世界最大規模のスピリッツカンパニー・バカルディ社の日本法人として、洋酒の輸入や卸売を手掛けているバカルディ ジャパン株式会社(以下:バカルディ)は、2024年3月に六本木ヒルズカフェにて『Dewar’s 12年 DISCOVER YOUR HIGHBALL』を期間限定オープン。スコッチウイスキー「デュワーズ 12年」のリニューアルを記念し、ブランドの歴史と世界観や、特別なハイボールを体験できるイベントを開催しました。博展は当イベントのプランニング、デザイン、施工、運営をサポートしています。
この記事では、バカルディ ジャパン マーケティング部の金城さん・李さんと、博展プロデューサー 熊谷さん・空間デザイナー 横川さん・プロダクトマネジメント 中村さんにインタビュー。今回のリニューアルイベントや、ブランドに対する想いを語っていただきました。
Index
- ブランドの中核を担う商品のリニューアルに合わせて、面白いことをできないかと思っていたんです。
- 我々の狙いであった、お客様の「発見」につながっている様子が見られました。
- お客様にも「デュワーズ 12年ってこういうブランドなんだ」というイメージを持ち帰っていただけたと思います。
- デザイナーのこだわりと、プロダクトマネジメントの連携があったからこそ、実現できた空間です。
- 社員の皆さんのブランド愛が、イベント施策ひとつひとつに浸透しているのを感じます。
ブランドの中核を担う商品のリニューアルに合わせて、面白いことをできないかと思っていたんです。
金城:私はバカルディ ジャパンの扱うウィスキーブランド全体、李はブランドマネージャーとしてデュワーズブランドのマーケティングを担当しています。3~5年、または10年スパンでのウィスキー全体の戦略から、直近の施策への落とし込みまで幅広く管理しています。
マーケティングを通して、若い人たちを中心にお酒の良さを知って、楽しんでいただけるような活動を目指しています。
金城:これまでデュワーズブランドの中では「ホワイト・ラベル」が定番商品で、売上の9割以上を占めていました。ただ、最近では一般のお客様の中にも、単純にお酒を飲むことを楽しむだけではなく「おいしいウィスキー」を飲みたいと思う方が増えてきています。我々としても、プレミアムラインであるデュワーズ 12年に力を入れていかなくてはいけない。2024年1月に商品をリニューアルすることも決まったので、それを記念するイベントを何かやりたいねと。
李:プロダクトのリニューアルというのは重大な出来事で、それもブランドの中核として掲げていく商品。何か面白いことをできないかな、と思っていたんです。
イベントのいいところは、参加者が実際に飲んで、体験していただけることです。試飲やそれに伴うリッチなコンテンツを提供しながら、その様子をオンラインでも配信することで、メディアやデジタルでの拡散を狙っていました。
我々の狙いであった、お客様の「発見」につながっている様子が見られました。
李:イベントでは、新しいデュワーズ 12年のおいしさを発見していただくために、5種類のフレーバー・ハイボールを提供しました。今回はみんなでオリジナルのカクテルを開発したので、試飲しながら全員の意見を取り入れていけたのが楽しかったです。
熊谷:メニュー開発から博展が一緒に参加させていただく機会はこれまでなかったので。このイベントは博展としても初めてのことばかりでした!
横川:みんな最後は「おいしい!」しか言ってませんでしたね(笑)
金城:デュワーズのコンセプトは「Discovery」です。好奇心のままに色々なことにチャレンジしていくと、新しい発見がある。そんなブランドコンセプトをそのまま落とし込んだイベントになりました。
李:会期中には年齢性別問わず、たくさんのお客様がハイボールをおいしそうに召し上がってくれました。特に3月の花見シーズンで、週末は晴れていたこともあって、家族連れの方も多くいらっしゃいました。「こんな飲み方があったんだ!家でやってみよう」という言葉も聞こえてきて、まさに我々の狙いであった「発見」につながっている様子が見られました。お客さまにも作り方がわかるように、カウンターで見せながら作っていたんです。
金城:家でも簡単に作れるハイボールの楽しみを持って帰ってほしい、という狙いがあったんですよね。イベントに来られる方はデュワーズを知っている人か、もともとウィスキーが好きという方が多いですが、一緒に来られる方の中にはまだ飲んだことがないという方もいらっしゃいます。そんなお客様にも、デュワーズブランドの歴史から、製法・ブレンディングのこだわりを学んでいただき、最後には自分に合うハイボールを見つけていただく。一貫して、我々の伝えたいコンセプトを落とし込めたかと思います。
熊谷:デュワーズ 12年のプレミアム感を伝えることはもちろん、ハイボールの作り方を記載したリーフレットを配布するなど、親しみやすさも伝えられるような体験設計にしました。上質なイメージだけを先行させず、お客様に寄り添った体験を提供できたからこそ、ポジティブな反応をたくさんいただけたのかな、と思います。
お客様にも「デュワーズ 12年ってこういうブランドなんだ」というイメージを持ち帰っていただけたと思います。
-今回のイベントはどのように企画されていったのでしょうか?
李:バカルディ社内の取り組みとして、パートナー会社にお願いしたい要件を一言でまとめた「ONE QUESTION」をお渡しする習慣があります。今回のイベントでは、「デュワーズ 12年のリニューアルイベントを通して、ブランドの世界観を体験してもらうには」というお題を出しました。
金城:ブリーフィングをあまり細かくしすぎても、クリエイターさんたちのスキルを活用できない。逆に、要件が抽象的すぎて、我々の目指す方向性と違うものを提案されても困ってしまいます。博展さんには、既にある程度ブランドイメージを掴んでもらっていたので、1ワードでも伝わると信じてお伝えしました。
横川:バカルディさんからいただくONE QUESTIONはシンプルですが、おっしゃりたいことはハッキリしていたと思っていて。
プレミアム商品として発信していきたいという目的に対して、「洗練されたカッパー(銅色)」というブランドイメージの転換があったので、そこから想起して空間をデザインしていきました。
熊谷:我々としても、お客様からいただく要件が多ければ多いほど、提案できることが制限されてしまう。それを1ワードでまとめていただいたONE QUESTIONが、うちのクリエイターたちにとっては大好物なんです。(笑) 端的なコンセプトから、色々な方向に発想を広げられる。そのアイディアをテーブルに載せて、ディスカッションしながら進めさせていただけるので、博展チームとしてはすごくやりがいがあって。いつも楽しみながら取り組まさせていただいています。
金城:イベント空間にはブランドカラーを全面に出してもらったので、お客様にも「デュワーズ 12年ってこういうブランドなんだ」というイメージを持ち帰っていただけたと思います。
デザイナーのこだわりと、プロダクトマネジメントの連携があったからこそ、実現できた空間です。
金城:博展さんに関しては、事前にいただくイメージパースと実物が全然違うということもありませんでした。クライアントのやりたいことを咀嚼したうえで、事前にビジュアルを使って説明するのもお上手だなと思いますし、細部まで拘っていただいている証拠かなと、かなり信頼しています。
熊谷:イベントって、空間が出来上がってみて初めてイメージが伝わるので、事前にいかにイメージをしてもらえるかが大事だと思っていて。イメージパースだけでは足りない部分については、リファレンスとなる画像や素材をお見せします。横川さんはその工程をとことん突き詰めてくれるデザイナーです。
そうしてデザイナーの横川さんがこだわって考えたところを、PM(プロダクトマネジメント)の中村さんが実現してくれます。この二人の連携があったからこそ、実現できた空間です。
中村:バカルディさんのブランドをいくつも担当させていただいているので、「このブランドにはこの素材を使う」というマテリアルやテクスチャ―を集めた素材集を作っています。
たくさんお仕事をいただいているので、私一人だけで全てのイベントを担当できるわけではありません。他のPMメンバーにも引き継いでいく中で、博展としてのクオリティは担保しなくてはいけない。それがPMの担っている仕事です。属人化を減らすためにも素材集は必要ですね。
横川:中村さんの机のまわりはバカルディさん用のマテリアルだらけになってますよね(笑)
金城:ちなみに、今回のイベントで一番実現が難しかった場所はどこでしたか?
中村:カーテンですね。横川さんのこだわりが強くて、結構な枚数のサンプルを手配しました(笑)
横川:どうしても、ウィスキーの質感を感じさせるような、なめらかな液体のような素材を使いたかったんです!それで中村さんと一緒に素材探しをして、ようやく見つけたのがこれでした。ウィスキーの色とツヤを表現するために、2枚重ねて使っています。このイベントだけでかなりの枚数を使いました。
中村さんの素材集。ブランドごとにマテリアルやテクスチャーを使い分ける
社員の皆さんのブランド愛が、イベント施策ひとつひとつに浸透しているのを感じます。
金城:バカルディのマーケティング部は、限られたメンバーで中長期の戦略立案からリアル・デジタル施策の実行まで全てを行っているので、スピードは重視していますね。時間をかけて企画を詰めても、決まった頃には色々と状況が変わっているということもあります。博展さんの場合すぐにイメージパースやリファレンスを出してくれるのでありがたいです。
それと、企画から現場まで全てこのメンバーで実行してくれるじゃないですか。プランニングした人が最後まで責任を持って、きちんと実現してくれることが信頼につながっています。
李:金城が言ったように、我々だけで360°全方位のマーケティング施策を進めなければなりません。それでもデザインやものづくりについては、博展さんを信じて任せられるので、我々としては非常に心強いです。熊谷さんとお仕事させていただいていて嬉しいなと思います。
熊谷:お二人がお忙しいことは目に見えてわかっているので、むしろもっと頼ってほしいです!頼られることを苦にしないメンバーばかりなので。(笑)もっと博展を活用してほしいです。
金城:バカルディには、3F(Fearless、Family、Founder)というカルチャーがあります。その中のFamilyとは、「お互いをFamily(家族)のようにケアする」という意味。我々もパートナー会社を大事にしていますし、対等な存在としてお付き合いしたいんですよね。それに、パートナー会社のみなさんもバカルディのファンになってもらいたい。自分たちの周りからファンを作っていきたい、という想いが強いですね。
熊谷:そういったカルチャーを体現されているからこそ、博展社内でも「自分もバカルディさんのプロジェクトに参加したい!」という声が多いんです。実際現場でもみなさんすごく楽しそうにお仕事されているので。社員の皆さんのブランド愛が、イベント施策ひとつひとつに浸透しているのを感じます。
バカルディ ジャパン様よりお酒をご提供いただき、博展社内でBarイベントを開催したことも。
李:仕事はもちろん大切だけど、楽しくやらないと意味がないと思っていて。パートナーさんにも楽しくお仕事してほしいという思いもあります。特に博展さんがそうだと思うんですが、それを一緒にできているのが嬉しいし、今後もお互い楽しみながらやっていきたいなと思いますね。
金城:僕らが苦しんで仕事していたら、お客さんに伝わってしまうと思うんです。バカルディチームが楽しく取り組むからこそ、その楽しい気持ちがお客様にも伝播していきます。
熊谷:博展が掲げる5つのバリューの中には、「楽しもう。そうでなければ、価値がない」という言葉があるんですよ。バカルディさんのお仕事をやっているとき、僕らメンバーは自然に楽しんで取り組ませていただいているなと思います。
金城:今後もデュワーズ 12年をメイン商品として打ち出していく中で、お客様にもっとプレミアムな体験を届けたい。何か発見した時の喜びを感じていただける、お客様の好奇心を深く追求するマーケティング活動を行っていきます。
李:デュワーズを飲んでいただいたお客様からは、「おいしい / かっこいい / 人におすすめされると嬉しい」といったポジティブなコメントが多くて。我々としてももっとその良さを発信していきたいですね。
熊谷:博展メンバーも、バカルディさんのプロジェクトを通じてお酒の楽しみを知って、またお仕事自体も楽しませていただいています。だからこそ、僕らとしてもそれ相応のご提案をしなくてはいけない。今年一年は特に色々な経験をさせていただいたので、今後もしっかり価値提供しつつご一緒させていただけたら嬉しいです。
金城:ぜひよろしくお願いします。
OVERVIEW
CLIENT | バカルディ ジャパン株式会社 |
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PROJECT | Dewar’s 12年 DISCOVER YOUR HIGHBALL |
VENUE | 六本木ヒルズカフェ |
バカルディ ジャパン株式会社は、2024年3月に六本木ヒルズカフェにて『Dewar’s 12年 DISCOVER YOUR HIGHBALL』を期間限定オープン。スコッチウイスキー「デュワーズ 12年」のリニューアルを記念し、ブランドの歴史と世界観や、特別なハイボールを体験できるイベントを開催しました。博展は当イベントのプランニング、デザイン、施工、運営をサポートしています。 |