展示会という場所は、どこもかしこも情報の飽和状態です。広大な会場を歩き回る彼らが、目の前のブースが自分に関係あるかどうかを判断するのにかける時間は、わずか「2秒」と言われています。
特に0.5〜1コマという小規模ブースの場合、この「2秒」でいかに来場者の足を止めるかが、その後の商談数を左右します。
今回は、パケテンのグラフィックを数多く手がけている佐藤さんに、限られたスペースを最大限に活かす「戦略的な情報の絞り方」を伺いました。
グラフィック作成の前にまず「場所」を知る
——小規模ブースにおいて、最も重要なことは何でしょうか?
「何を見せるか」と同時に、「どこから見られるか」を徹底的に考えることです。1コマや0.5コマのパッケージブースの場合、装飾で派手さを競うのには限界があります。それよりも、会場図面を広げて「来場者の動線」を読み解くことが基本中の基本です。
例えば、会場入口からの距離と方向。どちらから人が流れてくるか?を考えることで、視線の流れを予想することができます。また、大手企業の大型ブースの位置を確認することで、入り口からその方向へ人が吸い込まれる流れが予想できます。
この「流れ」に対して、メッセージを正面から「ぶつける」位置にキャッチコピーを配置する。最初に押さえておくとよいポイントでしょう。

「あれもこれも」は、誰にも届かない
——伝えたい強みがたくさんある場合、どうやって絞ればいいですか?
出展者さんが一番悩まれるところですが、わたしはこう提案します。
「あれもこれも」ではなく「あれかこれか」を考えてください。
スペースが限られている以上、情報を詰め込めば文字は小さくなり、メッセージは薄まります。すると誰の目にも留まらなくなるんです。出展の目的を一つに絞り、その目的に直結する情報以外は勇気を持って捨てる。この「引き算」ができるかどうかが、成功の分かれ道です。
費用と時間をかけて、なぜ出展するのか。その「目的」に立ち返る勇気を持ってください。展示会のグラフィックバナーは、すべてを説明する場所ではなく、まず興味を引く役割である、と割り切りましょう。

ターゲットを射抜く「言葉」の選び方
——2秒で「自分ごと」だと思ってもらうための言葉選びのコツは?
よく「専門用語は避けろ」と言われますが、そうとも限りません。
ニッチな業界や専門性の高い展示会であれば、むしろ業界人しか知らない専門用語が刺さる場合もあります。「お、わかってるな」と信頼を勝ち取れます。
一方で、広いテーマの展示会の場合は、ターゲットが抱えている「具体的な悩み」を言葉にします。
「誰に届けるのか」を明確にすれば、使うべき言葉は自ずと決まります。
社内で「出展の目的」を共有することが一番の近道
——社内で意見が割れ、情報が増えてしまうことはありませんか?
実はこれが「最悪のパターン」になりやすいんです。開発部、営業部、広報部……それぞれの要望をすべて盛り込もうとすると、バナーが文字だらけの「読みもの」になってしまいます。
これを防ぐには、社内で事前に「今回の出展で一番優先するのは何か」という意思統一をしておくことです。グラフィックデザイン制作を依頼する前に、社内の意見を整理し、取捨選択できるリーダーの存在が不可欠です。
おわりに
展示会のブース作りにおいて、情報を絞り込む「引き算」の作業は、実は足し算よりもずっと勇気がいるものです。「せっかく高い出展料を払ったのだから、あれもこれも伝えたい」という気持ちは、担当者なら誰もが抱く本音でしょう。
しかし、佐藤さんのお話から見えてきたのは、情報を絞ることは「不親切」ではなく、迷っている来場者に対する「究極の親切」であるということです。2秒という短時間で、相手の心に確実にパスを届ける。そのために必要なのは、優れたデザインセンス以上に、自社の強みを信じ、ターゲットを明確にするという「戦略的な決断」に他なりません。
【実践編】では、この戦略をどう具体的な形に落とし込むのか。視認性を担保するためにプロが行っている「パース検証」など、より現場に即したテクニックを深掘りします。
※パケグラとは・・・パケテンが提供するオリジナルデータ制作サービスです。






