SDGs / サステナブル / エシカル消費など、持続可能な世界を目指すためのキーワードが生活の中でも頻繁に交わされる時代。これからの時代を担う若者たちは、日本のサステナビリティについてどのように感じているのでしょうか?

日本におけるサステナブルブランド国際会議を運営する株式会社博展は、2月24日~25日にパシフィコ横浜ノースにて「サステナブル・ブランド国際会議 2021 横浜」を開催。

日本だけでなく世界各国のトップ企業や次世代を担う若者たちが”サステナブル”について熱く議論を交わしました。

今回は新卒1年目の新人営業がZ世代のいち生活者として本イベントにリアルで参加。
第2弾として、イベント2日目のセミナーをレポートします!

現域高校生起業家の考える未来の社会像 / 大学生が考える日本のサステナビリティの課題など、次世代を担うZ世代の意見に迫ります。

Agenda
1:現役高校生は今何を想うのか 高校生起業家が考えるこれからのサステナビリティとは?
2:たばこ会社なのに喫煙者ゼロを目指している…? フィリップモリスが考えるたばこの未来
3:サステナビリティのその先へ 大学生が考える”REGENERATION”
4:【編集後記】現実と学びにGAPのない社会へ

現役高校生は今何を想うのか
高校生起業家が考えるこれからのサステナビリティとは?

『中高生と大人の二項対立をなくすイノベーションを』
 一般社団法人Sustainable Game代表 山口氏

『中高生と大人の二項対立をなくすイノベーションを』と題して一般社団法人Sustainable Game代表の山口氏が行った講演。

山口氏は、若者が立ち上がり大人と意見を交換することによって企業とZ世代の二項対立化を改善することを目指していると語り、16歳という若い世代が考えるサステナブルへの想いや日本社会の課題感を熱弁しました。

普段なかなか聞くことのできない現役高校生の意見を聴く貴重な機会になっただけでなく、自分より若い世代の知識量に焦りを感じる場面も多くあり、とても刺激的な経験になりました。

企業とZ世代が共創できる環境の必要性

山口氏は最初に、企業とZ世代は2項対立化していると主張。

キャリア教育が推進される一方で、高校生がコミュニケーションを取れるのは教師のみであり、教師以外の大人に自分の意見を伝えるという経験をまだしたことのない若者が大勢いる現状を指摘。Z世代が自分たちだけで解決しようと企業を頼らない傾向にあること、企業もZ世代をマイノリティとみなす傾向があることなど、現段階の課題を紹介しました。

アインシュタインの“手段はすべてそろっているが、目的が混乱しているのが現代の特徴のようだ”という言葉に、次世代に向けてZ世代ができることのヒントがあると語ります。
様々なリソースが溢れていても活用できていないこの現状の背景には、様々な立場の人間の声を取り入れた目的と戦略の共創ができていないという課題があるとし、企業とZ世代が共創できる環境の構築を行っているとお話しされました。

「“違い”には、お互いがまだ理解しきれていない意見やアイデアが浮かぶ可能性にあふれている。」

山口氏のこの言葉が、深く印象に残っています。
Z世代が潜在的に持つ、“社会は他人と違う考えを持つ人に対して排他的である”という印象。
私も心のどこかで、他人と違うことに劣等感を抱くことが多いように感じています。

自分と違う考えを持つ人とのディスカッションは新しい視点もたらし、まだ見ぬ課題を浮き彫りにすることもあります。
“違うからダメ”ではなく、“違うからこそ話を聞く”という社会への変化を願うとともに、私も自身の意見に固執することなく、他人との違いに着目してディスカッションする意識を持つべきだと再確認しました。

「理想と現実の乖離を社会問題と定義するのであれば、
理想が多様化する今、社会問題もマイノリティ化している。」

続けて山口氏はSustainable Gameの概要を紹介。

持続可能な世界を創るために私たちに必要とされているのは、過去の経験や知識を活かして他者のことを理解しようというエンパシーの能力だと考え、“面白く、他者を大切にする心と責任を持つ人を生み出す”というミッションに沿った事業を推進しているとお話しされました。

Sustainable Gameでは、中高生の相互の状況を理解し、みんなの未来を持続可能にする共創環境を生み出すパートナーとして「プログラムデザイン事業」「ESG共創環境の構築事業」を行っており、多くのプログラムを実施。

パタゴニアやクックパッドなど多くの大手企業と協業し、企業と若者の懸け橋として競争の場を作り続けているとお話ししました。

山口氏は多様性が認められ、一人ひとりの理想も多様化する現在において、社会はその多様化する理想に対応するべきではないだろうか?と主張し、日常生活の中から課題を抽出し、多世代で課題を共有しながら解決することが必要だとお話しされました。

たしかに、現代社会は社会問題を国や世界ではなく私たち個人という単位で考えられるべきフェーズにあるのかもしれません。
一人ひとりが心地よく生きるために何ができるか、障壁となるものは何か、自分の人生に責任を持ち考えることは今世代を超えて全員が求められていることのように感じました。

一般社団法人Sustainable GameのHPはこちら


社会からすべての2項対立をなくすべきだ
自分にしか気づくことのできない課題と向き合う社会を目指して

山口氏は最後に、大人と若者 / 地方と東京 / 男性と女性…今の社会に存在する構造的な二項対立をなくすことがサステナブルな社会を目指すための第一歩として欠かせない要素であると主張。

社会に違和感を感じても、親に理解してもらえなかったりバイトがあったり、様々な理由から行動を起こせない人が大勢いるとし、今活動を続けることができているのは幸せなことなのだとお話しされました。

「一人ひとりが自分にしか気づけない課題から目を背けないこと。
課題を発信 / 具現化し、世代や枠組みを超えて解決策を共創することでよりよい社会を生み出していきたい」と語り、この講演が新しい挑戦や行動のきっかけになって欲しいと締めくくりました。

日常の中で感じる違和感をしっかり課題視し、解決をすることやその背景を理解することの重要性を再確認するとともに、自分より若い世代のサステナブルへのリテラシーの高さに焦りを感じました。

会場にも高校生が多く、これからの時代を担うZ世代の中ではサステナブルであることは当たり前であり、これからの未来をとてもポジティブに感じました。

Z世代も企業も、違和感に対するアンテナを張り、課題を見過ごさないこと。
“誰も取りこぼさない社会”は、誰もが違和感から目を背けない社会なのかもしれません。

自分の年齢が低いことで、年上の方に意見をすることを臆する場面は多いように感じます。
まずは年齢という壁を取り除き、腹を割って意見交換をする勇気を全員が持つことで、日本における“REGENERATION”促進するのではないでしょうか?

たばこ会社なのに喫煙者ゼロを目指している…?
フィリップモリスが考えるたばこの未来

『たばこ会社が挑むソーシャル・バリューの創造ー煙のない世界への日本における進捗ー』
と題してフィリップモリスジャパン合同会社職務執行役副社長の井上氏が登壇したセッション。

私は非喫煙者ですが、友達 / 家族の影響もあり何かと身近に感じるたばこという存在。
興味がそそられて足を運びました。
セミナーでは、たばこ業界を取り巻く社会の現状、たばこという商材の健康的 / 社会的危険性、フィリップモリスが目指す事業の在り方を紹介。
フィリップモリスが考えるサステナブルへの想いについて熱く語っていただきました。

井上氏は最初に、紙巻たばこの火災の原因になりうる危険性や健康的被害について言及。

加熱式たばこの、火を使わない / 燃焼しない / 煙が出ないというメリットにより、社会課題や健康被害を解決するソリューションを提供できるとし、急速に可燃式たばこへ移行すべきであると主要しました。

加熱式たばこは紙巻たばこと比較して有害物質を95%削減でき、火災の原因にもなりません。
日本では加熱式たばこが急速に普及し、紙巻たばこの流通が1.8%から9.5%に減少したというデータを紹介しました。

確かに、世間では加熱式たばこが一般的になっていますが、それはここ数年での話。
何故突然、急速に普及しているのか疑問に感じていましたが、
フィリップモリスが煙のない社会を目指し、大幅に事業変革を行っていることが背景にあるのだと知りました。

「たばこ製品に触れる人がいないことが1番いいんです。」

フィリップモリスは紙巻たばこの健康への被害を真摯に受け止め研究を行っているとし、
「BESTな選択は誰もタバコを吸わないこと。」と主張。
さらに、もうすでに喫煙をしている人に対してはBetterチョイスとして“加熱式たばこへの移行”を提言しました。

フィリップモリスは火災の危険性も健康への害もなくすために、”煙のない世界”を目指して事業のトランスフォーメーションを進めていると説明しました。

単に、有害性物質を大幅に削減する加熱式たばこへの移行を目指すのではなく、そもそもの有害物質を出さないこと、つまり、世界からたばこを無くすことを目指しているフィリップモリス。

たばこを事業の中心においているにも関わらず、このメッセージを発信していくことで、“煙のない社会を目指すこと”への信念が垣間見えたように感じます。

サステナブルな世界に貢献することは、時にビジネスにおいて苦しい側面もあります。
ビジネススタイルの大幅な変革を余儀なくされる場合も多く、一歩踏み出すことが難しい企業が多いという声をよく耳にします。

しかし、地球が悲鳴を上げている今、本当に必要なのはこの思い切りと、地球 / 人に対して真摯に向き合い続ける姿勢なのかもしれません。
企業だけではなく、私たち一人ひとりが思いやりを持った行動を意識していくことが重要なのだと再認識しました。

サステナビリティのその先へ
大学生が考える”REGENERATION”

– 『SB University Wrap Up Meeting』

『SB University Wrap Up Meeting』というタイトルで行われた本プログラム。
サステナブルという考えに共感し調査 / 研究に励む学生たちによるディスカッションが行われました。
リアルとオンラインで数十名の学生が参加し、グループディスカッション→全体ディスカッションという流れで日本の現状や本会議の印象、今後の展望について深く話し合われました。

これからの社会を担う学生が何を考え、何を発信していくのかとても興味が湧き、今回特別に参加させていただきました。サステナブルに対する意見を交わし、議論する彼らの目はキラキラと輝いており、明るい未来を見据えているように感じました。

1年前に大学を卒業した私にとって、彼らの意見は共感する部分もあれば、尊敬の念を覚える部分もたくさんあり興味深い内容でした。

「日本企業の取り組みはサステナビリティではあるが
“REGENERATION”ではない」

本イベントの感想を求められた際に一人の学生が発したこの言葉が印象に残っています。

日本におけるサステナブルの取り組みは応急処置的な改革 / 取り組みが多く、長期的な治療である“REGENERATION”は目指されていないことに対して言及。

さらに世界という視点では、日本のサステナブルへの取り組みはかなり遅れており、抜本的な改革は不可欠だと主張しました。

私はそもそも、サステナブルな取り組みが応急処置的なものだという認識がなかったので、この意見には意表を突かれる部分がありました。
目先のサステナビリティという課題にとらわれるのではなく、もっと長期的視点で抜本的な解決を目指すべきだと感じると同時に、グローバルな問題に対してもっと加速的な改革を必要とされているのだと気づかされる良い経験になりました。

何のために生まれて何をして生きる?
アンパンマンマーチから得たサステナブルのヒント

ある学生は、サステナブルについて考えていく中で、“何のために生まれて何をして生きる”というアンパンマンマーチの有名なワンフレーズに答えがあるとお話ししていました。

自分という人間が何のために生まれて、何をしたいと願い生きるのかを再定義することがサステナビリティを考えるうえで最も重要なのでは?と発信し、会場全体が納得の声に包まれました。

サステナブルという考えは、単に環境問題だけではなく、社会問題、1人の人間として生きる個人の問題まで、全てに含まれています。

自分という存在が何のために存在するか、何をしたいと願うのかを定義することが重要であると『ファッションはエシカルを欠いては生きていけない』のセッション内でも同様のことが話されていました。

私という人間が何を感じ、何を考えて、何を達成したいと願うのか。
自分の心に素直になって定義することで個人でもサステナブルを達成できるのかもしれません。

サステナブルという言葉が学校でも飛び交う時代。
そして、勉強する内容を自分で選択できる“大学生”という唯一の時間。

こんなにも興味関心の強い若者がもっとサステナビリティについて学べる / 体験できる環境が増えることを願います。

私は今回ご縁があって大学生の方々の意見を聞くことができましたが、この時代を共に生きるより多くの人、そして企業に届いて欲しい内容だったと感じます。
多様な意見や想いをくみ取り、理想とする未来を共創することこそ、今最も求められていることかもしれません。

【編集後記】現実と学びにGAPのない社会へ

企業と若者が手を取り合い
共創する社会を目指して
会場で配られた長期間咲き続ける花

社会人1年目という時期に今回のイベントに参加し、多くの方の意見を聞くことができたのは非常に貴重な経験になりました。

社会人になり、今まで全く分からなかった会社の仕組みやビジネスを理解した段階。
しかしまだ、大学を卒業して半年ちょっとという絶妙な立ち位置で、自分の中のサステナブル観を考察できたことは、これからの人生の糧になると感じています。

今回強くと感じたことは、学校で学ぶ内容は必ずしも社会に反映されているわけではないということ。

私は大学でジェンダーを学びましたが、その内容はそのまま社会に反映されているわけではありませんでした。

学びを深め、未来への希望に胸を膨らませる学生と社会とのGAP。
このGAPを埋めなくてはサステナブルを推進することは難しいのかもしれません。

若者と企業、社会との間に壁を設けるのではなく、フラットな関係で意見交換をし続けること、そして私たち一人一人に社会の仕組みを変えようとする努力が求められるでしょう。

私たちは地球で生きる一人の人間として、自分の中に“サステナブルの軸”を持つべきかもしれません。
1つのものを大切にするもよし、環境に優しい素材を選ぶもよし、地球環境を守るために学問に励むもよし。
軸は人それぞれ異ってもいいのです。

持続可能な地球 / 社会を目指すために、今一度自分のサステナブルの軸を見つめ返してみてはどうでしょうか?