつながり”をどのように空間に落とし込んでいったのでしょうか?

中尾:
「地域のつながりを強化 / 活性化するためのコミュニケーションとは何か」と考えたとき、クライアントとNTT西日本様が対等な関係でビジネスに取り組むことだと思いました。

そのためには“本音で語り合うこと”が必要不可欠です。

LINKSPARK FUKUOKAは対話を重ね続けられる居心地の良い空間であるべきだと考えました。

例えば、対話のきっかけとして、九州地方各地の県産材を活用した机をデザインしました。

地元の木材という心地よさや親近感が、変に緊張しない距離感を演出。

LINKSPARK FUKUOKAに来るお客様のほとんどが、九州地方にゆかりのある人であることをコミュニケーションに活用しています。

中尾:
シンプルな空間と殺風景の空間は紙一重なので、このバランスにはとても気を遣いました。

対話に集中できる居心地の良い空間とは、窮屈ではないけれど、寛ぎ過ぎるというわけでもない。程よい緊張感がある空間ではないかと。

NTT西日本の方の“地域産業の力になりたい”という強い想いを表現するために、細部まで素材にもこだわっていますよ。

ー“LINKSPARK”の反響はいかがですか?

中島:
運用がうまく進んでおり、好評のご意見を多くいただいています。

「実際に物を見て体験することと資料のみで行われる会議では、お客様への伝わり方が違い、前者の方が効果的だ」というご意見や、「会議室とは違う場所でミーティングを行うとより会話が弾む」というご意見もいただき、順調に感じています。

各拠点ともNTT西日本の社員様からの評判も良く、これからもっと改善をしていきたいと感じています。

KEY FACTOR

クライアントとの対話を通じて目指すべき姿を明確化する

中島:
NTT西日本様のやりたい事と各拠点に求められる役割をうまくチューニング出来たこと、そしてそれをアウトプットできる提案力 / 行動力。

クライアントの意見だけを反映するのではなく、それこそ対話を通して目指すべき姿を明確にし、良いアウトプットを一緒に目指すことができたことが今回の成功のカギだと感じています。

博展がLINKSPARKの名前やロゴがまだ決まっていない初期段階からお手伝いさせていただいているからこそ、LINKSPARKを深く理解できていたことも良い効果として表れています。

NEXT TRY

LINKSPARKを通じて新たな定義の場所を作りたい

中尾:
このプロジェクトへの理解を深めていくほど、LINKSPARKを通じて新たな定義の場所を作りたいと思うようになりました。

オフィスでもショールームでも、ホテルラウンジでも公園でもない。
訪れた人がコミュニケーションをとり、考えを深めることができる空間。
心地よい緊張感の中で対話に集中できる、新しいジャンルの空間をこれからも創造していきたいです。

中島:
NTT西日本は独自の技術を活用しながら、DXに向けた取り組みを数多く行っています。

博展としてもそのような取り組みを後押しするためにどのような価値提供ができるか、これからも追及していきます。

OVERVIEW

CLIENT西日本電信電話株式会社
PROJECTNTT西日本 共創ラボ「LINKSPARK」

CREDIT

営業 野田奈央樹
プランナー 中島健希
デザイナー 中尾友哉・山口真優
プロダクトディレクター 野口和哉